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[完結]世界の終わり  作者: ワクルス
暑い季節
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俺はなぜか意識が薄い中家の中にいる。


「おい竜、早く麻雀するぞ」

「ちょっとは待てよ」


俺がリビングの椅子に座ると星奏は持っていたタロットカードを混ぜ始める。


「確か合計21を超えるとダメなんだよね?」

「そうそう。それで、何をかける?」

「やっぱりカップ焼きそばって美味しいよな」

「いやいや、キャビアも捨てがたいよ」


星奏は混ぜ終わったのかUNOを配り始める。


「よーし、勝つぞぉ」

「最下位は罰ゲームとしてたこ焼きの踊り食いね」

「ナポリタンは牛乳でできてるんだぞ」


俺は自分の手札を見る。

なるほど、星5の黒龍(ブラックドラゴン)か。

攻撃力は高いけど攻撃力は低いんだよな。


「くらえ!速攻魔法、ストレートフラッシュ!」

「残念、チョキだ」

「クソっこうなったらインド人を右に!」

「雫、その手は俺が防がせてもらうぜ。行け!黒龍(ブラックドラゴン)、その高い防御力を見せてやれ!」

「たかだか足が早い程度のネズミに負ける訳がないでしょ!いけっ!アンパン!」


雫も汚い手を使うな。

だがこうなったら仕方ない。


「スキップで反射!」

「私の方に飛ばしてくるとはいい度胸だ。忍法!まんじゅう化。どうも皆さんこんにちはゆっくり星奏だぜ」

「まんじゅう化であんぱんのあんこ攻撃を軽減させただと!?」

「攻撃発動!24時間ゆっくり解説を聞かせることによる廃人化だぜ!」

「竜もこれで終わったね」


俺は星奏が持ってる葉っぱを盗る。


「脱法魔法発動!相手の手札を1枚破く!」

「ゲス属性の攻撃はルールなんてなくなってしまう!」

「じゃんけぽん、あっち向いてホイッ」


雫は俺の方に向かって指を向ける。


「はい、負けー!」

「団子食わせてやろうか!」

「みたらし団子を頂戴するね」

「ブラックホール!」


星奏はテーブルの上に置いてあったタロットカードを全て自分の手札に加える。


「まさかお前も」

「そうだ、私もお前と同じクソ魔法の使い手さ」

「ルールブックなんて最後からなかったんだ!」


俺達は草木も何も無いただ広い草原にいる。


「釣りしようぜ」

「いや、かくれんぼでしょ」

「いやいやここは間をとってモグラ叩きゲームをしないか?」

「いやだ!船乗りたい!」

陸酔(おかよ)いさせてやるぞ」

「雪だるま作ろうよ」

「そうしようぜ」

「竜さーん!」


有輝が向こうの方から走ってきたぞ。


「竜さん、今日歴史上で1番太陽が沈むのが早いらしいっすよ」

「そうなんだ」


俺がそう言った瞬間辺り一面が真っ暗になる。

そして地面から次々と手が出てくる。


「クソっこいつらまた湧いてきたっす。竜さん達、やってくださいっす」

「任せな」


俺達は西部のガンマンみたいな格好をしタバコを口にくわえる。


「俺は早いぜ」


俺は腰にあった拳銃コルト・SAAを引き抜き瞬く間に100体以上のゾンビを倒す。


「流石竜さん!そこに痺れて憧れるっす」

「でも…」

「後ろはガラ空きだね」

「そのためにお前らがいるんだろ。未来型対(フューチャータイプ)死体怪獣(アンチゾンビ)決戦部隊(ディサイシブズ)の一員であるお前らが」


俺が後ろを振り向くと宇宙飛行士の格好をした2人がいた。

2人はレザー銃みたいなものをもちゾンビ達に向かって打ちまくる。


「ロン!」

「ポン!」

「よっしゃktkr、九連宝燈(チューレンポートー)!」

「竜さん達すげえっす。感無量っす」


俺達はすぐ違う所に逃げる。


「よし、ここまでくれば大丈夫だろ」

「ひとまず休憩だね」

「ひと狩りいこうぜ」

「もう危険な目に合わされるのはごめんっすよ」


なんか有輝らしくないな。


