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[最終章突入!]世界の終わり  作者: ワクルス
世界の終わり
229/230

車窓から見える景色は旅感を誘う

俺達は獅車に乗り門の前に並ぶ。

マイ馬車を持ってて良かった。

洋介達が1つの馬車に結構キツキツで乗ってるし。

流石に可哀想なので太陽と有輝と朱希さんは乗せた。

有輝はギリギリまで車椅子で移動するみたいだ。


「有輝さん、初めまして。日本 太陽(にちもとたいよう)と言います。よろしくお願いします」

「こちらこそよろしくお願いします」


答えれない有輝の代わりに朱希さんが答える。

太陽は有輝に会えると聞いて最初はヒーローに会う子供の目をしていたが出会ってからは守るべきものを見る目だ。

強くなったな太陽。

親ってこんな気持ちなのかな。

俺はハンカチで涙を拭き取りながら暖かい目で太陽を見る。


「……なんですか、その目」

「暖かい目」


ちょっと太陽から距離を感じた。

反抗期か。

いや、うちの太陽が反抗期になるわけないな。


「じゃあ出発しまーす」


先頭に立つ馬車の人が声高く出発の合図を送る。

その合図と共にぞろぞろと出発する。

俺達も続いて出発する。

道路のアスファルトにタイヤが引っかかりガタガタと揺れる。

前を見るとライオンがせこせこと獅車を引っ張る。

その先には馬が引っ張る車が現代的な東京の町を進む。

中世と現代の異様なコラボレーションを果たした景色にジェネレーションギャップを感じる。

ガラス張りのタワマンが立ち並ぶこの都市を沢山の馬車が走るってやっぱ意味不明。

いや、いまさらか。


「大阪まで行くのにどれくらいかかるんですか?」

「12時間とかその辺だな。夜は危ないから9時間かけて一旦名古屋に寄りそこから行くみたいだ」


戦争なんてもうなかったみたいな協力具合だ。

喧嘩売られたからもう協力しないなんてやってたらこのゾンビ事件は解決しないと思ったんだろうな。

全国の冒険者と大半の騎士が大阪の1箇所に集まる。

総勢4万人がかりで大阪に行くんだ。

いや、確か2人組の冒険者は今海外開拓のクエスト受けてたからそいつら以外の全国の冒険者か。

まぁいい。


「お、横浜と合流だ」

「壮観だな」


こんなに人数いるか? と思えるぐらい数が多いな。

念には念をとは言うが念を重ねすぎじゃないか?


「ゾンビが現れたぞ! 全員馬車を止めろ!」


先頭の人が必死に止めるように指示をするとそれに続いて他の馬車の運転手も同じように言う。

馬車が止まりきると騎士の人達がぞろぞろと出てくる。


「騎士の皆さんお願いします」


先頭の人の掛け声と共に武器を携えた騎士がゾンビに向かって突撃する。

道中は俺達護衛してもらえるんだ。

集団で戦うのは騎士が得意としてることだろうし妥当っちゃ妥当か。

って、あの遠目に見えるの修平じゃん。

結構強いな。

魔法と剣の腕のバランスが丁度いい。

太陽と同じタイプか?

いや、太陽の方が魔法は上手いな。

体術に関しては何かしらの習い事をしてたんだろう。


「俺、結構目が良くなってきたな」

「全部私の方が上だ」


星奏、お前もこっそり見てたのかよ。

心無しかドヤっとしてる気がするな。

お前最近魔法全然使ってないから上かどうか比較できっこねぇだろ。

体術は上だろうけどよ。


「とりあえず、大阪のどこ回る?」

「そんな旅行に行くノリで言うなよ」

「旅行は旅行でも、修学旅行だな」


コイツら、いくらなんでも余裕こきすぎだろ。

俺にだって限界はあるんだからな。

いつでも助けれると思うなよ。


「とりあえず、俺の故郷目指そうか。太陽達は?」

「僕は大多数の人が行く所を見て回って危ない人がいたらゾンビを倒していこうかと」

「私達はとりあえず後方にいます。何かあった時の切り札として出れるように」


有輝が動くことが無いことを祈っとけということか。


「とは言っても着くのは明日になるだろうからもうちょっと経路を練るのも大事だよね」

「そうだな。大阪の地図を貰っているし、今晩話し合うか」


これって一応、危険な任務なんだよな?

最近コイツらと関わることが減ってたせいで俺の感覚麻痺ってんのか?


