表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
巡導の運命  作者: 焼きだるま
18/19

第七話 閃光が走る(1/4)

 新たな依頼を受け、グレンたちは動き出す。そして、そこに現れたのは――。


「名前のない組織なんて、今時珍しいね。情報は確かなんだけど、調べても組織の名前すら上がらない。公認されている組織以外が封印異物を管理してる時点で、やばい奴らなのには変わりないんだけど」


 ライラックは片頬に手を当て、デスクに肘をつきながらそう言った。


「……」

「どしたの? グレン」

「いや、少しな」


 手元の資料には、依頼された異物の資料も載っている。しかし、それが意味するのは――


――――第七話 閃光が走る――――


 スーザリィ・フェルツァ。ポバティーの北東にある、工業が主となっている地域だ。


「こんなところに、異物が隠されているんですね」


 夜の町は、あまり人が出歩かない。情報によれば、正面以外での侵入経路はないとのことだった。俺は雪夜と共に、建物の周りを軽く見回っていた。


「あぁ、警備も何もない。あまりにも杜撰だな」


 ここに隠されているのは、封印異物。FCSでなくとも、所有したものはそれ相応の保管がされるはずだ。しかし、夜とはいえそれを守る人影すら見えない。


「中に入りますか?」


 雪夜がそう言ったが、俺は待ったをかけた。


「正面突破なら、短期戦になる。敵勢力を殲滅する勢いでなければ、俺たちの方がやられるだろう」

「では――」


 その瞬間、雪夜は鼻と耳で感じたようだ。


「二人……でも、この匂いは」

「来たか」


 足音が近付いてくる。路地裏の陰から現れたのは、同じ裏万事を営むアモウ・ガイリーンだった。


「よっグレン」


 その後ろから、もう一人現れる。


「久しぶり、二人とも」


 そう言ったのは、アモウと共に裏万事をやっているヒィルという女だった。


「アモウさん、ヒィルさん!」


 雪夜が驚いたように、近寄っていった。


「元気してた? 雪夜ちゃ〜ん」

「はい!」


 頭を撫でられ、嬉しそうな表情をしている。雪夜はよく、ヒィルに世話になっていた。まだ、この仕事をするには訓練が足りない中、俺ができない時はヒィルが見てくれることもあった。


 まだ、心を閉ざしてライラックに任せることはできなかった頃。同じ女性であったヒィルは、雪夜にとっても心の支えになっていただろう。


「不思議だよな〜。あんな笑顔が似合う少女でも、平気で人を殺せるんだから。世の中わかんねぇもんだね〜」

「雪夜は元々、この業界に向いているわけではない。むしろ、好き好んでこんな仕事はしないだろう」


 すると、アモウは首を傾げる。


「ならなんでやってんのさ」


 タバコに火をつけ、口に咥える。一度吸うと、俺は答えた。


「あいつは、感情を殺せるタチの人間だ。自身に不利な感覚の時は、感情を殺して動く。今は慣れてある程度こなしているが、感情の一部は殺したまま仕事をしているんだろう」


 憐れむような目で、アモウは答えた。


「ま〜、普通の生活に戻れるかって言われたら、歪んだまんまだったろうな。いや、この都市群でガキ一匹で生きていけるかどうか……。居はするが、弱肉強食の世界だもんな〜。シスがそうだったか?」


 そんな話をしていると、ひとしきり話して満足したのか、二人がこっちへ向かって歩いてきた。


「それで、作戦は?」


 ヒィルがそう言うと、俺は答えた。


「ない、ただの殲滅作戦だ。真正面から突入する。幸い、ここら辺の工場地帯は人っ子一人居ない。警察やらFCSに通報されるのも、時間がかかるだろう。殲滅する時間はあるはずだ」


 ヒィルが「おっけー」っと言う。アモウは武器のチェックを軽くして、いつでも行ける旨を伝える。雪夜は既に済んでおり、いつでも突入はできる状態であった。


「よし、行くぞ」


 ◇◆


 中は暗く、機械が工場内を埋め尽くしている。


「……獣臭い」


 雪夜がそう言った。


「獣? 皮でも扱ってるのかしら、この工場」

「そうは見えんが、ただデカい機械があるだけ」


 何となく、俺の予想が当たっている気がした。いや、百当たっているだろう。


 四人で進んでいき、ライトの明かりを頼りに情報にあったハッチを見つけた。


「この下か」


 アモウはそう言うと、大きなハッチを一人で開けた。そこには、地下へと続く階段があった。


「ふぅ……行こうぜ」


 それぞれ武器を手にして、中へと入っていく。


「さっきから、気味が悪いくらいに音がありません……」


 嫌な顔をした雪夜は、オートマチック式の銃と片刃のナイフを構えたまま階段を下りている。照明になるものは、俺とヒィルが持っているライトだけだ。


「てか、ライラックとかは置いてきたの」


 アモウがそう言った。


「とかってなんだよ……ライラックは留守番だ。そもそも戦闘向きの人間じゃない。師匠とシスは依頼があったらしい。二人を呼んだ理由は、そういうことだ」


 二人が納得したような表情を見せると長かった階段が終わり、俺たちは通路へと出た。


「こっから先は、迷路みたいな構造になっているらしい。目的の異物の場所は不明。分かっていることは、相手は襲撃を想定した動きを見せているとのことだ」

「どうして、相手は逃げないんでしょう」


 雪夜がそう言うと、二人も頷いた。


「確かに、逃げる時間なら合ったはず。アラスカなんて逃げる場所沢山あるんだから、こんなところに居なくても」

「罠だろうな」


 ヒィルに対し、アモウは冷静に答えた。


「罠?」

「あぁ、恐らくは誘き寄せるための囮だよ」


 俺も、アモウとは同じ考えであった。


「罠……だったら、依頼主が――」

「それも違うだろうな。こんなに複雑な構造なら、わざわざ弱点を教える必要はない。あの依頼主は無関係だろう。それより、匂いとかは何か感じないか?」


 そう言うと、雪夜は答えた。


「人の匂いはします。でも、大勢ではない。少数精鋭でしょうか。それと……獣臭い……」


 涙目で雪夜は、マフラーをマスク代わりにした。


「匂いに敏感ってのも、困りもんだな」


 アモウがそれ言うと、雪夜は否定した。


「確かに困ることはありますが、獣の臭いが苦手なだけです。それに、恐らくこれは――」

「獣人、だろ?」


 俺のその言葉に、雪夜は頷いた。


「あー、そーゆーこっとね」


 アモウも何かを察したようだ。


「ねぇ、この通路まだ続くの?」

「こんなに長いとは聞いてないんだが」


 返答はなかった。咄嗟に後ろを振り返る。


「……どうやら、これは本当に迷路(ラビリンス)のようだな」

 どうも

 焼きがき、あとだるまです。

 もう七話になるんですね。しかし、まだまだ続きますので、楽しみにお待ち下さい。では、また次回お会いしましょう。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