「やぁ、君達もここに逃げてきたのかい?」


1人の老人が奥の方からやってくる。


「ちょっとゾンビ達から逃げてきて」

「そうなんだな。まぁここにゾンビが来る事は基本的にないぞ。ゾンビの事は安心しておきたまえ」


誰だろこのおじさん。

俺達は一息つこうと地面に座りこもうとすると視界がテレビの砂嵐みたいになる。

そして視界が戻った時に見たものは


「ゾンビの事は…な」


有輝は真っ二つになっており星奏と雫は檻の中に入れられて声を出せない状態にされている。


「さて、君はどうしようか」

「あ…あ…」


俺はなぜか動く事が出来ずにずっと座り込む。

老人はお腹を鳴らしながら近づいてくる。


「そろそろ寒い時期だしな鍋とか美味しそうだ。この老体に焼肉は無理そうだしな。鍋一択だ」


「あ…あ…あ…」

「まずは料理酒で臭みも消さんとな。その後にそこら辺で野菜か何かを調達して…うん、晩飯が楽しみだ」

「やめて…くれ」

「命が惜しくなったか?だが無理だ。ワシも腹が減ったんでな」


俺はただ呆然と自分の胸に老人の手を入れられるのを見る事しかできない。

でもなぜか痛みは無い。

あ、血がドバドバと出てくる。

俺、本当に殺されてるんだな。

俺は恐怖で目をつぶってしまった。


「竜、大丈夫か!?」


なぜなんだろう。こんな状況でも親父の声を聞くと無性にムカつく。

顔面ぶん殴ってもおさまらないくらいイライラする。

2人分の足音が俺の所にやってくるのを聞きその方を見ようと目を開けるも視界が段々暗くなる。

死んでしまったのか?


「竜!」

「へっ?」


気づいたら俺はまた家の中にいた。


「竜のターンだよ」

「あぁ、ごめんごめん」


まぁあんな事ある訳ないよな。


「あ、ごめんトイレ」

「早くしろよ」

「分かってるって」


俺はトイレをすぐにすませリビングに戻ると2人の姿が無くなっていた。


「おーい!いないのか?このゲーム俺の勝ちってことでいいか?」


俺はおもむろに窓の外を見ると町が炎で焼き尽くされており灰色の雪が降っていた。


「…え?」


そしてまた真っ暗な空間に来る。


「竜?元気やんな?」

「お前は…」

「元気そうでなんか安心したわ」


小学生の時にもう2度と会えないと思ってたのに。


「康宗…」

「竜、あんたが楽しそうに過ごしてて嬉しいで」

「お前もこっちに――」

「それは無理や。絶対、俺にもやらなあかん事ができてしまってん。すまんな」

「いや、こっちこそ…あの時、約束を破ってしまってご――」

「竜、いつまで寝てんねんはよ起きや」

「え?」

「はよ起きろ!」


ん?


「起きろ!」

「うひゃぁっ!はぁ…はぁ…」


俺は上体だけを一気に起き上がらせる。


「やっと起きたよ」

「いくら涼しいからって寝すぎだろ」

「はぁ…はぁ…今何時?」

「17時」

「うえっ!?マジかよ」

「今日、竜が買い物当番でしょ。早く行ってきて」

「そうだった」


俺は急いで起き上がり身支度を始める。


「今日はタコ焼きだから、タコ買ってきて」

「はいはい」


俺はドアノブに手をかけるとおもむろに2人を見る。


「どうしたの?」

「いや、なんか見たくなった」

「気持ち悪」

「泣くぞ」

「早く行け」

「分かってるって。いってきます」

「行ってらっしゃい」

「なるはやな」


俺は家の外に出る。

町はいつも通りの姿だ。


「あ、竜さん。お久しぶりっす」

「お、有輝か」


有輝が向こうからやってくる。


「今日もクエストか?」

「そうっすね。竜さんは?」

「俺は今から買い物だ。ってこんな事話してる暇ないんだった」

「それじゃあまたっす」

「またなー」


俺は走ってマンションから出ようとする。

そういえば俺、なんか夢を見てたんだよな…内容を忘れてしまったな。まぁいっか。

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