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[完結]世界の終わり  作者: ワクルス
多くの屍の上で
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修行の成果2

僕は雫さんに念話で銃持ちゾンビの位置を教えて貰いながら慎重に進んでいく。

雫さんの能力ってどれだけあるんだ?

動物操って、念話できて、気配探知ができて、確か出してないだけでまだまだあるらしい。

能力因子は1つしか食べられないのにどうしてるんだろう。


《ストップ。そこ曲がったらすぐにいるよ》


僕は雫さんの指示に従い動きを止める。


《ゾンビは太陽のとこ向かって行ってるから出待ちの方がいいかも》

《分かりました》


一旦確認したいことがある。

さっき頭に浮かんできた文字。

能力因子を食べたら頭に文字が浮かんでくるらしいからそれだと思う。

確か、衝撃波を操る能力以外にも他の能力も書かれてあったな。

えぇっと、視野を広げる能力。

おぉ、これは使えそう。

あともう1個あるな。

人の感情を高ぶらせる能力?

……これは心を操る系の能力の1種か。

人の心を操るなんて人として最低だ。

この能力は使わなくていいな。

僕はチラッとゾンビの方を見る。

これ、銃を衝撃波で叩き落としてそのまま行けないかな。

いや、念の為もう少し近づけよう。

僕は深く息を吸いそして息を深く吐く。

足が勝手に震える。

なんか落ち着かないなぁ。

まぁそりゃそうなんだろうけどね。

使う能力は衝撃波を操る能力だけにしよう。

視界を広げる能力は使ったらどうなるか分からないし。

ゾンビの足音が近くなる。

僕はゾンビの目の前に壁を作る。

そして、衝撃波でゾンビを壁に叩きつける。


「とりゃぁ!」


僕は隙だらけのゾンビに剣を振る。

が、ゾンビは風魔法ですごい風圧を持った上昇気流を生み出し天高く飛ぶ。

やっぱり思い通りにはいかないか。

そして、銃口を僕に向ける。

僕は衝撃波を銃に集中させてぶつける。

すると、ゾンビは銃が手元から離れ慌てて取ろうとする。

その引き金はもう引かせない。


飛石(ひせき)


僕は石を作り出し風に乗せてゾンビの頭へ飛ばす。

僕はゾンビの落下地点に先回りしようと動き出そうとするが、ゾンビから放たれるものすごい風圧の風に足を取られ思うように動けない。

これは壁を所々に作って風から身も守りつつ動く――


「ウーガッガッガッ」


ゾンビは不敵な笑みを浮かべると僕が受けてる風魔法に火魔法を放つ

その火は風に乗ってものすごい勢いで成長を遂げる。

僕はすぐさま魔法で水を出し防ぐ。

風の影響を受けないように圧縮しまくらないと。

それでいて僕の身を守れるぐらい広範囲にばらまいて。

こんなこといちいち考えないと行けないとか頭ぶっ壊れちゃうよ。

火が僕のばらまく水の盾をすり抜け腕に当たる。

熱さで意識をそっちに集中しそうになる。

火魔法と風魔法の合わせ技は終わり水魔法を止める。

あれは発動していた風魔法に火魔法を入れただけだから2属性魔法とまではいかない。

それでも強いな。

ゾンビは地面に降り立ち銃を拾う。


「衝撃」


僕はすぐさま、銃に衝撃波を当てまたまた手元から離す。

そして僕は落とした銃を衝撃波で運び僕の手元に持ってくる。

これで簡単に人の命を奪ったんだ。

許せない。

ゾンビは銃を取られ困ったような顔をする。


「ウガガー!」


そしてゾンビはまた風魔法を放つ。


石壁(せきへき)


