温泉
秋の夜長に
家族で
温泉
タオル片手に
石鹸も詰め込んで
新調した
Tシャツ
はしゃぐいもうと
引っ掛けたサンダル
月夜のもと
瞬く
星粒鳴く虫の音
オーケストラ
道中の
FMラジオ
お母さんの
鼻歌流れる窓越しの
イルミネーション
ウィンカーと
相まってリズム取る
お父さんの右手が
ハンドル
弾む
ちょっぴり
早いクリスマスソング
カウンターで
差し出す回数券
押される
スタンプ
心はやる
温泉!
走る
ぼくといもうと
くぐる
「ゆ」
の、のれん
剥いでいく
トレーナー
ドキドキの
ヘルスメーター
そっと親指を載せ
かぶる
シャワー
石鹸も泡立て
擦る背中
大きなお父さんも
ゴシゴシ
力
込めて
洗うすみずみ
赤く
透き通る肌も
急ぎ足の
湯船まで
差し込む
足の指の
飛び上がる熱さに
てのひら
掬うパシャパシャ
そーと
差し入れる湯船に
けむりも
纏ったぼくは
火照る
頬
両手も
平泳ぎのようにして
集まる
湯の
温かさも
頭に
乗せるタオルもお父さんらしく
真似して
乗せるタオル
鼻歌
こぼれるドリフターズ
笑う
見知らぬお隣さんの
ゆけむり越しの
皺も
とびら開け
広がる
露天風呂
ひやり
秋風も
簾越しの
星空も
溢れる
湯の中に
手足広げ
頬をさらう
秋風の
夏の温度も恋しく
濡れた髪に
巻かれたままの
タオルに
折り目の入った
Tシャツ
湯上がりの牛乳とか
いもうとの
いちご牛乳とか
香る硫黄も
笑うえくぼも




