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[完結]世界の終わり  作者: ワクルス
多くの屍の上で
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1人の兵士の物語4

日本は平和になった。

あの時考えていた誰も理不尽な死がない世界が叶ったのだ。

よかった、本当によかった。

私はホームレスとして日々を過ごす。

もう死んでいるも同然なんだ、ホームレスとして過ごした方がいいだろう。

私はホームレス仲間もでき順風満帆なホームレス生活を送っていた。


「だかりゃー、私は言ってやったんだ。クソッタレの天皇陛下がーって!」

「常吉さん、すげぇ」

「さっすがー」


日本酒をチビチビ飲み酔いが回る。


「そしたら、寄ってたかって私に乗りかかってきやがって、ほんと、バカだぜアイツら。バカだからもう死んでるんだ」

「いやいや、普通に寿命でしょ」


私は酔いまくり介抱してもらいながら寝床に着く。

今日はダンボールで作った基地の中で寝るんだ。


「常吉さんはもういい歳なんだから生活保護受けたら?」

「国籍ないからいい。めんどくさいし」

「戦争の経験を語るとかで仕事取れそうなもんだけどなぁ」

「私が経験したのは戦場での経験だ。人殺しの話は聞きたくないだろ」

「そういうもんかね。じゃ、おやすみ」

「ういー」


私は目を閉じ寝ようとする。

ゴミ箱漁って空き缶拾って、たまに味わう日本酒。

こんな生活で丁度いい。

一般人は私をゴミを見るような目で見てくるがそんなのは気にしない。

明日からまた頑張ろう。



私は来る日も来る日もホームレスとして過ごした。

それでちょうど良かった。

ホームレスをしていると周りの人達を見る機会が沢山ある。

楽しそうに話してる子供達、忙しいけどその充実感で胸いっぱいの大人、子供の成長を微笑ましく思ってる親。

本当に平和だ。

アイツらもこの時代に生まれていれば良かったのにな。


「明日、炊き出しあるみたいですよ」

「カレー食べたいな」

「そんな贅沢言ってたら殺されますよ」

「それもそうだな」


ホームレスとして生きてても飯は食える。

最低限だが暖かい所で寝れる。

酒も飲める。

愉快な談笑もできる。

これ以上望むものはない。


「そういえば、アイツどうした」

「あぁ、最近見てないな。どうしたんだろう」

「炊き出し情報を1週間前のまだ誰も考えてもないような時期から推測できる食い意地野郎なのに珍しいな」

「酷いっすねぇ」

「本当の事だろ」

「確かに」


にしても、心配だ。

寄り道として見に行こうか。

私は炊き出しの飯を食べ、すぐさま、見に行く。

すると、そこには頭から血を出して倒れているやつがいた。

顔は分からない。

だけど、体格や服装的にも間違いない。


「なぜ、こんなことを?」


私が目を疑っていると中学生くらいの集団が金属バットを持って来る。


「お、サンドバッグ追加されてんじゃん」

「サンドバッグが本当にサンドバッグになっててつまんなかったんだよな。ちょうどいいや、お前がサンドバッグになれよ」


そう言って中学生くらいの子供が私にバットを振り下ろす。

私はすぐに避けるが老いのせいかちょっとした動きで息を切らす。


「なぜ、こんなことをする。平和な世界というのに」

「おい、こいつ戦争の経験話を真に受けてるタイプのやつだわ」


そう言ってゲラゲラと笑う。


「そんなの、ムカついたからに決まってんじゃん。なぁ?」

「そうそう、不愉快なんだよね。働かずにさ、クサイにおい撒き散らして」

「生きてて恥ずかしくないの?」


中学生達はゲラゲラとまた笑う。

私はただただ絶望した。

アイツらが求めた平和はこんなあっさり壊されるんだ。

痛みを知らないから痛みを作っても何も思わないんだ。

