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[完結]世界の終わり  作者: ワクルス
多くの屍の上で
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師匠のもとに

僕は弟子にして欲しいと大声で言い頭を下げながらも助けてくれた3人の顔を見る。


「……ねぇ、星奏。どうする?」

「どうもこうもこんな面白そうな展開を見逃すはずがないだろ」

「竜は?」

「俺は面白そうだとは思うけどどっちでもいい」


男の人は顔を背けながら話す。

2人の女の人はどうしようどうしようと楽しそうに話し、背の小さな人がこほんと咳き込む。


「えぇ、なんで弟子になりたいのかね?」

「強くなって他の人を守れるようになりたいからです」

「な、なるほどだね。星奏、この子、目がガチだ」

「そうだな、なんで私達なんだ? 別に他でもいいだろ?」

「圧迫面接官かよ」


僕はまっすぐ背の大きな人の目を見つめる。


「あなた達である理由はありません。ですが、あなた達の強さを見て僕もあなた達みたいに強くなれたらと思っただけです」


もし、これを逃したら僕は強くなれない。

そんな気がする。


「強いだって、へへへー」

「そりゃ、ギルド内でも結構いい評価貰ってるし強い認定されるだろ。名前だけは有名だからな俺達」

「え、そうなの?」

「俺も最近知っただけだけど」


この人達、有名なんだ。


「見所があるね、君」

「あ、ありがとうございます?」


急に褒められた。


「返事としてはいいってことで大丈夫か?」

「そだね。今月分のお金は溜まったし、師匠になるなんて星奏ぶりだし」

「あんまり黒歴史を掘り起こさないでくれよ」


なんか状況がよく分からないけど弟子入りできるってことでいいのかな?


「名前は?」

日本太陽(にちもとたいよう)っていいます。よろしくお願いします」

「私は南根雫」

「私は……藤川星奏だ」


背の大きな人は名前を言う時だけ下を向く。

この人嘘つくの下手だなぁ。

まぁ名前がキラキラネームだから隠したいってこともあるだろうし深堀しないで置いた方がいいか。


「俺は高野竜。よろしく」

「よろしくお願いします」


男の人が高野竜さん。

背の小さな人が南根雫さん。

背の大きな人が藤川星奏さん。

……あれ?

高野竜さんはともかく2人の名前はどこかで聞いたような気が……


「あ、雫さん。耶楼さんって人知ってます?」

「え、あぁ確か……」


雫さんが竜さんの方を見ると竜さんは首を思いっきり横に振る。


「いや、知らないなぁ」

「そうですか。耶楼さんって人がナンパした人の名前が南根星奏さんって人らしいんで何か血縁関係とかでもあるのかなと思っただけです。いらない話をして申し訳ございませんでした」