僕はゾンビの風魔法を石の壁で防ぎながらゆっくり進む。

なんだ、こいつ銃が無くなればくそ弱いじゃん。

中級ゾンビは強いというのは間違ってはないのだろうがこいつは銃に頼りすぎたのか銃を取ればそれっきりだ。

僕はゆっくりとそして確実にゾンビに近づく。

ゾンビは必死な顔で風魔法を放つ。

こいつにはものすごく恨みはある。

だけど、そんな必死な顔をされるとただただ鬱陶しい。

こいつは多分耶楼さん以外も殺してる。

そんな人達もお前みたいに必死な顔をしてたんだろうな。

それをお前は殺したんだ。

しかも、洋介さんには苦しめて遊ぶなんてやり方までして。

あの人達の心に消えない深い傷をつけた。

風魔法が段々と弱くなる。

僕は風魔法を受けながらもゆっくりと進む。


「ウガー!」


ゾンビは放っている風魔法に火魔法を入れようとする。

僕はすぐに魔法で圧縮した水を放出し火を消す。


「加速」


僕は自身に衝撃波を当てゾンビに近づく。

そして、拳を握りしめ怒りを込めて衝撃波と共に殴りかかる。

衝撃波によって加速された拳はゾンビの顔にめり込み地面に叩きつける。

僕はすぐに剣をゾンビの首元に刺し、ゾンビは死ぬ。

僕がゾンビを倒すと星奏さんと雫さんの2人が出てくる。


「おめでとう。弱めの中級ゾンビとは言えよくやったな」


僕は近づいてくる2人を見て腰が抜ける。

勝ったー。

ていうか、こいつ弱めの中級ゾンビだったんだ。

銃のせいで力を誤認していたな。


「普通の中級ゾンビは喋るし、こいつそこまで頭良くなかったんだね」

「え、ゾンビが喋るんですか?」

「カタコトだが喋るぞ。そこはまぁ個体差だな。魔法使ってれば中級程度でいい」


喋りかけてきたらワンチャン殺すのためらいそうだったな。

よかった。

僕達はゾンビを背負いで荷台の方へ戻る。


「おかえり。結果は念話で聞いた。よくやったな」

「はい、竜さん」

「じゃあ用も済んだし帰るとするか」


竜さんはそう言って荷台を押す。

僕はゾンビを荷台に載せ竜さんと一緒に荷台を押す。


「2属性魔法みたいなのあいつ使ってきました」

「マジか。中級ゾンビは1属性しか使えないって聞いてたんだけどな」

「どこ情報ですか、それ」

「ゾンビ教の枢機卿の1人からの情報」

「あぁ、あの邪教集団の。……ん? 枢機卿なら結構すごい人だから普通は会えないですよね?」


竜さんは面倒くさそうな顔をしながら口を開く。


「まぁ色々あったんだよ」

「その色々、めちゃくちゃ気になるんですけど」

「話してもいいけどそこまで面白くないぞ」

「聞きたいです」


竜さんは僕の要望に答えて話し始める。



竜さんが8ヶ月より前に流通していた薬物の出処を調べたらたら横浜の貴族でそいつを懲らしめたからかどうかは知らないけどゾンビ教の枢機卿を怒らせてしまって流れで戦う羽目になってしまった……か。


「え、それで生き残ってるの凄いですね」

「だろー。騎士に捕まったり、吹き飛ばされたり、2人が洗脳されたり、様々でもう大変な訳よ」

「洗脳されてて悪かったね、パンツガン見野郎」

「雫のを見るなんて趣味が悪いな」

「星奏、それ私にもダメージ食らう」


竜さん、洗濯物の下着を見るだけじゃなくナウで着てる下着まで!?

す、すごい。

僕は鼻血が出てきたのをすぐさま手で拭く。


「まぁ、そんなわけで死にかけることばかりなわけよ」

「竜さん達の強さってそこで培ったんですね。僕には真似できません」

「しなくていいわ、こんなの。ただただ怖いだけだから」


それでも、今の僕には必要な気がする。


「今日の晩御飯どうする?」

「太陽の成長を祝して食堂でご飯でいいんじゃないか?」


星奏さんがさも当然かのように提案する。


「いいんですか? お金とかかかりますよ?」

「食費はお前が倒したゾンビ達、だからな。今日はいつもより多いし大丈夫だ。それに自分達の分は自分で払うからな」

「なるほど、ありがとうございます」

「礼なら頑張った自分に言えよ」


僕は星奏さんに軽く頭を下げる。

何食べよっかなぁ。

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