「ゾンビ倒しきったみたいです。出発再開してください」


先頭の人に続いて後ろの人も同じように後ろに向かって言う。

一種の伝言ゲームみたいだ。

先頭の馬車が走り始めぞろぞろと他の馬車も走り始める。

俺達も走り始めまた獅車がガタゴトと揺れる。


「予定通りなら9時間ちょっとで着くだろうが、この大所帯だ。ゾンビ達にも見つかりやすくなるだろうし、このまま夜に突入することもあるかもな」

「食料や水はギルドが沢山積んでいた。騎士の人が夜を警備してくれるし、大丈夫だろ」

「そうでしょうか。騎士と言ってもここにいるので800人ぐらいでしょうか。冒険者はそれよりも多く、大体4600人。1人あたり約5人を護衛しないといけません。冒険者達はお互い顔も知らないという可能性が高くその状況での連携攻撃は危険です。つまり、この状況において冒険者は戦えない。騎士の人は戦えないお荷物5人を抱えて戦わないといけないんです。それに騎士の人も交代で仮眠をとるでしょうから1人が持つお荷物がさらに増えます」


太陽の言う通りかもな。

かといって俺達に何か出来ることがある訳じゃない。

とにかく俺達は自分の身を守ることだけを考えればいいんだ。


「俺達も交代で起きるか」

「私は一応運転で昼間起きとかないとだから夜は寝たい」


雫は寝させて。

有輝と朱希さんも寝てもらうか。


「星奏、俺、太陽の順でいいか?」

「私はここで夜なんか来ないことを祈っておこう」


俺も来ないよう祈っとこ。



来ちゃった。

あれから度々ゾンビの襲来が置きその度に馬車は動きを止めた。

そのせいか、今となっては真っ暗闇だ。

星奏は見張りを終わらせて今寝ている。

一応雫のサン達以外の眷属が見回りをしてくれている。

気配探知持ちもいるし大丈夫だが、いかんせんアイツらには火力がない。

ゾンビが来ても退けれれるほどの力がないから結局人間がなんとかしないとなんだよな。

ただし、大鎌を除く。

身体能力上昇は流石にずるいっすわ。

俺は目に入る微量の光を増幅させ暗視ゴーグルのように夜でも周りが見えるようにする。

騎士の人達が警備してくれてるとはいえ他の馬車1台につき見張りが1人はいるな。


「よ、竜」


俺が周りを見ていると修平がこっそりと近づいてくる。

昼間は結構活躍してた修平さんじゃないすか。


「どったん?」

「抜け出してきた」

「お主も悪よの」

「好きな子の話しようぜ」

「修学旅行かよ」


お前と好きな子の話したらお前の語りだけで朝が来そうだ。


「それほど愛が重いってことさ」


心を読む系の能力者はなんで何も言ってないのに返事をしてくるのだろう。


「だって、聞こえんだもん」

「意識してる時だけだろ」

「まぁな」


人の心なんて聞いてて楽しいのか?


「楽しい。特にお前が考えてることとか」


修平はイタズラな目つきで俺を見る。


「……あんまり人の秘密は知るもんじゃないぞ」

「お前は俺達や洋介さん達、そこの太陽や有輝さんを友達だと思いたいと思ってる。けど、それを邪魔するやつが2人いる」


俺は修平と目線をそらす。

それと、万が一誰かに聞かれるなんてことがないように修平の声は俺にしか入らないようにする。


「はっきり言ってやろう。高野竜、お前は南根雫と藤原誠華に並々ならぬ感情を向けている」

「……そうだよ。それが何か。俺がこいつらの事しゅきーって開き直ればいいのか?」

「その好きではないと思っていることも分かっているつもりだ」


心を読む能力者って本当にめんどくさい。

ていうか、どんだけいんだよ。

メンタリストの仕事奪いすぎだろ。

修平ははぁーとため息をつく。


「簡単な話じゃないか。ただ単にそいつらが外れ値レベルで仲がいいだけの友達で、俺達も友達。これでいいじゃないか」

「……でも、お前らは友達って思ったら脳裏でこいつらがチラついてさ。俺は本当にこいつを友達と言っていいのか? 俺は本当に星奏や雫に向けてる感情をこいつに向けれるのか? ってなって友達ってどう頑張っても言えねぇんだよな」

「記憶が書き変わってた時は言えてたのにな」


書き変わってた時は別だろ。


「じゃあこうしよう。こいつらは親友。俺達友達。これでどうだ?」

「友達にランク付けすんのか?」

「そうだよ。ていうか、俺もそうしてるぜ」


修平は俺を獅車の前の席に座るように隣をコンコンと叩き、空を見上げる。

俺は修平に誘われるがまま前の席に座り修平を見る。

修平は俺が見ててもお構いなく空を見上げる。


「友達にランク付けなんて倫理的にどうなんだって思ってるな」

「能力って便利だな」

「いや、お前がそういう顔をしてるだけだ」


顔みてねぇくせに。


「見なくても分かるがな」

「やっぱ心読んでるだろ」

「いや、分かるさ。俺はお前より人付き合いが長いからな」


まぁ、事実そうだろうな。

ていうか、トータルで見たら俺より人付き合い少ないやつの方が珍しいだろ。


「人付き合いが多くなってくるとさ。どうしても関われなくなるヤツらが出てくるんだ。そんな時にさ、友達に序列がないと思うか?」


そういえば、康宗は他のやつに遊びに誘われても俺との遊びを優先してくれたな。

康宗にとって俺は友達の中でも上の方だったって事なのか?

他のヤツらが友達と言える人間じゃないからじゃないのか?

