盗人
俺達は札幌の町にいた所で暇なので雫の動物達と遊んでいる。
「皆の毛がグネグネしてるしブラッシングするよ」
動物達は一斉に鳴いている所を見ると嬉しいみたいだな。
「なぜか無鍬は俺にだけ吠えてきてるんだけど」
「えぇっと、死ね!クソ野郎って言ってるよ」
「なんで俺がそんな事言われないといけないんだ?」
心当たりなんて俺の作戦が大鎌と叡犂を無鍬が対応出来ない範囲に無理やり連れ出して無鍬を数の暴力で何とかした後に残り2匹を自害させる作戦だったからか?
自分でもそりゃゴミみたいな作戦だと思ってるけどそんな怒るほどじゃないだろ。
「犬猿の仲みたいな感じでしょ」
「ライバルキャラか。まぁ、俺主人公だからお前はインフレについて来れなくなるんだろうな」
「でも能力的に見ればどちらかと言うと無鍬の方が主人公っぽいけどね」
能力無効化能力だもんなぁ。
いいよなぁ。
俺なんか光と音を操るだけで全然目立たないもんなぁ。
「やべっちょっとトイレ」
「行ってらっしゃい」
「立ちションはするなよ」
「ガキか! する訳ないだろ」
俺は尿意を催したので近場の建物に入る。
トイレに水道も電気も通ってないけど外でするよりはましだな。
俺はトイレに入り邪魔だから刀を近くに置いて放出する。
「ふいぃぃぃぃ」
あぁ、我慢した後だから凄く気持ちいいデス。
俺はズボンを上げ刀を取ろうとすると顔を覆面で隠した中学生ぐらいの男が俺の刀を取っていた。
「あのぉ、何してるんです?」
「……忘れ物を取りに来た」
「嘘ですよね?だってそれはさっき俺が置いたものなんだから」
「……これは俺の相棒だったんだけど誰かに盗まれてな。でも、やっと再会できた」
「いや、それは俺がオーダーメイドで作って貰ったやつなんですけど」
覆面の男はしばらくの間沈黙を貫く。
「……これは俺のだ!」
「ついに言い訳すら考えなくなったのかよ」
「うわぁぁぁぁ」
覆面の男は大声を出しながら逃げる。
「待てやゴラァ!」
ここは建物内部だからレーザーは使えねぇな。
しょうがない、視界を奪ってやる。
「視界剥奪!」
「目の前が真っ暗になった。何も見えない。クソッ、こうなったら。チェンジ!」
覆面の男がそういう言うと俺の視界は真っ暗になる。
「うぇっなんでぇ!?」
「じゃあな。チェンジ!」
俺は能力を解くと視界が戻る。
そして覆面の男の声がした後ろの方を見るとタンスが置いてあった。
これは能力だな。
多分、相手の立ち位置とかを変える程度の能力なんだろう。
自分が受けてる効果もついでに変わるみたいだ。
俺は2人がいる所に急いで戻る。
「シズえもーん」
「どうしたんだい?竜太くん」
「誰かも分からない覆面の男に俺の刀が奪われたよぉ」
「あぁ盗賊か。札幌の町周辺は多いんだよな。町の外で働く人が多いから魔法とかもバンバン使えるからだろうけど」
札幌の町の貴族め。
この状況何とかしろよ。
「まぁでも、大丈夫だよ。竜太くん。こういう時は……テレレテッテレー、僕の動物たちぃ」
「その変な話し方やめた方がいいんじゃないか?」
「竜のノリに乗ってあげてただけなのに」
「雫、そろそろ学べ。こいつは前もこんな感じの事してただろ」
「もう竜の変なノリに乗らないと誓います」
多分、雫は普通に乗ってきそう。
「ってそんな事より。早く何とかしてくれよ」
「まぁ任せて。えぇっと君達…どんな特徴のやつ?」
「覆面を被った。中学生ぐらいのやつだ」
「中学生が盗賊か。絶対厨二病だな」
中学生かどうかは関係ない。
あの高かった俺の刀を取られる訳にはいかない。
「覆面を被った中学生ぐらいの男を探してきて」
動物達は大きな声で鳴くと飛んで行ったり走って行ったりした。
「そういえば、能力持ちだったんだがその能力は多分相手と立ち位置を変える程度の能力だ。それに能力とかで何かしらの効果を受けていた場合、立ち位置が変わった時にその効果が立ち位置が変わったやつが受ける事になるって感じ」
「能力持ちって事は早く言ってくれよ」
「でも大丈夫、ウチには無鍬がいる」
