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[完結]世界の終わり  作者: ワクルス
暑い季節
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夏本番

俺達は今…

「あついーーー!」

「脱水症と熱中症の同時発症でしぬぅぅ!」

「2人ともこの暑さにやられすぎだろ」


夏の暑さにやられていた。

星奏はまだまだ余裕な表情で椅子に座っている。

なんでそんなに余裕でいられるんだ。


「電気が使えないせいでクーラーが使えないの本当に辛い」

「現代の3種の神器ぐらい使わせてよ」

「他の2種類はなんだ?」

「コタツとカップラーメン」

「1つだけ食べ物が混じってるな」


俺達は服をパタパタさせなんとか涼もうとする。


「仕方ないだろ。発電できる電気だってほんのちょっとなんだ」


確か、隷属刑に処されたやつらが手回しで発電してるんだったな。


「せめて魔法が使えればいいんだけどね」

「唯一使える能力でも私達の能力で涼しく出来るものはないしな」

「詰みだろ!あぁ俺達はここで死ぬんだァァァ!」

「竜…その通りだよ!うわぁぁぁあぉぁぉ」

「ちょっとは静かにしろよ」


誰もが星奏みたいに余裕でいられると思うなよ。


「もういっその事、1回町を出てでかい氷作って持ってくるか?」

「「賛成!」」


あちゅくてちぃにそぉ。



俺達はなんの装備も持たずに町の外に出る。


「アイスブロック!」

「氷塊!」

「はいもっと大きくしてこー」

「雫、お前もやれよ」

「私は2人みたいに氷を作るイメージができないんで」


簡単だろ。

水の温度を下げまくって形作って終わりだ。


「これ、売れば高く売れそうだな」

「確かに。こんな大きな氷、冷蔵庫じゃそうそうできないしな。大きな氷を部屋に置いとくだけで冷房代わりになるしな」

「ええ事思いつきますやん。流石竜はんですな」

「いえいえそれほどでもぉ」

「大金がまた入ってくるのか。最高やでぇー」


全員小物臭いセリフを吐くが俺達は氷を作り続ける。


「そういえばこんなに大きな氷、どうやって運ぶの?」

「んなもん簡単よ。星奏」

「そう、私の能力は見えない床とサイコキネシス。運搬系統に関して私の右に出るものはいない!」

「いい能力してるよなぁ」

「ねぇー」

「話をそらすな」


ちょっとぐらいいいじゃん。

主人公のパーティーメンバーみたいな能力しやがって。


「これぐらいにしてさっさと運ぶか。溶けたら元も子もないしな」

「じゃ、よろしくぅ」

「サイコキネシス!」


星奏は氷塊と共に空に浮かび上がる。


「じゃ、お先に」

「「…へ?」」


星奏はそのまま呆然と立ち尽くしている俺達を無視して家に向かって飛んでいく。


「…あいつ!裏切りやがったな!」

「裏切るとはええ度胸ですやん。裏切ったからには落とし前…つけてもらわなな!」


俺達は家に向かって全力で走り出す。


「あいつの服だけ透明化して周りの男共の鼻血ブッシャーな展開にしてやる」

「じゃあ私は外に出たら鳥のうんこをべチャンと服と髪に付くようにしてやる」


俺達は天に誓いながら家に向かって走り続け…


「ぜーはー、ぜーはー」

「あちゅしゅぎて死んじゃゆー」


あれ?俺達って結構強敵との戦闘で体力ついてるはずじゃあ…最近家から出たの買い物ぐらいだったな…。

くそ!暑いせいで力が出ない!


「ゆっぐり…へぇはぁ、へぇはぁ…いごっが」

「ぞれが…すーはぁー、すーはぁー…いいな」


俺達はとぼとぼと町に向かって歩き出す。


「グギャーアーァァ!」


…ゾォンビィー!?


「うわっ!なんでこんな時に来るんだよ!」

「嘘でしょ?私達が何か悪い事したぁ?」

「ブァガァァァア!」


剣なんて持ってきてないしよぉ。

冒険者達、町の周りのゾンビくらい狩っとけよ。

一般人の俺らに被害来るんだぞ。

それで農作物の収穫量が減って困るのはお前らなんだからな!


