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指先に詩をあつめて、温もった体温で  作者: 今井葉


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文字から彷徨いでるパンケーキ

エアコンのスイッチの切のボタンを押す、

ぼくの右手のリモコンを置くと、

文庫本を手に取った。

ページを繰って行く、

その机の上の、

はちみつ。

今かと喉を通っていくはちみつを想像して、

机に並べるチョコレートシロップ。

ページの上をうろつくパンケーキ。

文字が映し出すパンケーキ。

ぼくは文庫本に、

はちみつをかけていくと、

フォークを文庫本に突き刺した。

ページから突き刺さるパンケーキの端に、

チョコレートシロップをたっぷりかけていく。

食欲の感じられない胃袋に詰め込むパンケーキ。

もぐもぐと咀嚼も音をたてず、

噛み砕き、

喉を通っていくシロップまみれのパンケーキ。

あちこちにフランス語がプリントされた、

シロップ浸したパンケーキ。

机の上の、水みたいなアイスコーヒー、

文庫本から彷徨い出て飲み込む涼やかさ。



ぼくは、

フォークと文庫本を置き、

ぐるぐる旋回する、

洗濯機のなかの焼けたパンケーキ。

Tシャツのロゴを浸す、

シロップに、

口を寄せ頬張る、

パンケーキの端っこ。

歯型の残るTシャツの、

色褪せた、

洗濯洗剤の、

におい。



Tシャツを被り、

出る庭先の、

寄ってくる蜂に、

頬擦りするぼくの、

作者らしい、

威張りも。

パンケーキ振る舞い、

話すフランス語、

彷徨いでる言葉の数々。

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