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[完結]世界の終わり  作者: ワクルス
自分でいたい
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好きなだけなのに

僕は今何故か海の中にいる。

さっきまで森の中、その前は都市の中だったのに。

僕は慌てて呼吸を止め息を我慢する。


「ナイス、竜」


その隙に南根雫が後ろからやってきて。

僕の首元に剣を突きつける。

なんで僕が死なないといけないんだ。

僕は……ただ……ただ……



僕は今日から小学校に通う小学一年生。

友達100人できるかな。

僕は学校教室に入って元気に挨拶する。

とりあえず、誰かには声かけないと。

隣の席の子でいっか。

僕は隣の席の人に声をかける。


「おはよう。僕、小梨翼(こなしつばさ)。よろしくね」

「俺、藤井木吉(ふじいきよし)。よろしくな」


僕はそのまま木吉と話をし続けた。

帰り道が少しだけ一緒で帰る時も一緒に話をして入学初日に仲良くなれた。

僕は友達が出来て嬉しい思いを弾ませつつ家に帰る。

幼稚園卒業と同時に引っ越せて良かった。

ここなら僕を知る人は誰もいないからね。

僕は自分の部屋に行き私服に着替える。

ふりふりのスカート、可愛らしい洋服の私服に。

僕は女の子の格好をするのが好きだ。

可愛いし、それに僕が可愛くなれるし。

僕は男だけど可愛くありたいから女の子の服を着るんだ。

でも、幼稚園じゃなぜか否定されてずっとぼっちだったから本当にしんどかった。


「ま、ここなら僕は変なものを見る目で見られないし自由に過ごせるぞ」


僕は早速お母さんが買ってくれた服に着替え鏡を見る。

今日の僕も可愛い。

ていうかお母さん、またズボンとか男ものの服買ってる。

いらないのに。

僕はいらない服をタンスに押し込み鏡の前で様々なポーズを取る。


「もし、これが誰かにバレたらまた変な目で見られるのかな」


僕はただ好きで着てるだけなのになんでなんだろうね。

僕は疑問には思ったが深く考えずにリビングに行きこの格好のまま、ゲームをする。

今日は気分上がってるし激ムズステージクリアできるかな。



小学校生活もまぁまぁ時間が過ぎて木吉とかなり仲良くなれた。

もちろん、他の子とも仲良くなれてる。

木吉とはやってるゲームが同じで話が合って学校にいる時は常に一緒にいるぐらいには仲良くなった。


「翼、あのステージクリアしたのか? すげぇな」

「まぁねぇ」

「俺、習い事あって中々できないから羨ましいわ」

「帰ったら何も無いニートだからね」

「やーい、ニート、ニート」


僕は木吉といつものようにバカ言い合って楽しんでいる。


「おーい木吉、翼。ドッチしようぜー」


クラスの子が遊びに誘ってくる。


「わかったー」

「いくか。今日は泣きべそかくなよ」

「知り立て単語使いマンには負けないね」

「あ、そのまえにトイレ行きてぇ」

「じゃあ一緒に」


こうやって僕の日常は続いていく。

今日も明日もこれからも。



僕が放課後になり帰りの準備をしてると木吉が話しかけてくる。


「なぁ、俺今週の土曜日習い事休みなんだよな。だからさ、お前ん家に遊びに行っていい?一緒にゲームしようぜ」

「今日親に来ていいか聞くわ」

「あざすー、じゃ帰ろうぜ」


僕は木吉と休日も遊べると嬉しくなりルンルン気分で一緒に帰った。

そして、休日になる。

今日は木吉が家に来る日だ。

うーん、服どうしようかな。

誰かの前で好きな服を着たいけど、また幼稚園の時みたいな事はゴメンだしな。

でも、木吉なら見せても大丈夫だろ。

あいつならなんも言わないだろ。

僕は緊張しながらもいつも通り可愛らしい格好に身を包みお出迎えの準備をする。

お母さんがお菓子とかジュース買ってくれたしテーブルの上に出しときゃいっか。

今日はあいつに暇人の底力を見せて敬ってもらうか。


「よ、日本の大統領になる男ー!よせやいってね」


