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[完結]世界の終わり  作者: ワクルス
暑い季節
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クマ退治

俺達は足を震わせながらクマ達と目を合わせる。


「他の2匹には能力が効くんだよな?じゃあ星奏、動きを止めろ」

「あいあいさー、サイコキネシス」


星奏は手を突き出し2匹のクマを浮かせる。

すると今度は左側の体が細いクマが吠えると火の玉が出てきて俺達の方に飛んでくる。


「純水!」

「ナイス、雫」

「雫、ありがとう」

「この子、魔法が使えるみたいだね」


中級ゾンビを相手にするのと同じ感じか。

俺達が火の玉に怯んでいた隙に真ん中のくせ毛が凄いクマが右の他の2匹とは比べ物にならないぐらい大きなクマを触る。

こいつらもしかして結構賢い?

大きなクマはくせ毛のクマに触れてもらいながら俺達の所に向かって突進してくる。


「まずいなこりゃ」

「まぁ任せろ。こんな速さで何か物にぶつかったらすごく痛いだろうな。エアーウォール!」


星奏はクマが突進してくる方向に壁を作り勝ち誇ったような顔をする。

だがクマは更にスピードが上がっていく。

バリンという音が聞こえるとみるみる星奏の顔が青くなっていく。


「え?あれってそんなすぐ壊れるもん?」

「まぁ、100kg乗ったら壊れるんだこの程度だろ」

「結構分厚くしたんだが?ていうか100kgが乗ったら壊れるのはあくまでも通常の用途での話で魔力使えばそれ以上耐えることだってできるから」


あぁ、そっか。

星奏の能力は一応空中に見えない床を出す程度の能力だからな。

忘れてたわ。


「おかしいな。くせ毛のクマは触れてないはずなんだが」

「その前に俺達を一旦空中に上げてくれ。突進の勢いで死ぬ」


星奏はすぐ様俺達を空中に浮かせる。


「とりあえず、作戦を考えるか」

「逃げるのもありだよ?」

「逃げちゃダメだ逃げちゃダメだ逃げちゃダメだ」

「戦いなさい!雫くん!」

「なんで私にふるの?えぇっと.....嫌だよ!藤川さぁん!」

「何やってんだお前ら」

「「お前が始めたんだろうが」」


星奏は俺を空中で上げたり下げたり回したりと酔いそうなことをずっとしてくる。

雫はサン達を部屋で召喚して糞塗れにしてやるとずっと言ってくる。

どっちもやってる事えげつないな。


「そんな事よりこの状況をどうするかね。藤川君」

「逃げる一択でしょ」

「逃げると言ったら主人公らしくないですからねぇ。それはちょっとねぇ、世間は許してくれやぁせんよ」

「なんなんだお前」


上級ゾンビ共ならともかく。

ちょっと強い程度のクマに負けるのはなんか恥ずかしい。

俺はあいつらを倒す作戦を考えるため思考を巡らせる。


「とりあえず、作戦としては――」



「――これで行くか」

「ちょっと、大人気ないかもだけどそれなら確実にお金が手に入るしね」

「金の亡者みたいになってるぞ、雫」

「やっぱり人は金のためならなんでもするって嫌ってほど分かんだね」


作戦が通用しなかった場合の保険として星奏のサイコキネシスで逃げるがあるから安全にいけそうだ。

安全第一ってつまんないやつみたいになりそうだから嫌だけど康宗ならそうする。

あいつは世界一命を大事にしてたからな。

星奏との昔話でよく思い出したよ。

康宗はそういうやつだ。

約束を破った罪滅ぼしとしてあいつの意志をちょっとだけでも継いでやろう。


「じゃあ作戦通りに」


俺がそういうと大きいクマが俺達がいる数十メートルの高さを飛んでくる。


「こいつら、絶対能力持ちだな」

「サイコキネシス」


大きいクマはすごい勢いで落ちていく。

だが地面に降りたクマはなんともない様子で上を向く。


「じゃ、降ろすぞ」

「ちゃんと俺の事見ててくれよな」

「はいはい。本を読む片手間程度は見てやる」

「もっとちゃんと見ろ!一番危ないの俺なんだからさ」