俺がうーんと悩んでると修平はごほんと咳き込み、俺が修平に目を向けるようにする。


「トロッコ問題を例に出そう。トロッコ問題は知ってるよな?」

「暴走トロッコの行き先には5人の人がいて、レバーを引けば行き先を変えれるけどその先にも1人の人がいます。その場合、あなたはどっちを助けるかってやつだろ」


5人を助けた方がいいのは簡単に分かるが、レバーを引けば1人が死ぬ。

死ぬ原因を作ったってことで殺したのは自分となる。

多くを助けための殺人をするかしないかみたいな問題だったか。


「引いたら助かるのが俺、もう一方は知らない人とする。その場合どっちを助ける?」

「そりゃお前だろ」


知らない人とお前じゃ俺にとっての価値が違う。


「じゃあ、俺と……太平でいいか。俺と太平か雫と誠華。お前はどっちを助ける?」


修平は目線を空から俺へと変え笑ってはいるが真面目な表情で俺に問いかける。

俺の脳は非情にも一瞬で答えを出してしまい、俺は解答に困惑する。

修平はまた空を見上げる。


「雫と誠華……だろ」


俺は鉛が埋め込まれてるかのような鈍い動きで首を縦に振る。

正直な俺の脳みそに俺は罪悪感を覚える。

修平はそんな俺を見て俺の背中をなでる。


「でもさ、最初の問題でお前は迷わず俺を選んだ。他の人を殺してでも俺を助けようとした。それってさ、友達以外の人間にできるか?」


確かにそうだ。


「な、友達にも序列はある。だから、そんな深く気にせずにお前は自分が楽しいと思える所に入ればいいんだ」


友達ってそういうもんなんだな。


「それにさ、空見てみろよ」


俺は修平の言う通りに空を見上げる。

そこには冬の乾いた空のおかげか透き通るように綺麗に輝く星が無数に広がっていた。

一つ一つがまるでダイヤモンドかのようにキラキラ輝き、夜空というキャンバスに描いた大きな1枚絵が出来上がっている。


「こんな、綺麗で壮大な空があるんだ。友達がどうとかにいちいち悩んでたらこの広い宇宙に置いて行かれるぞ。ただでさえ、膨張スピードがめちゃくちゃ早いんだからさ」


俺はふっと笑う。


「めちゃくちゃ早いなんてレベルじゃねぇよ」


光より早いんだぞ。


「じゃあ、改めて聞く。俺はお前のなんだ?」


修平はまた俺に目を向ける。

俺も修平の方を向く。


「友達だ」

「よく言った」


俺達は笑いあったまま拳をぶつけあった。

俺は有輝からの視線を感じ後ろを振り向くが有輝は車椅子の上で目を瞑っていた。

寝そべって寝ろよ。

……なんか若干口角が上がってるような?

ま、いっか。


※読まなくていいです

「そういえばさ、星ちゃんと月ちゃんが町中でケンカしちゃったんだけどさ。ちょうどその時に俺いたから止めに入ったんだよ。そしたら星ちゃんのお胸に触っちゃってさ。星ちゃんなんも言ってこなかったしこれ絶対脈アリだよな。感触はツルペタで硬いんだけど逆にそれが興奮するというか。月ちゃんのお胸はまぁまぁ大きくて触り心地を考えるなら絶対月ちゃんなんだけどその興奮度合いでいうと星ちゃんなんよな。やっぱお胸の大きさと興奮は反比例してるというかさ、デカすぎたら嫌じゃん?でも、小さすぎるのは逆にありなんだよ。男と変わらないレベルの胸っていうのがやっぱ1番なんだよな。あ、でも金子さんの垂れ下がったお胸は垂れ下がってたら垂れ下がってるほどいい。やっぱ熟女のお胸っていうのは垂れてないとつまんねえよな。ってどんだけ胸の話すんだよって感じか。別に俺、胸か脚かって聞かれたら断然脚って答えれるんだけどそんなんよりもお腹が好きなんだよな。お腹ってさ、大事なもん色々詰まってんじやん?それを触らせてあげれるような関係ってもう興奮しかしないっていうか、興奮しろって言ってるようなもんなんだよ。エロ漫画家とかの人は脚とか胸よりもお腹を綺麗に描くべきだな。あ、お腹で言うならニーリアさんのお腹とかもうやばかったぞ。この前、改めて風俗行った時に指名できたからしたんだけどさ。部屋で待ってたら来るじゃん?その時にへそピアスしてみたんだけどって言われてお腹見せてくれたんだけどもうめちゃくちや綺麗。触らせてくださいって言ったら了承してもらえて俺もう大興奮しながら触ったらすべすべで産毛も一切ないレベルの綺麗で白い肌しててさ。その時にヤル気満々だったのにお腹触るだけで時間使っちゃったからな。でも、俺は有意義な時間だと思ってるぜ。後、好きな部位で言うならワキとか好きだな。いやだってさ、脇ってほぼ胸じゃん。しかもワキって人の弱点とか言われてる場所なんだぜ。次ニーリアさん指名したらワキ触らして貰おうかな。うん、アリだな。あとあとそれから.....」


修平の話を聞いていたら朝日が昇ってきた。

内容は全て、好きな人の話。

上がっていた修平への好感度は少しだけ落ちた。

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