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[完結]世界の終わり  作者: ワクルス
この世界
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仙台旅行

「駐車場あるかな?」

「多分あるだろ。旅館だって元々あったやつを再利用してるだけだろうし」

「でもこれ、獅車と荷車を合体してるものだからリムジン並に長いよ?」

「2個スペース使えばいいだけだろ」

「確かに」


俺達はそんな事を話しながら仙台の町を歩く。


「後はこの手紙をここの貴族に渡しに行くだけだ」

「旅館に色々置いたら行こっか。別に急いでる訳じゃないしね」

「そうするか」


俺達は星奏パパから貰った3年間旅館無料チケットに書かれてある名前の旅館に向かっている。


「ていうか街並みは東京とそこまで変わらないんだな」

「まぁ仙台も一応都会だしね」


こんな所に旅館があるとは思えない。

旅館って結構和風な建築だろ?

場違い感やばいと思うんだけど。


「仕事が終わったらお風呂に入って1杯やるんだ」

「世界一おっさんな死亡フラグ建築お疲れ様。そんな事より旅行って何する?牛タンはさっき街の地図を見た感じ牧場があったからあると思うけど」

「仙台…寺とかが有名な所であったけど多分町の外だしな」


そういえばそうじゃん。


「ていうかこの荷車にある中級ゾンビを早く換金しようぜ」

「そうするか」



「着いた!」


俺達は目的の旅館の目の前にやってくる。


「じゃあこれ停めてくるからお前ら俺の荷物も運んどいて」

「男の子ならそれぐらい持ってよ」

「仕事を分けてるだけだろ。そっちは2人もいるんだから頼んだぞ」

「私が持って行ってやる。っておも!」


星奏は俺の荷物を持つなりそんな事を言う。


「お前、これ何入ってるんだ」

「麻雀台、ルーレット、人生ゲーム、チップ、サイコロ、トランプ、後はなんやかんやだな」

「修学旅行じゃないんだぞ!」

「星奏、修学旅行でも麻雀台を持ち運ぶのは頭おかしいよ」


星奏、雫に正論叩き込まれてやんのー。


「ていうかUNOは?」

「俺トランプ派なんだよ。UNO嫌い」

「お前変わってるな」


UNOが嫌いなだけで変わってる扱いは多様性に欠けると思う。


「まぁいいや。それは頼んだぞ」


やっぱりこれ、結構重いな。

俺は獅車を駐車場に運ぶ。



「あ、龍之介君」

「どうしたんです?華蓮さん」

「ちゃんね!まぁいいや。竜君達が持ってる馬車のライオン番みたいのにGPSをつけたんだけどさ」


あっさり言ってるけど今使えるGPSは結構電力使うぞ。


「あの子達仙台に行ってるよ」

「.....まじですか?」

「何かあったら助けに行けないね」


俺は急いで仙台に行く支度をし始める。


「流石に親バカすぎない?」

「今の時代何があるか分かりませんからね。それにあいつはゾンビ教どもに目をつけられてます。しかも仙台の枢機卿はまだいると思いますよ」


俺は支度を終え今から出発する。


「準備早っ。そんな事よりも待ちたまえ」

「あいつを死なせる訳には...」

「私にとっても彼は死なせたくない。でも君も死なせたくないんだ。第一君の義手はまだ完成してない」


俺は華蓮さんに腕を引っ張られる。


「ここの枢機卿はほとんど不意打ちで何とかなったものの。仙台のやつはどんなやつなのかだなんて情報が一切ないんだ。そんな所に今の君を送ったって負けるだけだよ」

「何もしないでおけって言うんですか」

「待てと言ってるだけさ」


俺は華蓮さんに近くにあった椅子に座らせられる。


「君の義手は私の予想じゃあと1週間で完成する。それまで待ちたまえ」

「1週間も待てる訳ないじゃないですか」

「それは...まぁ何とかする」


すごく頼りない。


「はぁ」


俺がため息を吐いていると華蓮さんにワイヤーで椅子に括り付けられる。


「え?何をしてるんです?」

「こうしておかないと君はすぐに仙台に行くだろうからね」

「俺はとてつもなく...強い!」


俺は能力を使って破ろうとする。


「あれ?」

「それは能力無効玉...だったかな?の効果をつけたワイヤーだからね。魔法耐性も入れてるから魔法も意味ないよ。それに町で魔法使ったらバレて捕まっちゃうしね。ていうか人間の力でワイヤーを切れるわけないでしょ」


