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[完結]世界の終わり  作者: ワクルス
暑い季節
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主人公補正

 俺達は長く苦しい夜が明けお昼時に目的地である札幌に到着する。

札幌の町の光景は仙台や東京とは違い畑らしきものがなかった。

夏だからか雪は積もってなかった。

札幌の良さを全然受けられないことを悔しがりながらも旅館に向かう。

旅館に着き受付を済ませ荷物を部屋に置く。


「手紙を届けた後はどうする?」

「そんなの決まってるでしょ」

「そうだな、あれしかない」


2人がうんうんと頷く。

まぁ観光とかだーー


「「寝る」」


星奏と雫は死んだ魚の目つきで言ってくる。

現代を生きる若者がそんな夢がないことを言うなよ。

俺は美味しそうな食べ物があった時用にカバンから財布を探す。


「ん?」


俺はカバンから財布を探す。


「んんんんん?」


俺はカバンの中身を放り捨てながらも探す。


「竜、どうした?」

「いや、財布が無くて」


探しても探しても財布が見つからない。

もしかして家に忘れた?


「馬鹿だなぁ、竜は。私のお金を貸してあげるよ」


雫はそういうとカバンから財布を探す。

流石、雫様様だな。


「10日で一割ね」

「やっぱり雫は優しいな」

「普通に法律違反なんだけど」

「貸さなくてもいいんだよ?」

「すいません」


雫はカバンから財布を探し出し数分経つと雫はカバンの中の物を放り投げカバンの中を探す。

さらに数分経つと額に汗が出てき肩をプルプルと震わせる。


「まさか……」

「星奏、お金貸して」


雫は星奏に向かって手を差し出す。

お前もか。

すると星奏は大きなため息をつくとカバンから財布を探し出す。


「あれ?」


この流れは……

まさかな。

星奏も俺達と同じようにカバンの中身を放り投げる。


「財布忘れちった。てへっ」

「まじかぁ」

「私達、せっかく札幌まで来たのに食べ歩きもなしに旅行らしい旅行すらせずに帰るんだね」


やっぱりお前らだって食べ歩きぐらいはしたかったんだな。

だっていっつも東京にいるもんな。

苦労してまで札幌に来たんだ。

せっかくならおいしい特産品を食べたい。

俺達は落ち込んでいるのを紛らわすため窓の外の人の数を数える。

俺が意外と人の数少ないなぁと思っていると星奏は覚悟を決めたように立ち上がる。


「こうなったら仕方ない。ここは冒険者らしくクエストを受けよう」

「「いやだぁぁ」」



貴族に手紙を届けると俺と雫は星奏に連れられて札幌のギルドに着く。

ギルドがあるのは仙台や東京と同じくビルの中だった。

少し遠い程度じゃ景観が変わることはないんだな。

いや、普通は変わると思うじゃん。

札幌だし時計台の中とかに置いてもいいじゃん。

俺が現実はこんなもんかと打ちひしがれているのを2人は不思議そうに見ながらギルドの中に入っていく。


「畑の害獣退治が結構多いな。町中にはそこまで害獣が入ってくることないだろ」


壁で囲われているんだし。


「確か、札幌の貴族の方針としては広大な土地を利用するために町の外で農作を行っていることがほとんどらしい。そっちのほうが稼げるからな」


なるほど、だから東京や仙台みたいな畑が町中になかったのか。


「でもそれって危なくない?ゾンビとかに襲われたらどうするの?」

「大丈夫だろ。クエストの中には護衛クエストがあるし」

「なるほど」


雫は納得したのかよくわからない顔をする。


「害獣退治ってことは俺達は強く出れるな」


俺は雫のほうを見て言う。


「……あ!そっか」

「よし、じゃあここの中で一番高いクエストを受けようか」


雫がいれば負けるなんてありえない。

俺達はその場にあった一番高値のクエスト票を持ち受付に行く。

受付の人は一瞬驚いていたが気を取り直したのか真顔に戻る。


「ええっと本当にこちらのクエストでよろしいでしょうか?」

「あっはい」


なんでそんなこと聞くんだろ。

ちょっと動物をわからせに行くだけだろ?