「魔力はまだまだあるが…気力がない」

「死ぬなら推しと結婚して死にたい。それか子供や孫達に見守られながら死にたい」

「俺は全国民が葬式に来るって言うなら死にたい」

「じゃあこの状況何とかしてよ!」

「と言われたって。疲れて頭使えないんだよな」


酸欠よりは軽いって感じ。


「大丈夫!」

「なにが!?」

「アニメならこの状況でかっこよく有輝みたいなやつが来て、君にはもう危険ってやつは訪れない。だって僕、最強だから。ってセリフとともにバッタバッタと」

「夢見んな次元1個落とすな現実見ろ。この状況なんとかしないと死ぬんだよ?」


どうしよ、やばいなぁ。

ゾンビの数が増えてきた。

ここで死ぬのは主人公としてのプライドがなぁ…


「有輝を主人公にすれば解決だな。よし」

「せめて主人公にするなら私にしてよ。ていうか、主人公ならこんな雑魚敵に倒されないでよ!」


へへへ、悪ぃ、俺…死んだ。


「うーん…よし、大魔道士竜に任せろ」

「お、キタコレ!早く何とかして」

「ここは…1つ、透明化して」


俺は俺と雫の姿を消す。


「後は…」

「うんうん、後は?」

「台風!」


街の方向にいるゾンビ達を左右に飛ばす。


「そして…」

「そして?」

「走れぇー!」

「結局それだねぇ!」


逃げろぉー!



俺達は顔を真っ青にしながら玄関のドアを開ける。


「すーーはぁーーーー!すーーーはぁーーーーー!」

「すーすーはぁーーー!すーすーーはぁーーーー!」

「お2人とも遅かったじゃないか。どうしたんだ?そんな顔を真っ青にして」


俺達は星奏の質問を無視しトイレへと向かう。


「おりぇがしゃきだ!」

「いや、ここひゃれてぃーふゃーしゅとってことでぇ…うっ!」


俺は雫に押し飛ばされ。

雫が先にトイレに入る。


「オロロロロロロロロ」

「あ、やびゃい。そういえば、洗面所にバケツが…うっ!」


俺は洗面所に向かって精一杯走る。


「あった!オロロロロロロロロ」

「今日は2人に優しくしておくか」


うぅ、しんどい。


「運動しとけば良かった」

「お前の場合3日でやめそう」

「誰が三日坊主だ!」


俺はお腹の調子が収まってきたので立ち上がる。


「ほれ、砂糖と塩をなんかいい感じに混ぜて吸収率をよくした水だ。飲んどけ」

「大丈夫だよな?」

「普通の色してるだろ。大丈夫だ」


なら大丈夫か。

俺は星奏から星奏お手製の水を一気に飲み干す。


「ふぅ、ちょっと落ち着いた」

「なら良かった」


トイレの水が流れる音とともにトイレの扉が開き雫が出てくる。


「うぅ、吐きそう」

「もう吐いてんだよ」

「ほら、雫にも。私お手製のあまじょっぱい水だ」

「星奏が作ったの?…じゃいらない」

「雫、これは大丈夫だ。流石に塩と砂糖を混ぜるだけだ。それに俺が飲んでも何ともなかった。人体実験済みだ」

「なら貰う」

「なぁ、流石に酷くないか?」


そんな事ないと思う。


「てか、なんか寒いな」

「もしかして、黄泉の冷気?…あぁ私達は死ぬんだね。竜…疲れたでしょ…。私も疲れたんだ。なんだかとても眠いんだよ。竜…」

「くぅーん」

「いや、お前らなんのために外に出たのか忘れたのか?」

「…あ、そうか。氷!」


大型アクリル水槽に入った少し大きめの氷塊が部屋中にある。


「涼しい」

「こりゃいいな」

「これでゆっくり過ごせる」


俺達は気分が良くなったのか床に寝転がり眠りにつく。

こりゃぐっすり眠れるな。

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