天候を操りし者2
升は痺れが収まったのか少し体を動かしている。
「よし、これなら行けそうだ」
そして俺達は...
「ゲホッゲホッ!」
「えっさ、ほいさ」
「無理無理無理無理」
かなり逃げている。
「あんなんに勝てるわけねぇだろ。逃げの一択しかねぇんだよ」
「うぅ氷の粒が地味に痛い」
「何が落雷だ。何が雹だ。このチート野郎め。お前は異世界転生してなろう主人公でもやっとけよ」
なんかこの後負けそうなモブのセリフを言った気がするがそこは気にしない。
「あいつが異世界転生した時の作品のタイトルは異世界に転生したら特急魔道士の10倍の魔力を持ち世界を変えらる力である天候を操つる程度の能力を持つ事から世界一の魔道士と呼ばれるようになり種族ゾンビによる体質の不死身パワーでチートハーレム無双!?だろ」
「クソ長タイトルやめろ」
「何文字あるの?」
「大体98字」
「なっが」
「タイトルというよりあらすじじゃん」
被らないようにしてたらなんか長くなるんだろ。
そして俺達は近くの建物の中に入る。
「ふぅここまでくれば大丈夫だろ」
「あ、それフラグ」
「雫、何を言ってるんだそんなものが実在する訳ないだろ」
「何回かフラグを回収したことのある竜には言われたくない」
「主人公補正ってやつか?」
「フラグ回収しか補正がないってどうなってるんだ」
「その場合俺はハンデを背負ってる状態で強敵に打ち勝ってる最強という事になるな」
「私達もいたからなんとかなっただけだろ」
それはそうだと思う。
けど俺は1人で中級ゾンビに勝ったんだぞ。
最強だろ。
「主人公補正がないよりはマシか」
「そんな主人公補正で喜ぶのはちょっとどうかと思う」
「じゃあ俺に主人公補正があったらどうなると思う?」
「うーん、そこら辺の困ってる女の子助けてキャーキャー言われる...ぐらいか?」
「いや、ゾンビが溢れかえってる世界での主人公補正ならゾンビにならない特異体質が主人公補正になると思うんだ。ていうことはその体質の研究のために拉致られたりするかも」
「主人公補正で何とかしろ」
ストーリー上は何とかできなさそう。
で、そこから性格とか色々変わっていくんだ。
「とりあえずフラグ建築と言ったら俺、この戦いが終わったら結婚するんだって言っとけば大丈夫」
「そろそろフラグ回収の時かな?」
「まぁそんなフラグポキポキ折ってや――」
建物の壁がバンと壊れる音がする。
「あ、お前らみーつけた」
「「「見つかっちゃった」」」
あ、これヤバいやつそう。
案の定やばかった。
「タツマキ!」
「うわー!」
「流石にこれは強すぎだろ」
「ちょっと待っててくれ」
俺たちが入った建物を真上に吹き飛ぶ。
このままここにいたら升が何をしでかすか分からないな。
上昇気流をすごい勢いでだして天井に頭ぶつけて死亡とかありそうだ。
そう思うのは俺だけじゃなかったようで俺達はすぐさま建物の外に出る。
「勢いよく飛び出したのはさいいと思うんだけどさ。...高くね?」
俺達はそこらのビルよりも高い位置にいた。
「別に私がいるんだから死ぬわけないだろ」
「それはそうだけどさ」
「とりあえず早くお願い。めっちゃ怖い」
「サイコキネシス!」
俺達はかなり高い場所に少しばかりの間浮く。
こんな高さ、高所恐怖症がいたら死んでるぞ。
「自分でやったけどクソこぇぇぇぇ!」
升が叫びながら俺達の横を通って落ちていく。
馬鹿だろあいつ。
「なーんてな!上昇気流!」
升は俺達の所まで浮かび上がってくる。
「お元気ですか?僕はとても元気です」
「お前を見たせいで元気じゃなくなった。ライトニング!」
「あーシビレルー」
あ、これなんかあるやつだ。
「らーくーらーいー」
「星奏!」
「エアーウォール!」
あっぶねぇ死ぬところだった。
ていうか耳ぶっ壊れるわ。
こんな大きい音を聞かせられてよ。