いつの間にこんな物も作っていたんだ。


「ご飯とかトイレとかお風呂はどうすればいいんですか」

「そこは私がお世話するから安心して」


安心できない。


「それに、親は子供の成長を陰ながら見るものさ。なんでも子供にしようとするのはダメだよ」


俺はあいつの成長を妨げてしまったかもしれないんだ。

せめて安全に成長できる環境にはしてやりたい。


「まぁ死なせる訳にはいかないから義手をなる早で作るから待ってて」


早く助けに行きたい。



俺達は貴族に手紙を出し終える。

貴族は手紙を見るなりすぐに返事を書くから仙台に残って置いてくれと。

報酬も出る。


「いやぁ仕事も終わったなぁ」

「だねぇ」

「だな」


俺の言葉に2人が合いの手をうつ。

俺は少し疲れたので少し体を伸ばす。


「今何時?」

「えーっと3時半だな」


おやつの時間過ぎてんじゃん。

旅館のご飯が7位だからあと3時間半か。


「なんか微妙な時間だな」

「どうする?」

「竜がなんか色々持ってきたからそれで遊んでおくか」

「いいぜグッチョングッチョンのケッチョンケッチョンにしてやるよ」

「私に勝てると思っているのか?」


俺達は談笑しながら旅館に向かう。

すると突然肩にポツっと水が落ちてくる。


「やばい...降るぞ!」

「急げ!」


俺達はもうダッシュで旅館に向かう。


「ちょっと...待ってぇ」


雫は置いてけぼりにされていた。


「急げ!」

「ちょっとまってよ」


雫はなんとか俺達に着いてくる。


「危ない危ない」


雫はホッとした顔で走る。

すると雫は雨のせいで転ぶ。


「いてっ」


俺達はもちろん置いて行く。


「えっ?あのぉ...おいてかないでくださーい」


俺達はそんな雫の助けの言葉を無視し旅館に向かって走る。


「オンドゥルウラギッタンディスカ!」


雫は呂律がまわらなくなるぐらい焦っているが俺達は全力で走る。


「すまんな雫、先にお風呂に入っておくから待ってるぞ」

「せいかー!」



「えぇっと、高野竜は光と音を操って、藤原誠華が見えない床を作たり、物を浮かせられて、南根雫が動物と話が出来たり召喚できたりえーっととりあえず宮風有輝さえ来なければ勝てるな。情報では有輝は別の町にいるらしいし多分大丈夫か」


俺は高野竜達の情報を元にどう行動するかを考えている。


「藤原は前衛で高野が真ん中、南根が後ろだろうな。で、南根が1番弱い。それを考えると人数有利をどうにかするには南根を先に殺るしかないか。でも闇討ちはしにくそうだ。俺は顔が知られているからな」


俺は町の外のビルの屋上で双眼鏡を構えながら高野竜達を監視する。


「やべっルーティンの能力研究やってなかった。まずは雨から降らすか。これをどう戦闘に組み込むんだろうか。まぁいいや」


俺は町全体を覆うような雨雲を作り出し観察する。


「これを雷雨にするには...えーっと」


俺は気象学に関する本をチラチラ見る。


「水と氷の粒子をぶつかり合わせればいいんだな。魔力を使えばこんな事考えなくてもいいんだが魔力消費がバカにならんからなぁ」


俺は独り言を呟きながら想像する。


「...やっぱり1人は辛いな」

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