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指先に詩をあつめて、温もった体温で  作者: 今井葉


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チョコレートのスープ

スプーンで掬っ・

チョコレートのスープ。

ぼくを裏切っ・

ビターな味わい。

マシュマロを乗っ・

とろける卵白。

広がっ・

口の中で。


 

チョコ レート の ス ー プに映る,

ぼ く の歪ん だ顔。

透  き 通る茶 色の波。

甘さ の 海 。

渦 に 飲まれる。

絵 本 を ひらくい もうとと、

オムレツ を 焼く母と、

炭酸 を 注 ぐぼくと 。



時計の針が十二時を指したら,

チョコレートのスープを注いで,

母のオムレツと,

ぼくの炭酸とで,

いもうとが読み聞かせる。

森の中のチョコレートの家のおはなし。



はじまりはじまり.



ぼくの三ミリメートルの板チョコレートが溶ける。

チョコレートのスープは,

海へと流れていく。

スプーンで掬うと、

アフロディテが誕生する。

スプーンの中でクピドが,

はちみつを奪い。

スプーンで掬っ・

頬張っ・

笑っ・



前世でぼくはチョコレートのスープを

鍋でぐつぐつと

煮たのでした。

今世でそれを飲み干し、

来世で歩兵(蟻)たちに

配膳したのでした。



身体 を満た す ,

ス ープ 色 の 胆汁 と なって 。

華や ぐ体 液 。

チョコレ ート の ス ープのた め息。

物語 は 閉じら れる 。

歩兵(蟻)たち は 癒 やされ て。

クイ ーン (蟻)は 満た されて。

夏の 照り 返 す灼 熱の 大地に、

こぼれ出 すチ ョ コレー トのスー プ。


 

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