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指先に詩をあつめて、温もった体温で  作者: 今井葉


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ランドルト環

待合室で流れるテレビの画面、

消毒の匂い、

古びたポスターの、

錆びた画鋲の。

母に連れられた病院の、

踏切前の第二駐車場、

手を引かれるいもうとの、

付いて歩くぼくの足音。



壁に貼られた検査表、

並ぶランドルト環。

小さく指差すいもうとの、

片目を隠す左手の、

微笑む看護師の、

蛍光灯の白さが。



立て掛けられた扇風機の、

唸る羽根が、

かき消すぼくの声の、

小さくなるランドルト環が、

ぼやけて見えるドーナツ型。



しわくちゃの顔面の、

白衣のせんせいの、

笑うとのぞく金歯の、

話す母と、

うなずく首に、

ぼやける黒子が。



落ち着かないいもうとの、

揺れる前髪が、

目にかかって、

分けられる看護師の指の。

触れる瞼、

汚れた金歯の。



戻る待合室の、

広くなった並ぶソファの、

小さく息を吐く母の、

吸い込む消毒の匂い。

おしゃべりのいもうとの、

膝の上に乗せる母の、

生え際の白髪が、

揺れる吐かれる言葉に合わせて。



乗り込んだ車の、

やけに見えにくい標識の、

すっかりその気で。

病院の看板の、

通り過ぎる信号の、

霞む青葉が、

溶けるような風景が。


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