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指先に詩をあつめて、温もった体温で  作者: 今井葉


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81/212

話しても、

話しても、話しても、

分かったような顔をして、、。

きっと分かってないんだろうな、

って一睨みするぼくは。

抱いて、

唇を突き出して、

うん、わかるよ、

って相槌を打ってくれる、

ぬいぐるみのぺんぺんは。



ぼくの言葉が、

部屋の、

空気に満ちて、

散り散りに、散っていく。

ぼくは、不安、なんだよ。

学校のこと、友だちのこと、

体育のプールのこと。

ぺんぺんは、

分かったような顔をして、

ぼくの胸に埋もれて。

うん。うん。

分かるなぁ、

ってうなずく。

ような気がしている。



先生と、

母と、

カウンセラーの先生と、

うんうん、

ってぼくの、言葉に、

うなずくけれど。

ぼくは、

話しても、話しても、

ぼくの言葉は、

先生にも、

母にも、

カウンセラーの先生にも、

通じてなんて、くれないんだ。



ぼくは、

一人きりの部屋で、

ぺんぺんに、話しかけるんだ。

そっと、耳のそばで、

打ち明けるんだ。

きっと、

誰よりも、

分かったような顔の

上手い、

ぺんぺんは。

ぼくは、

不満そうに、

でも話しても、話しても、

永遠に話しても、

尽きないぺんぺんとの、

会話が、楽しいような、

ちょっとだけ笑えてきたり、

するんだよ。



誰よりも、

話しの分かる、

ぺんぺんは、

無力で、

机の下に、

今も転がって、

自分でも起き上がれない、

所詮ぬいぐるみでしかなくて。

ぼくの、話し、よりも、

学校に行けるようになる方法に、

興味のある母は、

話しても、話しても、

ぼくの言葉を、

外国語か何かのように、

思えるみたいで。

一度は、

ぺんぺんさえも、

ゴミ箱へと、

投げ捨てたことも、あるほどで。



でも、

話しても、話しても、

まるで空転してしまうとしても、

先生がいて、

母がいて、

ぺんぺんがいて、

友だちのことも、

皆んなが、

話しを聞いてくれるから。

ぼくの、

話しを聞いてくれるから。

ぼくは、

外国人じゃないよ、

って笑って、

もう、いい加減、ぼくのこと、わかってよ、

って泣き出しちゃったときも、

分かったような顔のぺんぺんは。

いつも急ぎ足の母も、

このときばかりは、

分かったような顔をして、

一緒に泣いてくれたんだ。

うわーん、

うわーん、

って。



涙もぺんぺんに、染みて。

やっぱり分かったような顔をして。



ぼくも、

聞いてみたい。

ぺんぺんの言葉。

母の言葉。

話しても、話しても、

尽きない話を。


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