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指先に詩をあつめて、温もった体温で  作者: 今井葉


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理科準備室

唸る照明明滅し、

垂れ下がる蜘蛛の、

細い脚が。

誰もいない理科準備室の、

広げられたドリルの、

書き連なる漢字の。



「いつでも来ていいよ」

と笑う理科のせんせいの、

行き場のないぼくの涙。

授業時間中の理科準備室での、

一人きりのドリルが、

鉛筆で真っ黒になるのも。

授業時間中の理科準備室での、

一人きり、

理科のせんせいの手伝いをするのも。



ぼくが泣くと、

「ホッとするよ」

と嘆息するMの、

意地悪な笑みが、

ぼくの涙を乾かす。

一緒に過ごす理科準備室の、

左手の鉛筆に棲むMの、

知らしめるための幽霊線。



頬を拭う左手のMの、

人面瘡が、

涙伝うようで。



鼻を啜るぼくの、

しわくちゃな顔を、

笑う理科のせんせいの、

大きなメガネが、

濡れた鼻の頭に乗っかっているのも、

ぼくはなんだか後ろめたくて。



窓を開ける、

眼の前の葉桜の、

葉擦れするのも、

孤島にいるような気分のぼくに、

柔くささやく。

「理科準備室はいつでもあいてるよ」



朝の恨めしい校庭の笑い声に。

首の締めつけられる笑い声に。



集まる理科準備室の、

入り口に立つ、

クラスの面々。

「迎えに来たよ」

ぎこちなく笑うぼくの、

乾いた頬の涙。


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