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[完結]世界の終わり  作者: ワクルス
多くの屍の上で
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休息日1

僕は竜さんに魔法を教えてもらう。

と言ってももう教えて貰えることはほとんど教えてもらい魔力を効率的に使えるようになる練習がほとんどだ。


「やっぱり、2属性魔法の消費量が多いです」

「それは雫みたいに一つ一つの魔法を別にしてイメージしてないからだな」


一つ一つの魔法を別に?


「例えば風と火を組み合わせるやつとかも全部一緒に考えてるだろ」


うーん、確かに?

イメージの話だから完璧には説明できないけど言われてみれば同じにしてたかも?


「まずは風を出す、そしてそれに火を加える。まぁ、逆でもいいけど。それを念頭に置いた上でそれぞれのイメージを深堀していく。これでいける」

「なるほど」


まずは風が吹くイメージをする。

速さ、範囲はとりあえず適当で。

で、これに熱々の火を加える。

これができたらいつもの容量で魔法を出して。

僕は両手をかざすと螺旋状に激しく燃える火を放つ。


「おぉ、いつもより魔力量を抑えれました」

「いい感じだな」


僕はこの調子で魔法を研究し続ける。



僕は朝の日課となった家の掃除を終える。

今日も綺麗に出来た。

我ながら完璧。

でも、雫さんと星奏さんの干してある下着だけは竜さんに取ってもらってますけど。

その度に竜さんはまだまだだなとニヤニヤしててちょっとムカつきます。

取れない僕が悪いんですけどね。


「今日は休みにしよう」

「え?」


星奏さんは今日の修行はなしと言う。


「いや、僕は別に全然大丈夫ですけど」

「たまには休んだ方がいい。心の余裕は大事だ」

「余裕がなかった人が言うんだから間違いないよ」


雫さんは星奏さんをニヤニヤとしながら見つめ星奏さんはそっぽを向く。

竜さんはそれを見て何かに気づいたのかゆっくり本を読むフリをする。


「それならまぁ」


今日は修行なしか。

何しよう。

前は父さん以外の政党の悪いとこといい所を探したり、友達とちょっと遊びに行ったりしてたけど、今は友達ほぼいないし、政党もない。

え、何しよう。

竜さんは僕が困っているのに気付いたのかソーラーパネルに接続されたテレビに前に座り、トントンと床を叩く。


「こっち来てゲームしようぜ」


ゲームか。

前に友達の家でやって楽しかったな。

家にもあったけど誰かとじゃないと楽しくなくてやってなかった。


「では、喜んで」

「私もする」


雫さんもテレビの近くへやってくる。


「じゃあ、私も――」

「星奏は縛りプレイね」

「お前達雑魚に遠慮しなくちゃいけないのか。強者は辛いものだ」


星奏さん、そんなに強いんだ。



僕達は昼までゲームをして楽しんだ。

指1本縛りの星奏さんに3人がかりでようやく戦えるレベルだった。

悔しい。


「あ、曇ってきたな」

「いい時間だし辞めよっか」


ゲームもし終わった。

やることなくなった。

この家には本いっぱいあって好きに読んでいいと言われたしなにか読もうかな。


「太陽、2人でリサイクルショップでも行こうぜ」

「別にいいですけど」

「星奏、あれがBLってやつだよ」

「男と男、2人で遊びに行き何も起きないはずもなく」

「腐りきってないやつが腐女子ぶってんじゃねーぞ。太陽、行こうぜ」

「は、はい」


僕は急かされ竜さんの後について行く。

改めて町を見ているとどこか静かだ。

冒険者の人達って朝に出るタイプと昼に出るタイプいるけど今日は昼に出る人しか居なかったのかな?


「太陽、店着いたら何見る?」

「え、そうですね……特にないですね」

「俺もないし適当にぶらつくか」


竜さんはそう言うと少し下を向く。

どうしたんだろう。

あ、もしかして僕が何も見たいものがないと答えてしまって会話が続かないから困ってるのかな?

