サマーフェスティバル
俺達は今…
「行くぞ野郎ども!ゾンビを皆殺しにするぞ!」
参加者十数人程度のイベントに参加している。
「…行くぞ!!!」
なんかごつい男の人がすっごい大声を出しているが誰もそれにのらない。
「…行くぞ!!」
暑いなぁ。
セミもミンミンうるさいし、頭おかしくなりそう。
「…行くぞ!」
男の人が涙目になりかけてきてるな。
「…出発進行!」
あ、諦めた。
俺達は男の人の後ろについて行く。
「早く帰りたいな」
「お前が言うな。元はと言えばお前がこれを提案したのが悪いんだぞ」
「そうだよ。買い物から帰ってきたと思ったらなんか貼り紙を持ってきてさ。報酬1万円も行かないのにイベントみたいで面白そうとか言って無理やり私達を連れ出したから」
「だってお前らここ最近ずっと引きこもってるからいい運動になると思ったんだ」
「なんねぇよ。若者には冷房でキンキンに冷やした部屋でゴロゴロさせろって言うだろ」
「言わねぇよ」
俺達はちょっと悲しそうにしてる男の人について行く。
「まぁお昼ご飯は作ってくれるらしいから私の手間が省けて良かったといえば良かったんだけどね」
「やべぇ、溶けそう。星奏、氷くれ」
「若者ならこれぐらい我慢しろ」
「つっかえねぇなぁ。アイスクロース」
俺は体のサイズ合う程度の大きさの氷でできた服を作り着る。
「それ、いいね。私にも作ってよ」
「別にいいけどなんでお前のとこだけ影があんの?」
「上見てみ」
雫に言われた通り上を見るとブラウニーが雫の上をゆっくり飛んでいた。
「流石にそれは可哀想だろ。動物虐待で訴えるぞ」
「別にブラウニーが望んでやってる事だからいいでしょ」
「動物虐待にならない特例ができてしまったな」
「こんなの認めたら次々に犯罪者が出てくるだけだろ」
男の人以外の人達はパーティで固まって談笑している。
男の人は寂しいそうにしている。
「お、おーい野郎ども!しりとりしようぜぇー!」
「でもさ、私は実際に声が聞こえるんだよ?それでブラウニーが望んでやってる事なら憲法何条かの自由権がどうのこうので大丈夫でしょ」
「ブラウニーは人間じゃないんで憲法適用しませーん」
「それこそ虐待だ!訴えてやる」
「動物に人権を与えてやりたかったら動物を人間にすればいいじゃないか」
「頭良さそうで悪そうな事言わないでよ」
男の人はちょっと寂しそうにしながら歩き続ける。
「や、野郎どもー。伝言ゲームとかど、どうだー?や――」
「天才と馬鹿は紙一重って言うだろ。つまりそういうことだ」
「じゃあお前はバカの方だ」
「十中八九天才の方だろ。なんてたって俺はお前らの頭脳を超えているからな」
「くそうぜえなこいつ」
「親の顔を見てみたい」
「お母さんは死にました」
「なんかごめん」
「お父さんは?」
「星奏、そこ深く追求するとこ?」
「そんなやつ居ません。僕は母上の単為生殖で産まれました」
(絶対反抗期ってやつだ)
(絶対そうだよね。親に反抗とかかっこいいね)
(雫、笑いながら言うなよ。あいつ多分泣くぞ)
ぶん殴りたいこの笑顔。
「ババ抜き、し――」
「ていうか単為生殖で産まれたって事はお前人間じゃないんだな。やーい人外!」
「俺が人外だという科学的証拠はあるんですかぁ?」
「人って哺乳類だから単為生殖が出来ないんだよね」
「じゃあ最新の研究によって人間も単為生殖ができるようになったと言えば?」
「屁理屈としか言いようがないな。人間は両性生殖で進化してきたんだから単為生殖なんてしたくてもできないんだ。はい、お疲れ様」
そんなんで論破できたと思っているのか?
