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弥生のユメ
タイトルに惹かれて、
去った三月発売日、
手に取った詩集。
桜芽吹く校庭から、
春薫る空たかく、
注ぐ春光ぼくの頬に。
タイトルとばかりに。
水曜日の教室、
黒板に方式、
吊り下げられた赤白帽、
きよき柔ら。
翳る机に、
忘れられたえんぴつと、
ぼくの願い。
ランドセルに入って課題、
折り曲げられたプリント、
薫る沈丁花が風に。
やがて迎える夏色のTシャツに。
揺れる葉桜、
葉擦れがさらって、
くすぐる鼻先に、
雲たかき夏空。
鼻歌交じりの渡り廊下に、
ギターに真似た箒掲げ、
響く笑い声に。
駆けるMの後ろ髪に、
石鹸の匂い、
惹かれて追うぼくの、
擦り傷みたいな胸のうち。




