動物達の日常
私の名前はブラウニー。
雫様にお仕えする眷属の1人です。
久しぶりに仲間に会う事を楽しみにしながら雫様の家のベランダ目掛けて飛ぶ。
そんな事を考えながら飛んでいたせいで電柱に頭をぶつける。
«よぉ久しぶりだなぁ1人だけ眷属になったブラウニーさん»
笑いながら仲間の1人がやってくる。
電柱にぶつかった所を見られたので恥ずかしいです。
«あなたもなればいいしょう?私の方から頼んであげましょうか?»
私は何も無かったかのように接する。
«お前に頼るのはなんか癪だからいいわ。それに、俺的には向こうから来てくれる方が頼られている気がして最高だし»
雫様も頼られたいと申しておられていたが…まぁ言わなくてもいいか。
«すまん、遅れた»
«別にそこまで時間厳守じゃないのでいいですよ。それよりあの方はどこに?»
«えっ?なんで…まぁいいか。あいつならずっと前から来てないぞ»
«そうでしたっけ?まぁいいです»
私はため息混じりにそう言う。
«いやぁブラウニーはいいよな隷属契約してもらえて»
«眷属契約なのですが?»
«…俺的には隷属契約の方がいいんだよ。雫様にムチでバシバシやられながら命令を聞きたい»
いつもの事なので私達は聞き流す。
«じゃあ行きますよ。夜中の警備に»
««おっおう»»
なんでそんな反応なのでしょうか?
夜は何が起こるか分からない。
そんなのは野生に生きてきた私達は重々承知しています。
だからこそ夜中の雫様の警備は怠れないのです。
«でもまぁいつも思うんだが雫様の住んでる所は高い方にあるから別に夜はしなくてもって思ってしまうんだよなぁ»
«油断大敵ですよ»
«まぁこれで俺もあの人の眷属になれるかもと考えたらちょっと興奮してきた»
こんな所で発情しないで欲しいですね。
«俺も早く隷属契約を結んで欲しいもんだ»
なんでこの2人はこんな変態なんだろうか?
「雫、この鯉のぼりいつまで設置しておくんだ?」
「置いて2、3日しか経ってないよ?」
「いやぁ、もう飽きた」
高野竜、なんでそこまで雫様と仲良くしてるんですか?
«俺、生まれ変わったらあの人間に生まれ変わりたいなぁ。そしたらワンチャン交尾できるんじゃね?»
«俺もあの人間に生まれ変わって○○されたいなぁ»
ドMなのは別にいいけど妄想してる事を口に出して言うのはやめて欲しい。
「星奏、この漢字が分からないんだけど」
「あぁそれはびゃんびゃんめんって言うんだ」
「そうなんだありがと」
雫様は藤川星奏に本と言われる物を見せながら教えて貰っているようです。
«私はどちらかと言うならあの藤川星奏に生まれ変わりたいですね»
«あぁお前メスだもんな»
«そうですよ。あなた達がなぜか興奮しないせいで性別を忘れてました»
«もう俺達は雫様しか眼中にないんだよ。種族を超えた恋ってやつ?»
«あの子供特有の純粋な瞳、最高»
あれはそう見えるだけだと思うのですが?
«それにあの穢れがない声»
なんか誤解してるようですが意外と雫様は穢れてますよ。
«それにあの体で17歳であるところ!»
«ただのロリコンか»
«違う»
«違わないと思う»
«そう言うお前はどうなんだよ?»
«俺はな。あの見た目で意外と悪口を言うところだな»
ロリコンしかいないんだけど。
しかもあなた達もワシでしょ?
なんで人間に恋するんですか。
«ちなみに私は雫様を人目見た時に運命を感じたからですよ。あと先に言っておきますが恋の方の運命ではないですよ»
«恋愛だったら人間界で言うところの百合になるわけだ»
«どこであなたそんな知識を覚えたんですか?»
«確か高野竜がよくベランダでマンガ読みながら黄昏ている所を見るから多分そこでじゃない?»