戦争は私達に痛みを教えた。

平和はそんなことを教えてくれない。

そうか、戦争が私達に平和を教えてくれていたのか。

そうか。

私はただただ絶望した。

平和だけでは平和になれないこの世界を。

そして、中学生達は私にバット振り下ろす。

避けれない。

死んだな。

すると、目の前に高校生ぐらいの子供が現れバットを片手で受け止め蹴りで1人を吹き飛ばす。

吹き飛ばされたやつは血を吐いてうずくまる。

高校生ぐらいの子供は振り向いて私の顔を見る。


「え、めっちゃ老人やん。大丈夫か、これ?」

「だから、知らねぇって。俺に聞くな」


科学者風の男も出てきて私は混乱する。


「まぁ、ええわ。おい、お前ら。俺はこの老人に話がある。どっか行け」

「う、く、覚えてろよ!」


そう言って中学生くらいの集団はどこかへ行ってしまった。


「それ言うやつ初めて見たわ」


なんなんだ、この少年は。


「なぁ、この世界をどう思ってる?」

「は?」

「聞いとんねん。この世界をどう思ってるのか」


どう思っているか、か。


「クソだ。平和を享受するだけじゃ平和になりきれない。さっきみたいな暴力を生み出すこの世界はクソだ」

「そうか、じゃあ、一緒に変えへんか?」


変える、か。

簡単に言うな。

そんなのどれだけの時間が。


「ちょっとだけ作戦を教えたるわ」


少年はそう言って私に耳打ちする。

これは使える。

その作戦使える。


「協力しよう」

「交渉成功や。とりま、俺らの基地に来てくれ」


私は完全にこの少年の味方になるわけではない。

だが、私の目的のために利用させてもらうぞ。

戦争でこのクソみたいな世界の終わりを迎えさせる。

そうして、私はゾンビになった。

今でもこの方法は間違ってるかもしれないと思うことはある。

だけど、アイツらが望んだ平和が争いを作り出す。

そんなことは許せない。



「平和を望むなら、なおさら見過ごせ。絶対だ」


なんで、お前にそんなことを言われないといけないんだ。


「そんなお願いの言葉一つだけではい分かりましたなんて言えるわけないだろ」


僕は4つの火の玉を作り出し攻撃をしかける。


操縄(そうじょう)、竜巻」


縄がグルグルと回転し火の玉をかき消す。

そして、グルグルしたまま僕たちの方へ飛んでくる。

僕達が魔法で縄を切ろうとしていると僕の真下に突如穴が空く。

僕はその穴に落ちていくと常吉も落ちている。


「発光」


僕は常吉の放つ光に目を焼かれる。

やばい、何も見えない。


「操縄、(まゆ)


僕にグルグルと縄が巻き付き常吉の方へ引き寄せられる。


「衝撃、衝撃、衝撃」


僕は至る所に衝撃波を出し常吉の攻撃から逃れようとしていたがその努力虚しく腹辺りを殴られる。


「ぐはっ」

「鉄拳!」


もう一発拳を突き出そうとすると大剣が飛んできて縄を切り僕は空中に浮かせられて落とし穴から脱出する。


「一生埋まってろ」


竜さんはそう言って大量の土を中に入れる。

が、巨大な落とし穴ができて、僕達は強制的に下に落とされる。


「私は大丈夫だよ」

「分かった」


雫さんは翼をはためかせ飛び僕と竜さんは星奏さんに浮かせてもらう。


「地に足をつけて戦わないのか。それなら。操縄、暴れ龍」


は?

常吉はそう言って地面に縄を入れると龍の形をした岩が空を飛ぶ。


「早く、縄を切るぞ」

「来ないのか。それなら、操縄、暴れ龍」


常吉はまた龍の形をした岩を作り出し空をとばせる。


「今回は縄が岩の内部にある」

「そんなのどうやって倒せと」

「私が常吉に全力で触れるから皆は龍の処理お願い。龍って竜のことじゃないからね」

「ややこしいな、まずは竜をやるか」

「おい、刃先向けるな」

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