能力の使い方
「ぐわぁぁぁ」
このキメラなんでこんなにも早いんだよ。
俺達が更なる挑発をした後、すぐにキメラが俺にだけ襲いかかってきた。
「ちょっと、誰かー助けてー!」
「こっちもかなり強いんだお前が何とかしろよ」
2人は人型ゾンビの相手をしている。
仕方ない、キメラに効くかわかんないし未完成だけど使うか。
「フラッシュ!」
目を閉じてもちょっときつい。
でも効果は抜群でキメラが目を閉じて倒れている。
「この隙に。お命いったっだっきまーす」
と言った瞬間、人型のゾンビが無言でファイヤーボールを連発してきた。
「ウォーターシールド!」
魔法を防ぐための魔法だがかなりの魔力を使ってしまった。
上位ゾンビは魔法を使う事もできるのか?そう思っているとキメラが立ち上がってきた。
「ちょっと相手変わってくれない?」
「無茶を言うな。こっちだってこいつの牽制で手一杯だ」
そういえばなんでこのキメラあのゾンビを襲わない?
あのゾンビがキメラを操っているのか?
ていうかさっきからずっと俺を狙ってきやがってムカつく。
このキメラの能力は空中で何も無いのにジャンプしたところを見るに空中に見えない床を作るだと思うけど。
「頑張って隙を作る。その間に相手を変わってくれ」
「そこまで言うなら分かった」
「オマエノヤルコトムヲムダ二シテヤル」
そう言ってゾンビが2人を風魔法で飛ばし、こっちに走ってくる。
本当にこいつには知性があるのか疑いたくなったよ。
「フラッシュ!」
「ウッ」
今のうちに選手交代だ。
「メガヤケルヨウニイタい」
怯んでる今のうちに近づきたいな。
でも、透明化したら警戒されそうだし……そうだ!
「分身!」
まだ2人までの分身しかだせないか。
まぁいい相手を騙せるだけで十分だ。
分身は俺が反射している光を複製して、立体的に映し出した分身というより幻影だ。
「キコエルゾ」
そう言ってやつは本物の俺に風魔法を放った。
その風魔法はかなり強力で俺を建物にものすごい勢いでぶつからせた。
今一瞬見えたが俺のすぐ真横にあった石は何も動いてなかった。
ということはピンポイントで俺を狙ってきたということ。
光を操って分身している感じにさせてるだけだから足音はないけど、迷いなく当ててくるか?
もしかしてあいつ、耳がいいってのか?
適当でも当たりそうだけども。
「大丈夫か?!」
「大丈夫大丈夫、あばらが折れただけ」
「それ絶対大丈夫じゃないやつだよね?!」
2人がキメラを相手にしながら話しかけてくる。
いやそっちに集中しろよ。
はぁしょうがない、小細工しにくいし、ここまで来たら正々堂々とやるか。
「ナンダコレハ。シカイガヨコニナッテイル」
正々堂々?なにそれ美味しいの?