もしかして動物を大切にしろって言ってくるやからか?


(おいおい、あのハーレム気取りのやつあのクエストを手に取りやがったぞ)

(死んだな)

(ていうかあの金髪なまらタイプだわ)

(死んだら死体だけ回収するとかよくね?)

(性癖歪みすぎだろ)

(そういうお前はあの薄めの茶髪の子がいいんだろ?ロリコン野郎)

(正直抱きたい)

(きもっ)


近くにいた冒険者の会話を聞いて疑問だったことが解消される。

星奏は前、東京以外の町は治安が悪いって言ってた。

なんでここまで差があるのか定かではない。

ていうか、他の冒険者からの視線が痛い気がする。

これってもしかしてやばいやつ?

まぁでも、雫がいるし何とかなるか。


「これに記されてる通りの場所にまで向かってください。健闘を祈ります」


受付の人はそう言って紙を星奏に渡す。


「じゃあ行くか」

「そだね」


2人はちょっと切れ気味な顔をして建物を出る。


「あいつらキモかったね、星奏」

「ギルドが格安で止まらせてくれる所にいたやつ以来のキモさだった」

「2人の気持ちは良くわかるぞ」


俺はなだめるのが目的なのが半分、本心から来たもの半分でそういう。

何がハーレム気取りだ。

こいつらに興奮できる要素がどこにあるってんだよ。

興奮できないハーレムはハーレムじゃない。

俺達はさっきのやつらの陰口を叩きながら目的の場所に向かう。



 俺達は受付の人に言われた通りの場所に来る。

そこには畑だったであろう場所だけがぽつんとある。

ここで育ててたであろう野菜は動物が食い散らかしてあった。


「ここに来れば勝手に熊が来るって書いてある」

「てことはその害獣の縄張りだったんじゃね?」

「そんなことはどうでもいいでしょ」


雫は壊れた柵の上に座りドヤ顔で待つ。


「私が何とかしてやるよ」

「雫……多分それフラグだぞ」

「俺達のフラグ回収率やばい程高いんだからそういうこと言うのやめろよな」

「今の取り消すことできるかな!?」


どうせ昨日の夜みたいに強敵が出てくんだろ?

でも、なんやかんやあっても倒せるのが俺達なんだよな。

これぞ主人公補正。

まぁ、今回に関しては主人公補正なしでも倒せるだろ。


「でも、今回はフラグがあろうとなかろうと楽勝だな」

「今日は私が奢ってあげるから夜ご飯食べに行こう」

「札幌だし海鮮系が食べたいな」

「そういえばギルドの食堂においしそうな海鮮系のご飯があったぞ」


俺達が勝った後の話をしていると草むらから枝が折れた音がする。

俺達はすぐさま剣を構え枝が折れた方向を見る。

すると()()()熊たちが横並びに出てくる。


「3匹!?」

「あ!言うの忘れてた」


数は関係ないとは言え報告のし忘れはやめてくれ。

一瞬ビビる。


「私が相手だったのがだめだったね。さぁ熊どもよ!動くな!」


雫がそういうと左右にいる熊たちは動きを止めるが真ん中にいる熊はそのままこっちに近づいてくる。

真ん中の熊は左右の熊にタッチする。

すると左右の熊も動き出す。


「なるほど……」

「これってもしかしなくとも……」

「フラグ回収がこんなに起きてると驚かなくもなってくるね」


俺達は驚くことはせずただひたすら恐怖をかみしめる。

ここまで来たら俺達って逆に幸運なんじゃね?


「食べ歩きするためにクエストを受けたら私達が食べられちゃったってね」

「うまくねぇよ」

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