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指先に詩をあつめて、温もった体温で  作者: 今井葉


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Kの尾びれ

あかい尾びれがぼくの目を眩ませます。

そのあかい尾びれを後を追っていく、金色の尾びれが続きます。

しかしそれは仲がよいという証拠です。

尾びれの筋をぼくは数えると、

ざっと十の筋に、

ぼくはためいきをついて、

まるでぼくが湯船につかって温まるように、

Kは水槽の中を、つついと移動するのです。

その水は本当に生臭く。息を吐くとゆれるような、

(その波紋はさっきKの通った道筋だけれど)

といったような曲線をKは描くのです。



Mは「K」をとらえようとしたとき、

豆鉄砲くらったまんまる目玉のKを掌に。

あかい胴体で。

金色の胴体と。

ぼくは髪を、

かきむしる、よだれがあふれると、・・

水槽がまるで虹色に、なるんだ、なあ。

ZがKを追いかける・



ひかりに透ける赤いおびれは、その屈折を利用し、さらに速度を加速させる。



ゆうやけがひろがると、

水面はきらめいて、ゆれると。

金色の尾びれが赤いKにぶつかる。

正面衝突。

あわやと思いきや、

きゅうな方向転換に。Mがほくそ笑む。

波紋がKのからだを揺らす)

ぼくはまゆげを瞬かせ。

もしくはKの足音を聞く。



あるいは室生犀星の、蜜のあわれ のように、

Kと親しく話すことができたなら。

しかしながらKは稚児といった未熟さで、

ぼくを始終困らせては、飛び まわり、 跳ねては。

けらけらと笑っているのです。

そのためにMからやりこめられ。

Zから追われ。

泣く 泣く ぼくの懐へと逃げてきては。

ぼくをみあげ、

妙齢のおんなの あのえくぼの・

まるでとし頃のおんなといった 風なのです。



あたまにきたぼくは。ガツン と、 いってやるのです。

そうするとKの尾びれは まるでしおれたように、

なっては。一掻き。

また一掻き。

金色にまたたいて、水面が歪む。

しぶきが水槽のなかではねては、ゆうやけが染みて、

生臭さとともにとける・。

Kはきづかれないように、

尾びれを振りふり ふりひろげ・

素知らぬかおをして。

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