「言い出しっぺの法則ってやつだ」


俺は徐々に下がって地に足を着ける。

3匹のクマが俺の方を見てきカフカフと鳴く。

なんかちょっと可愛く見えてきたな。

あの牙や爪さえなければペットにでもできたのに。

俺がそう考えているとくせ毛クマと大きいクマが一斉に襲いかかってくる。

かかったな。


「私達に向ける牙をしまえ!」


雫がそういうと後ろにいる体が細いクマと1番近くにいる大きいクマの動きが止まる。


「サイコキネシス!」


星奏は細いクマと大きいクマを上に浮かばせる。

大きいクマはくせ毛クマが触れたせいですぐに落ちたが細いクマは完全に捕らえることに成功した。


「まぁ、ここまで来たら勝ちだな」


俺は怖くて足をプルプルにしているのがバレたのか上に上がっていく。


「うぇぇい、作戦成功」

「あとあの大きいやつを捕まればいいんだな?」

「そうそう、まぁちょいと待て。すぐにエクセレントでスーパーでビューティフォーな作戦を考えてやる」

「1回作戦通りに行ったからって調子乗りやがって」

「今日は奮発して高級料理頼んじゃおっかな」


星奏はニマニマして雫は口をもごもごさせてニヤついている。

かくいう俺も完全に調子に乗っていた。


「そういえばなんか変なんだよね。この子達からあんまり声が聞こえないって言うか」

「ゾンビ動物ではないのは確かだし別に気にしなくてもいいんじゃないか?」

「ていうか、行動一つ一つがなんか遅い気がするな。まぁ別にいいけど」


この2匹をどうやって引き剥がそうかと考えていると大きいクマはくせ毛クマを雫がいる所に投げる。

俺達はそれに気付いた時には雫はくせ毛クマに触れられ、くせ毛クマと一緒に落ちていく。

大きいクマは落ちてきたくせ毛クマをキャッチする。

雫は星奏のおかげでなんとか地面と激突することはなかったがまたくせ毛クマに触れられ俺達の所に戻れずにいた。



私は2匹のクマに押さえ付けられている。


「星奏、早く降ろせ!」

「ちょっと待て。今降ろす」


竜はすぐに地面に降りクマに近づく。


「星奏!竜!」

「今助けるからな!」

「ウインド!」


竜の魔法のおかげでくせ毛クマは吹っ飛んだが大きいクマは吹っ飛ばずにまだ私を抑えている。


「そいつを離せ!ファイヤランス!」


星奏が魔法で大きいクマを燃やすけどどこかしらから水が出てくる。

多分、意識していなかったから細いクマにかけた命令が無くなったんだ。


「私を離せ!」


私は大きいクマに向けて言って離してもらうがくせ毛のクマが戻ってきて私を押さえ付ける。

竜達は必死にどかそうするが動物の力に負けて全く歯が立たずにいた。

どうすれば――


《お待たせしました。雫様》


この声は.....ブラウニー?

いくら死ななくなったからって死ぬ体験をさせたくないから連れてこなかったのに。


《おぉ雫様だ。雫様だよ、お前》

《泣いてる。クソっ雫様は泣くんじゃなくて泣かさせられる方が素敵って普通分かるだろ》

《ふ、俺の出番のようだな。俺が全て片付けてやる》


知らない鷲達も一緒に私の下にやってきてクマをつつく。


《雫様、俺の存在を忘れるなんてバカな女だな。べ、別に雫様を助けに来た訳じゃないがな》

《僕の事も忘れちゃってね。本当に酷いお人だ。べ、別に雫様を助けに来た訳じゃないですからね》

《雫様、私を忘れるなんて本当に馬鹿ですね。べ、別に雫様を助けに来たわけではございませんから》


このちょっとツンデレっぽいのはサンとゾナとソレイだ。

皆、助けに来てくれたんだね。

ブラウニー達のつつきのおかげでクマ達は私から離れて行く。


《雫様、後ろ注意してください》


これはクロ。

皆、来てくれんだね。


「行くよ、皆!」

「なんか雫が主人公ぽくなってる」

「主人公の座が...」

「お前に元からそんなものはない」


かっこよく決めさせてくれないのはなんでなのかな。

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