表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
巡導の運命  作者: 焼きだるま
17/19

第六話 紅い炎(2/2)

 誰にだって少年時代があった。それは、彼も同じだ。


 一歩一歩が遅い。目の前の光景に、自身の目を疑う。そして俺はハッとなり、家の中へと入っていく。家と言うよりも、小さな屋敷とも呼べるその場所は、まだ人が入れるほどの炎であった。


「イズィラ! 父さん! 母さん! どこだに居るんだ! 返事をしてくれ!」


 しかし、返事は来ない。二階へ上がろうとすると、柱が倒れてきて道を塞がれた。口を塞ぎ、一階にある妹の部屋へと向かう。


「どこだ! イズィラ! 返事をしろ!」


 妹の部屋へと辿り着くと、俺はドアを開けた。


「イズィラ――」


 血が散らばる室内。そこからのことは、あまり覚えていない。


 気が付けば、外に居た。血に塗れた手、目の前に立つのは死神。俺を、燃え盛るあそこから助け出してくれた。


「――それが、死神との出会い……ですか」


 雪夜がそう言った。


「あぁ、そして俺が、あの事件を追っている理由だ」


 既に、休憩時間は終わっていた。


「稽古に戻るぞ」

「あの」


 雪夜が俺を止めた。


「……どうして、裏万事になったんですか? 事件を追うなら、FCSでも……」

「選択肢なんてない。そんな選択を取れば、今頃師匠によって俺はこの世から消えている」


 雪夜は、首を傾げたように聞いた。


「なら――どうして、死神はグレンのことを助けたのですか?」


 俺は答える。


「わからない」


 それが答えだった。


「……だが、後悔はしていない。現に今、FCSでも辿り着けていないあの事件を知る者を見つけることができた。必ず、必ず聞き出す」


 紅い炎の記憶は、今は俺の決意となっていた。


 ◇◆


 ――扉が開く。地下室のある場所で、二人の男が話をしている。扉側の男が喋った。


「未来視の動きはありません。ボスの予想は外れたのでしょうか」

「いいや、必ず来る。この場所を特定して、やつらは来るだろう」


 椅子に座っている男は、得物の手入れをしている。


「……相変わらず、変な武器ですね……それ」


 そう言うと、椅子の男は顔を上げた。


「あ? これか。なんでも、六八(ろくはち)戦争の時に使用されていた武器らしい」

「六八……この世界ではない、向こうの世界で起きた戦争……全ての始まり」

「安心しろ。武器だけじゃない。モノホンも一人? いや、一匹付いている。ボス直属のやつだ。六八を体験してる主力の一人が、俺たちの為に護衛に回ってくれている」


 男は得物を仕舞い、立ち上がる。


「準備をしておけ、真正面から来るとは限らない。いや、真正面からしか来れないよう地下にしたが、何せ奴のせいで予想ができん」

「後出しジャンケンのようですね」

「命のかかった、後出しジャンケンだ」


 男二人は、部屋から離れていく。地下室から少し離れたその場所で、小柄な男が耳に何かを当て、機械を弄っていた。


「なるほど」


 そう呟くと、男は機械の電源を切った。


 ◇◆


「それで、雪夜ちゃんはめちゃくちゃに強くなったと」

「はい、めちゃくちゃに強くなりました」


 雪夜ちゃんは、至って真面目な顔でそう答えた。


「実感は如何でしょうか」

「グレンの首に、十回は木製ナイフを当てました。前回は九回です。必ず獲物を仕留めます」

「なるほど、これってめちゃくちゃ強くなってるの? グレン」


 僕が言うと、グレンも答えた。


「ぼちぼち、だな」


 雪夜は分かりやすく落ち込んだ。


「まぁまぁ、良いじゃん。少しずつ、少しずつ! ね?」

「はい……」


 すると、玄関のドアからノックする音が聞こえた。雪夜ちゃんが向かい、いつものように言った。どうやら、相手はお客さんらしい。


 グレンが頷くと、雪夜ちゃんはお客さんを中へと招き入れた。


「どうも、死神さん」


 黒のコートを羽織い、アタックケースを持った小柄な男がそう言った。雪夜ちゃんはいつものように、紅茶の準備をする。グレンはソファに腰掛け、お客さんも向かいのソファに座った。


「要件を聞こう」

「はい。裏万事の死神に、ある異物を取ってきてはもらいたいんです」


 すると、その男はテーブルに資料を出した。


「情報はこちらで集めました。ですが、自分は中に入る技術がありません。ですので、お願いしたく」


 グレンは僕に、その資料を見せてきた。僕はそれを確認して、パソコンで調べれるだけ調べた。結果は、


「凄いよグレン、これほんとに合ってる。よく調べ上げたね?」

「あはは、僕なんてまだまだです」


 そう言った彼だけど、相当な手練れだろう。ここを頼る必要があるのか、分からないほどにだ。その素性もまた、名前を名乗らない時点で明かせないような生業なのだろう。


「分かった。だが、金はあるのか?」

「それでしたら、こちらに」


 男はアタックケースを持ち上げ、テーブルの上に置いて開いた。


「……なるほど、良いだろう」

「金はもう渡しときます。それでは、お願いしますね」

「期限は――」

「じゃあ、一ヶ月以内で」


 そう言うと、彼は足早に去ろうとする。


「待て、聞きたいことがある」

「なんですか?」

「一二年前に起きた、豪邸の火災事件。これについて知っていることはないか?」


 男は間を開け、言った。


「知らないですね」


 しばらくの沈黙の後、グレンは諦めて男の帰りを促した。


「では、失礼します」


 その入れ違いで、雪夜ちゃんが戻ってきた。


「あれ? お客さんは――」

「足早に帰ったよ〜」


 カップを三つトレーに乗せたまま、雪夜ちゃんは少し落ち込んでしまった。


「二つとも飲むから、ちょ〜だい」

「……はい」

 きがとあ

 。すでまるだき焼、もうど

 でのいなとこく書に特。ねすでいらづみ読ソック

また、次回お会いしましょう。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