高野竜という人も中々やばい人と雫様とから聞いた事がありますね。
そんな事を話しながらずっと飛び回っているともう1羽の仲間を見つける。
«おーい、こっちですよ»
一瞬だけ振り向く。
«無視すんなよ、変態!»
«…変態はお前らだろ»
なんで私も含まれているのかよく分かりませんが。
«変態共、いつも思うんだけどなんでお前ら夜にパトロールなんてやってんだ?»
«一応やってるだけですよ。夜なんて何があるか分からかない。自然界に生きている私達なら容易に分かる事だよ»
«あっそ。俺は昼にやるからお前らはせいぜいコソコソやっておきな。次に雫様の眷属になるのは俺だ»
そう言ってどこかに行こうとする。今思うんだけどなんでこいつらって直接言いに行かないのだろう。直接言えばいいのに。
«あんた達、もしかして人間が言うところのツンデレなんですか?»
«««なんでそうなる?»»»
全員ハモりましたね。
«俺は頼りされている感じがするから待ってるだけだ»
«俺は強い言葉で言われたいから»
«俺は…自分から頼むなんて弱いからする事だと思ってるからだ»
うーん。よくわからないですね。
頼めば一瞬で叶うというのに。
«お前みたいに後先考えずやってる訳じゃないんだ»
«私だって何も考えずにやっていた訳じゃないですよ。人間が言うところの思い立ったが吉日というやつです»
«あんまり理由ってなってない気がするけど»
私は雫様に会って運命を感じたから眷属になったんですよ。
そう思いながらベランダの手すりに止まる。
「雫、トイレが詰まったからスッポンでやっておいてくれない?」
「えぇーしょうがないなぁ。全く竜のう○こはどうなってるんだか」
「オシュレットを使うのは甘えだと思ってる」
「そんな事はどうでもいいの。はぁスッポンって物置だったっけ?」
「流石雫ママ、生まれ変わったらママの子供に転生するわ」
「キモ」
「シンプル悪口かよ」
そんな談笑が窓越しに聞こえてくる。
«雫様の子供かぁ。悪い事したらどんなおしおきをされるんだろ»
«子供、ありだな。甘やかされたい»
«子供だったらかなり近い距離に入れるな。雫様の血が体内に流れるのか»
«キッモ»
なんでこんなキモイやつしかいないんですか。
«ベランダの下にツバメの巣があるぞ。腹減ったし食うか»
«そのツバメはダメですよ。その子は雫様の眷属の1人のクロです»
«俺達っていつからこんな活動してたっけ?»
«ブラウニーが眷属になってから»
早く眷属になればいいのに。
«確かライオンのやつらも眷属になったんだろ?»
«サンとソレイとゾナでしたか»
«俺達もあのタイミングで眷属になっておけば良かったな»
«確かに»
もう遅いですよ。本当に馬鹿なんですから。
«俺もう20歳なのに»
«大体ここにいるやつらそれぐらいの年齢だろ»
«私はまだまだ大丈夫ですからいいですけどあなた達は早く相手でも探してきたらいかがでしょうか?»
«眷属はいいよなぁ。雫様が死なない限り生き続けれるんだから»
つまり人間の雫様と同じくらい生きていけるって事ですね。
«今日はこれぐらいか?じゃあな»
«結局またこいつらとオールしてしまったか。もう眠いから帰る»
«じゃあな。流石の俺も眠気は我慢できないんだ»
日が昇って来たので解散することに。
«では、ふぁあーあ。私も»
【召喚、ブラウニー!】
え?気づいた時にはさっきまで警備していたベランダに。
«ブラウニー、いつも通り頼んだよ»
あっそうでした。私は今となって色々となぜか忘れていた事を思い出す。
最近雫様、私に新聞を取りに行かせるのでした。
«すいま…せん雫様。少し眠りについてもよろしいでしょうか?»
«ダメだよ。ていうかまたなの?何回言えばいいの?夜遅くまで起きてちゃダメだよ»
それはそうなんですけどね。
«じゃあ、行ってきます»
«行ってらっしゃーい。気をつけてね»
怪我しないようにしないと。




