旅行準備3
「お腹ぺこぺこだ。雫、頼んだ」
「任せて。腕によりをかけて作るから。食材は大体3日分あるから頑張って食べてね」
うちには運動が得意な星奏がいるんだ。
運動が得意ならよく食べてくれるだろ。
「何を作るんだ?」
「今日はカレーだよ。カレーは基本、どんな物を使っても美味しいからね。ちなみにライスはないよ」
「カレーにライスがないなんて俺に彼女がいない並におかしい事だろ」
「それは何もおかしい所はないと思うぞ」
俺は主人公だぞ?彼女の1人や2人できてもなんらおかしくない。
「そんな事より早くお風呂に入ってきて。その間に作るから。竜、お風呂から上がったらこっちに来てね」
ほら、早速お誘いのお言葉を貰ったぞ。
でもごめんな雫。
俺、お前の気持ちには答えられないんだ。
お前と付き合ったらロリコン呼ばわりされるからな。
「ほい、雫。用ってなんだ?」
「これ、かき混ぜといて」
「星奏にやらせよっと」
「それは絶対にダメ!」
雫は必死の形相でために入る。
「ホワイ?」
「星奏は料理をすると別に強火にしなくてもいいのに強火にして焦がしたり混ぜるのを早くしすぎてこぼしたりするから」
もう下手って料理がレベルじゃねぇぞぉ。
「まぁなんとなくは分かった。それにしても量が多いな。こんなに大きな鍋が2つもあるなんて」
「頑張ってね」
「ひゃい」
俺は一気に食欲が満たされた気がした。
「星奏がお風呂から上がるまでは私もかき混ぜないといけないんだけどね」
「よかった」
流石に1人で2つも管理するのは骨が折れるからな。
雫がまだまだいてくれるのは安心だ。
俺達はオタマで鍋の中身をかき混ぜる。
「ていうかよくも鬼ごっこの時2回も私を鬼にしてくれたね」
「仕方ないだろ。お前が狙いやすかったんだから」
「それでも許さん」
「お前だって俺の事を裏切っただろ。人の事言えないんじゃないですかねぇ?」
雫は口笛を鳴らし誤魔化そうとする。
「ていうか俺達って鬼ごっこするだけで何回裏切ったのだか」
「竜にはなぜか急に抱きつかれたし」
それは…まぁ…なんとなく?
「ごめんごめん。あの時はなんとなくしなくちゃいけないと思ったからさ」
「別に竜だったからいいけどさ。あの裏切りだけはちょっと許せないなぁ」
あれを信じたのも悪いと思うがな。
「過ぎたことはいいじゃないか。全員2回は鬼になっただろ?」
「星奏は実質1回みたいなところあるけどね」
あいつはまぁ、運動得意だし。
「ていうか星奏のドローンあれ、いつ買ったんだよ」
「さぁ。あれは本当にめんどくさかったね。竜を裏切ってなかったら私が鬼になる所だったよ」
「裏切るのが普通になってる気がする。鬼ごっこってそういう遊びなのか?」
「ソ、ソウダヨォ。オニゴッコワナカマヲウラギルアソビダヨォ」
嘘くせぇ。
あいつともやっとくべきだったな。
「なんで私に手伝わせてくれないんだ?」
「雫様からの命により貴方様に料理全般をさせてはならぬと」
「私ってそんな料理が下手なのか?」
「もう下手ってレベルじゃないほどに。だってお前の話を聞いた時俺、星奏は絶対鍋で水を蒸発させるだろうなって思ったもん」
星奏が心外だと言わんばかりの顔をする。
結構マジで1回雫の言う通りに料理してみろよ。
そっからだ。お前にオタマを持たせるのは。
「じゃあいいや。皿とかをテーブルに並べとくわ」
「よろぴー」
よかった。
なんとか星奏に料理させない事には成功した。
「えぇっと確かグツグツ鳴ったら完成って雫が言ってたな。もうグツグツなってるしガスを止めておこうっと」
「まだまだいけるだろ。もっと熱くなれよ!」
「多分そういう所だと思うぞ。雫が料理に関してはお前を頼りにしてないの」
星奏はえっとするがそんな当たり前のことに気づかないのは流石にやばいだろ。
「はぁ、これだから脳筋ゴリラは」
「…」
「なぁ、カレーはお箸じゃ食べれないだろ」
「なんで?お父さんとお母さんはお箸で食べてるけど?」
「スプーンだろ、それ」
「これが反抗期なんだね」
「反抗期もクソもねぇよ」