「いてて、おっ電気のおかげで凝りが無くなった」
「良かったな。投石!」
石を魔法で作り出し風魔法を使って勢いよく升に石をぶつける。
「お、体に傷がついちった。でも再生するから無駄ァ」
俺達はこの隙に地面に降りる。
「ていうかさっきの電気どうやったんだよ」
「それはまぁ主人公補正...かな?」
「察しはついたけどな。どうせ雷ができる原理を使ったんだろ?」
その通りです。
「つまりは...」
「ちょっとぐらいかっこよく攻撃させろよな」
「こういうことだろ?」
星奏はゆっくりと降りてきた升に向かって俺と同じ魔法を放つ。
「いってぇな!また体痺れたじゃんか。動けない」
「よし退散!」
「逃がすかよ。グランドウォール!」
俺達の行く手に大きな壁ができる。
「何すんだよ!」
「お前はせっかく釣れた魚をわざわざ海に返すのか?」
「リリースっていう釣った魚を逃がすのが釣りにあったような...」
「マジレスすんな!せっかくいい感じに決まったと思ったのにさぁ」
かっこよく決めさせる訳ねぇよな。
かっこよくしていいのは主人公の俺だけだ。
「ふぅマジでビリビリする。体が動かしにくい」
「2人がやったのは水とか氷を擦り合わせるんだね。分かった、私もやってみる」
「そんな事俺がさせる訳ないだろ。キック!」
升が俺達に向かって蹴りを入れようとするが急に浮かび上がり蹴りをかわす。
「おい、待てごらー!」
「サイコキネシスサイコキネシス」
「こんな感じかな?ライトニング」
「あばばばばばば」
雫も俺と同じ技を使う。
なんで2人ともそういうのはすぐにできるんだ。
創作者の意思を尊重してくださいよ。
真似されたら特別感が無くなるじゃん。
「クソガキャ!調子に乗るんじゃねぇぞ!」
「よし、今の内に殺るぞ」
「「おお!」」
「やめろー!誰かー助けてー乱暴させるぅー」
お前が最初にやってきたんじゃないか。
俺達は攻撃する素振りだけを見せる。
「星奏、残りの魔力は?」
「4000ぐらいだ」
星奏の魔力が尽きたらこっちの負け確。
どうするべきか。
そう考えてる内に升の痺れが収まったのか首をゴキゴキ鳴らし少し体を動かす。
「逃げられまくってそろそろ堪忍袋の緒が切れたぞ。出血大サービスだ」
升はそう言って懐からもうひとつ水晶玉を取り出す。
「これがなにか分かるか?」
「幸運を呼び寄せるために高値で買う――」
「そんな詐欺師のと一緒にするな!これはな...能力無効玉だ」
あ、なるほどそこを封じられるのね。
...詰みじゃね?
「そこら辺の盗賊を襲った甲斐があった。こんな物まで持ってるとはな」
盗賊までいるんだ。
なんかファンタジーって感じがやっとでてきたな。
「ええっと使用方法は...」
「説明書読めよ」
「それもそうか」
升は懐から1枚の紙を取り出す。
(よし、今のうちだ)
(じゃあ行くぞ)
(準備オッケー)
俺達は頷き合うと一目散に逃げる。
「戦わずして勝つ!」
「生き残ればよかろうなのだー!」
「計画通り!」
「あ、そう使うのか。脚強化!」
升は一気に俺達の前にやってくる。
「審判の時だ」
そして俺達の顔はみるみる青くなっていく。
「魔力を流してっと。これでよし」
水晶玉が白く光り出す。
水晶玉から発せられた光は半径100m程の球状に広がり結界みたいになる。
「では改めまして...こっからは俺のステージだ!」
これ、もしかしなくても絶対俺達の詰みなんじゃね?
いやまさかな、まさか。
「能力は使えないけど魔力量はまぁまぁあるし能力なしでも電気は出せるな。ちょっと魔力食うけど」
あ、詰みっすね、これ。
「人生色々あったけど最終的には楽しかったなぁ」
「出来ることなら私の机の上に置いてある上から16個目の本、読みたかったなぁ」
「なんかのドッキリ説を今でも推しておこうっと」
雫、諦めな。
俺達は諦めムードになりながら升を見る。