能力無効化能力だからもう逃げられないな。
ていうか、なんか2人の能力が強くなってきたな。
星奏はなんかもう一個の大剣を自由に飛ばしながら戦えるし、雫は前に言った通りほぼ不死身の動物達を引き連れて数の暴力ができるし。
俺の影が薄くなってる様な気がする。
「見つけた!多分こいつかな?」
「どこにいるんだ?」
「そこの建物の1番上で右から数えて2番目の部屋」
雫は俺達がいる所と目と鼻の先にある建物を指さす。
「意外に近かったな。作戦は……言わなくても分かるよな。じゃあ星奏、頼んだ」
「そう言うと思ってた。行くぞ。サイコキネシス!」
「とりあえず無鍬達を呼ぶよ」
俺達は浮かび上がり雫が言ってた部屋の窓を割って入る。
「うわっガラスの破片が刺さった」
「こっちのがカッコイイと思ったが普通に危ないな」
「子供でも分かることでしょ」
俺はガラスをそのままにして立ち上がる。
「え?なんでお前がここに?」
覆面を被った男が驚いた様子で俺の事を見る。
「俺の大金はたいて買ったやつを返してもらおうか」
「そこは相棒って言いなよ」
「いやだって、俺って別に剣士キャラじゃないし」
「雰囲気ってのがあるだろ」
うるせぇ。
別にそんな事考えなくても良いだろ。
俺達の人生は誰かに見られる小説とかの物語じゃないんだからさ。
カッコ悪くても良いだろ。
「そんな事言ってたら俺が主人公だって言っても信じないぞ」
「俺の相棒を返せ!」
「なんなんだ、お前ら!」
「通りすがりの貧乏冒険者だ。覚えておけ!」
今、刀を買い戻そうとしたら金がなくなるんだ。
食べ歩きをどうしろってんだ。
「召喚、3クマ!」
雫は無鍬達を呼び出す。
「クソッ逃げるしかない」
「サイコキネシス!」
「動けない…」
誠華はサイコキネシスで覆面の男を捕まえるとすぐに無鍬の方に持っていく。
星奏はついでに覆面の男の覆面を取る。
無鍬は覆面の男を抱え込んで逃げれないようにする。
覆面の男の顔を見て確信した。
やはりこいつは中学生だ。
「チェンジ!」
覆面の男は大声で叫ぶが部屋に響くだけで何も起きない。
「チェンジ!」
覆面の男はまた大声で叫ぶ。
「チェンジ!、チェンジ!、チェンジ!、チェンジ!」
覆面の男は困惑した顔をしながら何度も叫ぶ。
作戦がよく分かったな。
「返して貰おっか」
「絶対に返すもんか」
「いいのか?お前なんて簡単に殺せるんだぞ?」
「死ぬ事なんて怖くねぇよ」
あぁ、こりゃあ厨二病だな。
しかも重症だ。
死んでもいいなんて言うやつは本当に覚悟を持ってるやつかバカしか言わないんだぜ。
お前はどちらかと言うとバカの方だ。
「しょうがない。雫」
「ありゃりゃ、じゃあね」
「え?本当に殺すのか?」
「死んでもいいって言ったらな。そりゃそんなやつの口なんて割れる訳ないよな」
2人共、分かってんな。
「人殺した後ってとんでもないほどやばいらしいんだ」
語彙力どうなってんだ。
「そうなのか。でも……」
俺達が人を殺した事がないと思っているのか?
「でも、俺達が殺した時はなんともなかったけどな」
「…え?」
覆面の男は目を丸くする。
「じゃあね。無鍬、食べていいよ」
無鍬は口を大きく開けて覆面の男を頭から食べようとする。
「待って!返すから!盗った刀を返すから!殺さないで!」
やっぱり、中学生だな。
まぁ、刀を盗った程度で死ぬのは俺でも嫌だしな。
覆面の男は解放されると泣きながら刀を持ってくる。
「これでいい。じゃあな」
「ごめんなさい。もうこんな事はしません」
トラウマを植え付けたみたいだな。
まぁいいか。
俺達は元いた場所に戻り動物達と遊ぶ。
「ちょっとやりすぎたかな?」
「別にいいだろ。あいつが先にやってきたんだ」
「雫、そんなんだから小学生の時の嘘告してきたやつに何もやり返さずに終わったんだぞ。せっかく私はゴキブリを大量に用意しようとしたのに」
それはグロいな。
「私の作戦は完璧だったんだけど私が優しすぎて何もしなかっただけ」
考えたのお前かよ。
雫に嘘告した男子達は命拾いしたな。