俺があのゾンビに何をしたかと言うとゾンビの目に入る光をいじって、視界を90度曲げてやった。ただそれだけだ。
視界を曲げる方が視界を消すより情報を処理するのに時間がかかり隙ができる。
小細工しにくいとは言ったが出来ないとは言ってない。
「さっきのお返しだ。おらぁぁ」
「クッ」
ゾンビがまだ混乱している間に一太刀入れてやった。
だがゾンビだからかすぐに再生する。
「あれれぇ?どうちたのかな?」
ゾンビは分かりやすく肩を震わせてキレている。
ゾンビはバカみたいに火の玉を沢山出して俺に向けて打ってくるが俺は水の壁を出して防ぐ。
そして、そのままゾンビに近づく。
「クソッ」
ゾンビは俺に向けて強風を出す魔法を打ってきたがさっきよりも弱く頑張れば前に進める程度の強さである。
「俺の勝ちってことで」
俺は刀を抜きゾンビの首に向かって力を込めて刀を振る。
よし、ゾンビ討伐完了。
ゾンビからゾンビ能力因子である肉塊が出てくる。
「雫、この能力因子食ってくれ」
「なんで私?」
俺はキメラと戦っている雫に声をかける。
「星奏1人でもキメラは大丈夫そうだし」
「はぁ?」
「分かった。じゃあ、頑張ってね星奏」
「えっちょっ待っ」
星奏は1人でキメラの攻撃を凌ぐ。
「しぬぅぅぅ」
「これを食べればいいんだよね?」
「そうそう」
雫は少し抵抗あったがゾンビ能力因子を食べる。
「うぇ、まずい」
「腐った肉みたいな味するよな」
「食べたことあるの?」
「それで、どんな能力だった?」
「無視なんだ。えぇっと、動物を操る能力だね。あ、なんか説明的なことも書いてる」
なにそれ。
俺の時そんな事なかったんだけど。
「お座り」
雫がそう言うとキメラが星奏への攻撃をやめお座りをする。
なんか、見た目ネコ科だからすっごい違和感する。
「助かった」
星奏は疲れきった様子でその場に座り込む。
「すごいな、猛獣相手に剣1本で戦うの」
「火事場の馬鹿力的な何かだろうな。それより後でお前覚えとけよ」
「中級ゾンビを倒したから許して」
星奏が俺を睨みつけてくる。
ちょっとは悪いと思ってるよ。
「なんか、声が聞こえる」
「私は何も聞こえないぞ」
「俺も。ていうか、雫は動物を操る能力なんだしそこのキメラの声なんじゃない?」
「えぇっと。僕は悪いキメラじゃないよって聞こえる」
「ほらな、言った通り」
「なんかお前、適当な確率言って当たったら騒ぐやつみたいになってるぞ」
なんか嫌だな、それ。
「この子どうする?」
「能力持ってただろ? 星奏、いる?」
「欲しい。空飛んでたし、私も空飛びたい」
「じゃあ、殺そう」
「僕、皆操られてただけって言ってる」
あのゾンビ倒した後も攻撃してきたよね。
嘘だってこっちは分かるんだぞ。
「キメラとか高く売れそうだし、殺そう。雫、やっちゃって」
「あいあいさー」
雫はそのままキメラの首を切り落とす。
動物虐待とかで訴えられないかな?
キメラの死体からゾンビ能力因子が出てくる。
星奏はそれを見るとすぐ能力因子を手に取り食べる。
ちゅうちょなく食べるのすごいな。
「まずいな。ええっと能力は空中に見えない足場を作る能力だってさ」
なんか空飛ぶ系の能力とか動物操る系の能力とかって王道でいいよな。
それに引替え俺は光を操るだけ……泣きそう。
あの戦いからの帰り道。
「そういえば、竜。光を使いこなせないって嘘だったじゃないか。どうゆう事なんだ?」
「使ってみたら、使えた。ただそれだけのことさ」
よくあるよね。できないと思っていたらできたこと。
「そういえば雫、能力の説明ってどんな感じだったんだ?」
「えーと確か、動物に命令できる、動物と会話ができる、動物に名前をつけたら眷属にすることができる、眷属にした動物の五感を共有することができる、眷属にした動物とテレパシーが出来る、だったかな」
キメラとでも聴覚を共有していたのか?
でもキメラと俺との距離はある程度離れていたはずなんだが?
まぁいっか、今日はかなり動いたし夜もぐっすり寝れ…
「今日は流石にあそこの宿じゃないよね?」
「今日こそは普通の宿をとるよね?」
「お前ら、言っとくがあの町に普通の宿なんてないぞ」
はっ?雫があるって。
雫も凄く驚いた顔をしている。
もしかして雫、何となくで言ってたの?
「マンションの1部屋を買うことはできるが、ゾンビがこれぐらいじゃまだ買えないぞ?」
マンションってそんなに高いの?ゾンビだってそこまで高値って訳ではないけど。
「早くクエストを受けられるランクになるか」
俺がそう言うと雫が思っいきり首を縦に振った。
とりあえず一区切りですね3人とも能力者になれて良かったです。説明不足だったり言葉足らずだったりよく分からない事もあると思いますがこれからもよろしくお願いします。