内紛の火種はくすぶり続ける
「はははっ。この新人さんの言うことには一理あるぜ」
章の隣にいた男性が豪快に笑って、先ほど里奈に向けられていた視線を蹴散らしてしまう。
「小岩よ。俺は創設者の一員として聞きたい。お前がやろうとしていることはここにいるクランメンバーにとって本当にいいことなのか?」
「当然です。このメンバーの集め方のままではこれ以上の高みを目指すのは困難です」
「その高みとやらはメンバー全員が望んだことなのか?」
「クランのランキングをあげていけば、誰もがいい思いをするのです。それに卒業証書をもらったメンバーは積極採用する方針ですので。いままでと何ら変わりませんよ」
単純に間口を広くするだけだというのが小岩の主張だった。
その主張に対して対して古参メンバーが信用していないというのが実情というところか。
コンセプトをがらりと変えようというのだから無理もない。
それに小岩の主張は一見まともそうに聞こえるだけで、まわりを納得させるほどのものでもない。
このあたりが人望なのだろう。
「時間は差し迫っているけど、このまま議論していても結論は出ないと思うんだ。だから今日は解散にしよう。そのかわり次回で結論をつける。いいかな?」
翔が議長に呼びかける。リーダーの意見に反対する者はこの場に誰もいなかった。
よって会議は結論の出ないまま解散となった。
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