まぁ何も言い返す言葉が見つからないのは確かだが。
「…報酬渡さねぇぞ!」
「「「「「ボス!!なにか用ですか!?」」」」」
後ろの奴らもすごい勢いで言う。
「やっぱり皆、金目的なんだな」
「クズだね。やっぱり人間ってゴミだったんだ」
「お前らもな」
俺達は楽しむために来たんだぜ?
そ、そんな。金目的だなんて。
「帰ったら何食べたいんだ?」
「キャビアフォアグラトリュフマヨネーズ丼」
「3種の珍味特盛おんたま付き」
「セレブかと思ったら考え方が庶民だな」
マヨネーズ美味しいだろ。
唐揚げにぶびゃーってかけて食べたらもう最高としか言いようがない。
「ていうかそれを買える程度の報酬じゃないし売ってないしお前らの舌に合わないし買えないだろ」
「最後の一つだけ煽りが入ってなかった?」
雫の手料理で本物の舌が付いたんだ。
俺達の舌はもう完璧だろ。
「野郎ども!目的地に着いたぞ!」
「うっす、ボス。俺らは何をすりゃええですかい?」
「ボスか…ふっ。野郎ども!昼飯の準備をしろ!」
「そういえば俺が準備するんだった」
ボスは鍋をお玉でかき混ぜながらため息をつく。
「ボス!ご馳走になりやす!」
「ありがとうございます!」
「ゴチになります!」
俺達はボスから貰ったご飯を食べている。
「そういえば今日って何をするんだ?ゾンビを倒すぐらいしか聞いてないぞ?」
「今日はなんか冒険者が死にまくっているという噂が広まっているからその調査と目に付いたゾンビの一掃らしい」
「イベント要素なくない?」
「なんかMMORPGのレイドみたいだなって」
「やった事ないから分かりましぇーん」
「引きこもってたならやっとけよ」
ネットが繋がってなかったから出来るわけないだろ。
「ていうか、何かが一気に近づいてくる音がしないか?」
「多分動物かな?よし、ここはいっちょ私が手懐けてサーカス団でも開くか」
「ひと稼ぎするか」
俺達は足音がする方を見る。
「うわぁ、見事に…」
そこには皮膚が溶けてデロンデロンになった犬や猫等のゾンビ動物達が。
「こりゃあ、冒険者がいなくなるわけだ」
「これ、もしかして詰んだ?」
他の冒険者達も気づいたのかさっきまで食べていたご飯をその場には置き立ち上がる。
そして、段々とゾンビ動物達は大きくなっていく。
「野郎ども!一旦こっちに集合だ!陣形を整えるぞ!」
俺達はボスが言う通り集まる。
「いいか?あいつらはなんか色々強い。だから、複数人で一体の相手をしろ。俺はお前らが戦ってる相手以外の気をひく」
「「「分かりました」」」
「え?ちょっとは止めるとかないの?」
「ボスは身体強化の能力者だと聞いたんで」
「頑張ってくださいね」
他のヤツらには人の心とかないのか?
まぁ、身体能力強化があるなら大丈夫だろうけどさ。
「ニャー!」
「ワンッ!」
ゾンビ動物達は俺達の背後にまでやってきていた。
「じゃ、頼んだぞ」
ボスはそう言うとそそくさと逃げていく。
「ボスー!」
「報酬は弾んでやるから」
「ボスゥ!」
ボスをゾンビ動物達はボスに向かって走っていく。
「いっちょ、やってみっか」
「だね。私の力の片鱗を見せてあげるよ」
「やはり金か。私も同行する」
「星奏院!」
俺達は少し準備運動みたいなことをする。
「かめはめライトニング!」
「地獄の炎に抱かれて死ね!ライトニング!」
「我がドイツの科学力は世界一!ライトニング!」
俺以外にまともな人間はいないのか?
「なぁ、なんかピンピンしてないか?」
「…普通痺れて動けなくなると思うんだけど」
「…嘘だろ?」
ゾンビ動物達は何事も無かったかの様に近付いてくる。




