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[完結]世界の終わり  作者: ワクルス
多くの屍の上で
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太陽と月2

僕は感情を高ぶらせ常吉に常に不気味な笑顔を見せる。


「お前は平和を壊そうとしている。戦争を止めるなんてやめろ」

「うるせぇよ。お前が何思ってるのか僕は知らないけどさ。お前1人の意見なんてクソどうでもいいんだ。助けれる命を助けたいと思って何が悪いんだ?」

「年寄りの言うことは聞くもんだぞ」

「老害認定書いります? 無許可で発行してあげるから死んでよ」


常吉は怒りをあらわにする。

戦争が平和に繋がるとか何言ってるのか訳が分からない。

僕は僕がしたいことのために今できることをする。

ただそれだけだ。


「操縄――」

「もうそれ使わせないから」


雫さんは透明化で近づいていて常吉の肩に手を置く。


「火嵐」


僕は螺旋状の炎を常吉に放つ。

常吉は雫さんを盾にし防ぐ。


「熱い」

「太陽、抑えろ」


僕は竜さんの制止を無視しそのまま放つ。

自身に衝撃波を当て常吉にすぐさま近づく。


「お前、遂に仲間までも利用したのか」

「お前が勝手に盾にしただけでしょ、何言ってんの」


僕はそのまま常吉の横っ腹を殴り飛ばす。

雫さんは常吉から手を離し離れる。

雫さんの背中の羽が焼け香ばしい匂いが漂う。


「太陽、酷いよ」

「はい、すいません」


僕は常吉を見ながら返す。


「操縄、(まゆ)


常吉は僕に縄を巻き付けて動けなくする。

僕は縄に火を放ち脆くなった所を腕の力で引き裂く。

熱さは感じずヒリヒリともしなかった。


「狂ってる」


常吉の体力も限界になってきたのかはぁはぁと息を荒くする。

僕の心臓がバクバク言ってる。

頭の中ではもう何も考えてない。

目が冴えてる、耳が冴えてる。

全身でこの空間を感じてる。

常吉が険しい表情で僕を見ている。

僕の不気味な笑顔が更に歪む。


「お前はいいのか、こんな世界で。どこかで争いが生まれ、思いやりもなく、人が人を殺す。そんな世界でいいのか?!綺麗事じゃ世界は救えない」

「理想を理想のまま終わらすなよ」


僕は何食わぬ顔で返す。

常吉はその言葉に唖然とする。


「お前視野狭いなぁ」


僕は笑いながら常吉に近づく。


「私は100年以上生きてる。視野が狭いなんて」

「お前、人が殺された場面見て絶望してるだけだろ」

「違う!平和を願って戦ってきた私達が作った平和がこんな簡単に壊されるのが許せないんだ」

「だから、あめぇんだよ、クソがァァ!」


僕は常吉の頭を地面に叩きつける。

僕はフラフラとして今にも倒れそうだがなんとか、気を保つ。


「お前やっぱ視野狭いよ。そんなの普通なんだよ。日本しか見てないからそんなことを言うんだ。人が人を殺す? そこら辺の国を見てみろそんなの普通だ。そんな狂った普通の中で僕達は生きてんだよ」

「そんな世界でいいはずないだろ!」


常吉は僕の手を振りのけ僕に向かって殴りかかるが僕は片手で受け止める。


「そうだよ。でもさ、それは前提なんだ。僕達はこの世界しか見えてないし、この世界でしか生きられないんだ。だからさ、この世界を壊すようなことするなよ」


僕は常吉の拳を離す。


「戦争なんて人の命がなくなる、クソみたいな物だ。確かに、平和を懇願する者が多く出て終わった後は一時的に平和になるかもしれない。でも、ダメなんだよ。そんなその場しのぎじゃ」