「そうなんだ。ふーん」


雫さんは怖い顔をして竜さんを見る。

星奏さんはニヤッとし僕の方を見て口を開く。


「その南根星奏ってのは竜のことだぞ」

「え?」

「ちょ、おい」

「いやぁ、まさか私達の名前を使ってそんなことしでかしてたなんてねぇ」

「いや、あれは仕方なかったんだ。急にナンパされたから女の名前なんて用意してなくて」

「いやぁ、太陽、ありがとね。ちょっと待っててね」


えぇぇっと、耶楼さんがナンパした南根星奏さんって人は女体化した竜さんで、その時使った名前は雫さんと星奏さんの名前を使ったもの……と。

世間って狭いなぁ。

雫さんと星奏さんが竜さんに何か説教をしている。

竜さんは慌ててはいるがどこか他人事だ。

しばらくし説教が終わり戻ってくる。


「とりあえず、町に戻りながら話そっか」

「は、はい」


僕は率先して荷台を持つ。


「僕が持ちます」

「弟子っぽいな。ありがとう」

「竜もどこかの寺に弟子入りしてきたら?」

「ごめんて」


僕が荷台を押し始め皆、足を進める。


「弟子入りさせたのはいいんだけど何を学びたいの?」

「えぇっと、そうですね」


僕が今1番使えるのは魔法だ。

それに魔法が使えれば遠距離からでも人助けができるようになる。


「魔法のことですね」

「よし、僧侶候補の竜、教えてあげて」

「坊さんにはならんからな。魔法のことか。とりあえず、一言で言うならイメージを膨らませろってとこかな」

「魔法はイメージが細ければ細かいほど強くなるらしいんだ。俺の魔法はそれの最上位ってとこだろうけど」

「しれっと自語りしてる」

「うるせ。まぁ、感覚的な物が大半だから練習だな。町の近くでやろう」

「じゃ、私達は先にギルド行って監禁しとくね」

「はいよ」


上手くできるか分からないけど絶対に上手くなるぞ。



僕と竜さんは町の外壁のすぐ近くで魔法の練習をする。


「火、風、水、土、基本はこの組み合わせだ」

「そこは習いました」

「習う?」

「あ、僕施設に1年だけいたんですよ。そこで魔法の使い方っていうので少し習ってました」

「そんなのあるんだ」


竜さんはへぇーと言い説明を続ける。


「とりあえず、火魔法だ」

「分かりました。ファイヤーボール」


僕は近くの建物に火の玉をぶつける。

鉄筋コンクリートだしちょっとでは引火しないはず。


「魔力はどれだけ使った?」

「100程です」

「使いすぎだな。とりあえずはこの周りの景色を頭に入れて、どの程度の大きさで、どの方向に飛ばすのかを考えてみろ」

「は、はい」


この景色の中で火の玉は僕の手のひらサイズで目の前をまっすぐ飛ぶ。


「ファイヤーボール」


僕の火の玉はまっすぐ思い描いた通りに飛ぶ。

大きさも想像通りだ。


「魔力は?」

「50程度です」

「そこら辺でいいか。他のやつもいくぞ」

「はい」


半分も魔力の無駄を減らせた。

これに100程度の魔力を使った火の玉ならもっと火力が出せそうだ。


「次は風、簡単な使い道は自分に向けて風を吹かせて早く走るとかだな」

「風魔法ってどういうイメージでやればいいのでしょうか?」

「風魔法はこうブワーンって風が吹いてるイメージを作るんだ。それにどの程度の範囲にどの方向に、どの程度吹くのかを考えるって感じだ」


よく分からないけどよく分かった。


「ウインド」


僕は竜さんの言う通りに頭の中でイメージする。

しかしそよ風程度の風だった。


「これは使う魔力の量が少ないんだ。こればっかりは感覚の問題だから教えるとかは無理だな」

「なるほど、じゃあもっと魔力を込めて、ウインド」


次は僕の体が持ってかれそうな位の強風だった。


「魔力の量は200程度ですね」

「200は相手や自分飛ばしたいとか時に使う分の魔力量だからもうちょっと細かくしようか」

「はい」


魔法ってイメージしないといけないことが沢山あるんだな。

でも、これぐらいはマスターしないと。


「おぉ、やっとるのー」

「こちら藤川流の師範、藤川先生です」

「魔法は俺が全部教えてるから高野流兼と付け足しとけ」


僕達が魔法の練習をしていると雫さんと星奏さんがやってくる。


「とりあえず、次は水だな。基本は圧縮して使うやり方と凍らせるやり方があるんだが。今回は凍らせるやり方で行く」

「どっちも行きなよ」

「圧縮より凍らせるの方が応用が利くからさっきにやってると思ってくれ」

「はい」


竜さんは野次馬を無視して説明を始める。

星奏さんと雫さんは魔法で土の椅子を作りそこに座る。

少し偉そうだ。


「魔法で水を出せるか?」

「はい、ダバーとなら」

「じゃあダバーと出してくれ」


僕は言われるがまま水魔法を出す。


「今流してる水を感覚で捉えてその全部を凍らせるイメージでやるんだ」

「なるほど」


出してる水を感覚で捉えてそれらを凍らせるようにイメージすれば……


「お、できた」

「これの応用としては……星奏、凍結を使ってくれ」

「師範に向かってなんという口の聞き方だ」

「俺が全部やるとお前の師範要素なくなるからだ」

「あ、やります。凍結」


星奏さんはそう言って雫さんの足元を氷で覆う。


「え、なんで私?」

「後で解くから」

「こんな感じに水を出す前にイメージで凍らせてから水を出せばこういう感じになります」

「なるほど」


水魔法を出す前に凍らせてから出す……


「氷塊」


僕は小石程度の大きさの氷を魔法で出す。


「じゃ、次は土いくぞ。土は簡単でとりあえず地面から壁を生やすイメージからだな。土の塊が出てくるイメージをすれぱ大丈夫」


土の壁を地面から生やす……


「こんな感じか」


僕は魔法で地面から壁を生やすことに成功した。

一発でできた。


「魔法をイメージするという感覚さえ掴めば後は発想力しだいだ。もう魔力も結構使っただろうし今日はここまでな」

「ありがとうございました。では、次は剣の方を教えてください」

「え、マジ?」


竜さんは驚いたような顔をする。

魔法だけじゃ魔力が尽きた時に何も出来なくなってしまう。


「星奏」

「あぁ、こいつは逸材だ。私自ら育てよう」

「剣は星奏の方がいいからあと頼んだ」


竜さんは星奏さんと入れ替わりで椅子に座る。

星奏さんは僕のところにやってきて剣を抜く。

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