僕がドキドキしながら準備を終えたリビングで待っているとピンポーンとチャイムが鳴る。

急いでドアを開けて出迎える。


「いらっしゃーい」

「おじゃましまー……」


木吉は家に入ろうとするけど僕を見て動きが止まる。

ま、驚きぐらいならするか。

僕はそんな木吉を横目にさっさと家に上がることをせかす。


「……何その格好」

「え?」


木吉は幼稚園の奴らみたいな目で僕を見てくる。


「きもちわる」


木吉はそう言ってすぐさまどこかへ行ってしまった。

僕は開いた口が塞がらなかった。

"きもちわる"

この言葉が深く僕の心に刺さる。

幼稚園の時も同じことを言われた。

でも、その時以上の傷が僕の心に出来上がる。

木吉はそんな事言わないと思ってた。

木吉は幼稚園のヤツらとは違うと思ってた。

けど、同じだったんだ。

僕はとぼとぼと歩き準備を終えたリビングに戻る。

なんのための準備だったんだろ。

僕はガックリと床に膝をつく。

"きもちわる"

この言葉が頭の中で響き続ける。

なんで気持ち悪いの?

なんであんな目で見られなきゃいけないの?

なんで……なんでこんなにも辛い気持ちを抱えなきゃいけないの?

僕は涙がポロポロとこぼれてくる。

僕が男の格好をすればよかったの?

僕が皆と同じだったらよかったの?

僕が好きと思ったものを好きって言わなきゃよかったの?

おかしいよ。こんなの、おかしいよ。

僕は頭の中で"なぜ"を繰り返した。

"きもちわる"を埋めるかのように何度も何度も自分に"なぜ"を言い続ける。

答えは分からないまま休みが明ける。

学校には僕の居場所はなかった。

幼稚園と同じ目で見るやつしかいなかった。

僕は不登校になった。

学校に行っても楽しくない。

学校には僕を変な目で見るやつしかいない。

そうだ、幼稚園と同じように今回も引越しして新しい土地でやり直せば。

僕はすぐさまお母さんの所に行こうとする。

どこかに行けば僕のことを受け入れてくれるやつだって……木吉でも無理だったのに?

あいつとは特別仲がいいと思ってた。

親友だと思ってた。

けど、あいつは僕にきもちわると言ったんだ。

あいつでも無理だったのにいるわけないか。

僕は全て諦めて自室にこもる。


「好きが否定される世の中、間違ってるだろ。好きはもっと自由にあるべきなんだ。ニチアサでも自分に正直になれとか言ってた。正直になった結果がこれってなんなんだよ」


僕は……憎い。

僕の好きを受け入れないあいつが、あいつらが。

ただ心の底から煮えたぎるほど憎い。

憎い憎い。

憎悪だけが僕の心の中で育つ。

そして、数年が経つ。

居場所がない苦しみを憎しみに変えてどうやってあいつらに復讐するか考えていたら突然声がした。


《人間って醜いと思わへんか?》


関西弁で急に頭の中に話しかけてくる。

僕は驚き腰を抜かしていると更に頭の中で声が響く。


《人間に復讐せえへんか?》


僕はこの言葉にすぐさま返事をする。


「はい」

《えぇ、返事や》


僕が返事をすると突然変なところに飛ばされる。


「え、まだ子供やん。これ大丈夫か?」

「知らん。俺はお前にそこまで手を貸さないと言っただろ」


研究者風の男と高校生ぐらいの男の人がいた。


「うーん、まぁええか」

「僕、復讐したいです」

「なら、ちょっとこの計画に参加してもらおか。世界の終わり計画」



僕は……ただ……ただ……好きを好きと言いたかっただけなんだけどな。

もういいか。

死んでいったあいつらの仇も取れないのか僕は。

もう自分を殺すしか方法はないか。

僕の3つ目の能力は精神汚濁物質を生成し放出する能力。

この能力は使うと周囲の生き物の精神を汚染し最悪死ぬ。

強いけどデメリットとして自分もその影響を受けるのと自分がとてつもない醜い化け物になってしまう。

けど、もういいや。

世界には救いも希望もないんだから。

能力発動。

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