「じゃあ、一体どうすればいいと言うんだ。沢山の仲間は戦争で死んだ。平和になったと思ったら友が人に殺された。どっちみち、人が死ぬではないか」

「それでも、考えるんだよ。大事なのは自分がどう思うかじゃない。自分がどうしたいかだ」


常吉は地面に座り込む。


「お前、僕と一緒に来いよ」

「「「「……は!?」」」」


その場にいる人全員が驚く。


「お前の戦争での経験は使える。悪くないと思うんだけど」

「……悪いなそれは無理だ」


常吉はそう言ってもう力もろくに入ってない僕の手から剣を奪う。

星奏さんがすぐに手をかざすが常吉は剣を自身の首に当てる。


「……ケジメはつけないとな」



私は奪い取った剣を首に当てる。

私はもう必要ない。

太陽という少年がこの国を、いや世界を変える。

私が望んだ理不尽な死がない平和な世界を作り上げる。

私はアイツらが嫌った戦争を引き起こしたんだ。

ケジメは取らなければいけない。

あぁ、怖い。

1度自分は死んだと思っていたがそれでも本当に死ぬのは怖いな。


「そうか、それがお前の選択肢か。……逃げるわけじゃないんだよな?」

「あぁ、ケジメだからな」


こいつがいればもう安泰だ。


「最後に言い残すことは」


最後に言うことか。

戦争を引き起こした私が言うべきでないことは分かってる。

だけど、こいつに託したい。

私の願いを。


「平和にしてくれ」

「もちろん」


もう何も心配はいらない。

私は笑みをこぼしながら自身の首を切り落とした。

苦しさは一瞬だった。

フワフワとした感覚と共に意識がなくなる。



終わった。

長く苦しい戦いだった。

僕は妙にニヤけてる常吉の顔を見る。

すると、頑張りすぎたつけか僕の意識も遠のいていく。

やばい、これ。

僕が倒れかけていると雫さんがいち早く来てくれて僕に触れる。


「よし、これでこれ以上悪化しないはず」

「包帯は一応巻いとくか」


星奏さんはそう言ってそこら辺の家から包帯を浮かして引き寄せ、髪を解くと僕に包帯を巻く。

僕は薄れゆく視界の中、竜さんが何か考え込んでる顔をしているのを見る。

あ、そうだ。

戦争を終わらせないと。

僕は無理やり目を開け立ち上がる。


「おい、まだ巻けてないぞ」

「僕なら大丈夫です。それより、名古屋へ行きましょう」

「いや、私ももう魔力が」


星奏さんがそう言うとコロコロと水の入った試験管がどこからか転がってくる。


「……え、誰だ?」

「気配は全く感じないんだけど」

「まぁ、今はそんなこと考えてる暇はないな」


星奏さんは試験管に入った水を飲む。

あぁ、魔力水か。


「よし、名古屋だな。竜、方角は」

「あっち」

「よし、行くぞ」

「魔力節約させときたいから私は自分で飛ぶ」


僕達は急いで名古屋の方へ行く。


「星奏、前にエアーウォールを貼れ。そうすればもっとスピード出る」

「なんで知ってるんだ?」

「お前の体使った時にそれでめちゃくちゃ早く飛んだから」

「まぁ、分かった」


星奏さんがそう言うと僕達の飛行スピードがめちゃくちゃ早くなる。


「早い早い早い」


雫さんが必死に羽根を動かすが追いつけずにいた。

意外とすぐに名古屋についた。

僕達は急いで名古屋の貴族に会いに行く。


「ここから先は一般人立ち入り禁止だ」


騎士の人が止めてくる。


「私、東京の貴族の娘です」

「一般人だ」

「家柄も役に立たなくなってきたな」

「それにしてもどうしようか」


竜さん達が迷ってる隙に僕は騎士の人を殴り飛ばす。


「行きましょう」

「マジかお前」


僕達は貴族の人の部屋に入る。


「何者だ、貴様らは」

「星奏さん、誘拐してください」

「えぇ!? あ、あぁ分かった」

「太陽が怖くなってきたね」

「俺も」


星奏さんは貴族の人を浮かせ窓から外に出る。

貴族の人は能力持ちだったため雫さんに常に触れててもらうようにしてもらった。

そして、東京に戻り東京の貴族も誘拐する。


「捕まえるつもりが捕まっちゃった」

「あ、藤原。お前、何のつもりだ」

「俺が聞きたい」


貴族同士がケンカを始めたが僕は気にせずどこかの建物の中に入れる。

僕以外は気にしてた。


「で、こんな所に連れてきてなんのつもりだ」

「君達は犯罪者であるということは念頭に入れといてね」

「分かってます。それでは始めましょう。話し合いを」

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