なにかなにか、会話のネタみたいなのないかな……えぇっと……


「そ、そういえば、竜さんって女体化してたんですよね? どんな感じでした?」


……焦ってクソキモイこと聞いちゃった。

これ、僕死んだな。

店で墓石コーナーがないかなと思ってると竜さんははははと笑う。


「やっぱり、男と違ってアレがないから下半身の方はスッキリしてたかな。オシッコがちょい漏れるのがネックって感じだったけど。あと胸は程よい大きさだったから良かったけどあれよりデカかったら絶対邪魔だった。あと生理が辛い」


竜さんは僕の質問に詳しく返す。


「竜さんも墓石探しします?」

「え、なんで?」


僕は竜さんに色々聞きながら足を進める。

店にたどり着いても話し続ける。


「体入れ替わり事件の犯人倒したのって竜さんだったんですか?」

「そうだぞ」

「それに、有輝さんとお友達なんですか?」

「有輝ってめちゃくちゃ有名なんだな」

「そりゃもちろん。僕達の施設に沢山寄付してくれた人ですから。覚えてて当たり前って感じです。」

「有輝、あいつ良い奴だもんな」


有輝さんには1度会ってお礼したいなぁ。

あとあと、サインとかもろもろ。


「え、じゃあ光金ってやつは?」

「聞いたことはあります、あとFって人も。施設では竜さん達の話はしてましたけど名前は出してなかったですね」


竜さんはちょっと落ち込みながらもフーンと返す。


「そういえば、気になったんですけどなんで急に遊びに誘ってくれたんですか? しかも2人きりって」

「ん? あぁ。まぁ、なんとなく」


竜さんはそれだけ言うとまた下を向いて歩く。

もしかして、あの2人のことなのかな?


「あ、墓石コーナーあるぞ」

「探してみるもんですね」

「終活にはちょっと早すぎるけどな」


この世界、何があっても不思議じゃありませんからね。

まぁ、墓石なんて買うお金どこにもありませんけど。


「こんな石ころよりもっと面白いのないのか?」


竜さんは墓石を見て数秒で飽きてしまったようだ。

僕と一緒だ。

僕達は何かないかと周りを見渡すと18歳以下立ち入り禁止の暖簾(のれん)があった。


「太陽、お前はまだガキだからな。あそこには行っちゃダメだぞ」

「いや、竜さんもダメですからね?」


僕が竜さんの顔を見ると竜さんは顔を背ける。

おっと、青少年健全育成条例違反の可能性が。

これは後で家宅捜査しないと。


「……ダメですからね?」

「大丈夫、あそこには行ってない」


他のところは行ってるということか。


「バレなきゃ犯罪じゃねぇんだ」

「豚箱行きですね」

「やめてくれよー」


竜さんはしょんぼりしながらピンクの暖簾とは反対方向に進む。


「太陽は警察になりたいのか? 法律に厳しいし」

「いえ、僕は政治家になりたいんです」

「政治家に? ……じゃあなんで法律に厳しいんだ?」

「政治家が1番大事に守らないといけないもののはずなんですがね。そう言われるのも納得って感じです」


父さん以外は皆、裏金とかいっぱいやってるから。


「僕は父さんのような政治家になりたいんですよ。汚い事はしない、正々堂々な政治家に」

「お前の父さんは立派なんだな」

「えぇ、内閣総理大臣に選ばれるほどですし」

「あれ? 内閣は伊藤博文じゃ?」

「竜さんは何歳なんですか?」


初代を出されても困りますよ。


「え、じゃあガチで凄い人じゃん。名前知らんかったけど」

「えぇぇ!本当に言ってるですか?!日本陽三(にちもとようぞう)って人ですよ。知らないはずないですよ?!」

「だって、俺引きこもってたし」


竜さんは申し訳なさそうにする。

ちょっと言いすぎたかな?


「でも、親を尊敬できるっていいな。羨ましいわ」

「そうですかね?」

「そうそう。ていうか、どんなことやったんだ? お前のお父さんは」

「父さんはですね――」


僕は父さんのことをペラペラと話す。

僕達は話に集中しすぎて店の中をただ歩き続けるだけになった。

まるで、竜さんと2人きりの空間かのようにも思えるぐらい話に集中した。

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