俺は自分でスプーンを取りテーブルに座る。
「これを後何杯食べればいいんだ?」
「1人大体6杯だね」
「なーんだその程度なら楽勝楽勝」
「私達を舐めてもらったら困るな」
「おいおい死ぬわこいつら」
雫、考えすぎ。
俺はカレーを食べ水を飲むを繰り返す。
「水飲みすぎた」
「ちょっとやばい。お腹が悲鳴をあげてる気がする」
「だから言ったのに」
雫はなんでそんな余裕なんだよ。
「私は今、4杯目だけど」
「私は5杯」
「俺は3杯」
星奏は食べ過ぎてお腹いっぱいになってるだけじゃん。
「竜、早く食べなよ」
「ちょっと休憩」
俺は少し倒れる。
「俺は大食いファイターじゃねぇんだぞ」
「ちなみに明日の朝と昼ご飯もカレーね」
もう物を食うってレベルじゃねぇぞ。
「…ふぅご馳走様」
「星奏、早」
「格闘技をやってた時はこれぐらい食えって言われてたからな」
やっぱり星奏は大食いだったんだな。
「…私はこれで後1杯だね」
「急がないとな」
「急いで食べたら喉つまらすぞ」
俺はカレーを思っいきり口に入れる。
そしてどんなに辛くて水を我慢して飲み込む。
「ごちそうさん。キツイな」
「やばい眠気が…」
「そう言われると俺も」
「私も」
雫はもうすぐでいつもの寝る時間になるからだと思うが。
「じゃあ明日は忙しいし寝るか」
「そだね」
「星奏、片付け手伝ってくれ」
「はいよ」
「じゃあ、私は先に歯を磨いとくね」
それぞれがそれぞれのする事をする。
「明日、行くんだな」
「…?あぁ、そうだな。明日、死ぬかもしれない。気をつけるんだぞ」
「お前もな」
俺は決戦前日のムードを出す事にする。
そこに歯磨きを終えた雫がやってくる。
「2人とも、死ぬなよ」
「ふっ、そんな分かりきっていることを言うなよ。俺には帰りを待つハニーがいるんだ」
「お前のハニーは次元が違う所にいそうだな」
その通りなんだよな。
「俺はこの戦いが終わったら結婚するんだ」
俺はペンダントを握ってるかのように皿を洗っているせいで泡まみれになっている手を握る。
「未来の奥さんのために絶対に生きて帰るんだぞ」
「私にはもう失うものはない。俺が前に出るから盾がわりにでもして」
「バカを言うな。お前が死んだら俺が悲しいだろうが」
「なんだ?未来の奥さんは私の事だったか?」
「流石にそれは無い」
「せめて雰囲気を保ったまま返してよ」
「雫が可哀想じゃないか」
なんで2人してそんな事を言うんだ。
雫をお嫁さんにしたらロリコン扱いを受けるだろ。
「じゃあ改めまして…バ、バカを言うな。俺がお前の事を好きなわけな、ないだろ?俺は…そう、ジェシカの様な胸が大きいのが好きなんだ」
「どうゆう事だゴラ」
雫だって雰囲気をぶち壊すなよ。
「それでは改めまして…はぁ?私だってボンキュッボンな体型よ。ジェシカにだって負けてないわ」
「なんだ?体型でジェシカに勝てるやつはいないだろ」
「結局男は胸しか見てないのね」
「仲良いなぁ」
「「どこが?」」
俺は頑張って雫と口並みを合わせて言う。
「ほんと、そういう所」
「これは…その…たまたま!たまたまよ」
「そ、そうにきま、決まってるだろ」
「まぁなんにせよ。生きて帰るぞ」
「「もちろん」」
「本当にたまたまか?」
誰かと口並みを揃えて言うのはかなりしんどいな。
「こんなもんでいいか?」
「そんなもんでいいよ。やる気は出てきた」
「ていうか死亡フラグ建ててたけど大丈夫?」
「主人公補正がある…はず…」
有輝を見てから自分が主人公だと断言出来なくなってきた。
俺は星奏と一緒に皿を片付け終わり歯を磨く。
「ほういえはさ。はひかきこってなんれこんなすーすーするふんふぁ?」
「はふらしをとっれからいへよ」
「ふーへらんささっへるそ」
俺は丁寧だけど素早く歯を磨き終わる。
「なんで歯磨き粉ってこんなにスースーするのかについて聞きたかったんだよ」
「お前でも知らない事があったんだな。まぁ第1の理由は…」
俺はチラッと成分表を見る。
「おやすみ」
「なんなんお前」




