表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
[完結]世界の終わり  作者: ワクルス
自分でいたい
160/265

犯人捜索

俺達は町の外を出て怪しい人物がいないか捜索している。

赤い宗教関係者っぽい服が目印なんだが中々見つからないな。


「ていうか、本当に枢機卿のせいか? もしかしたらTS大好き野郎の標的がたまたま俺だっただけだったりしない?」

「竜なんかにするのか?」

「辛辣だな、オイ」


能力使った探索でも見つからないしな。


「クロでも赤い服着たやつはいないって」

「気配探知能力持ってるやつですらこれだったらもう無理だろうな。今日は適当にゾンビ倒して帰ろうぜ」

「本当にTS大好き野郎がいる可能性が出てきちゃったね」

「竜、男として生きるか女として生きるか、今のうちに考えとけよ」

「女としてでしか生きられねぇんだよ。選択の余地すらない」


雫の能力無効化も効かないしな。

なんなんだよこれ。

もう男の体に戻りたい。

最初は新鮮さで楽しかったけどもう今となってはオシャレをたしなむ程度しかやることない。

着替える時だっていちいちブラ付けんのめんどくさいし。

結局、男が楽だ。


「女の子? ぐらいしか周りに人いないしゾンビ倒して帰ろっか」

「1人でか?」

「みたいだね。見た目は幼いけど私みたいに見た目と実年齢にギャップでもあるのかな」

「お前はありすぎてエベレスト」


雫が拳をニギニギとしている。

あぁ、こえぇですなぁ。


「1人でいるなら、ご一緒にひと狩りどうっすか? とか言ってこよっかな」

「そんなゲームじゃないんだから」

「お前ナンパされたからって調子に乗ってるだろ」

「ナンパされたから調子に乗んだよ。ナンパされるイコール美人で可愛いっつうことだろ」


俺からしたら自分の顔としてでしか思わんがな。

それにしてもこんなところで1人なんて珍しい。

たまに、いるけど女の子で見るのは初めてだ。

大半が復讐に囚われた目をする怖いおじさんだ。

後は厨二病かコミュ障ボッチ。

まぁ、それは最初の方だけだったがな。

厨二病ごじらせてソロプレイしてたりボッチすぎて人に話しかけるのを怖い怖いするやつでも命かかってりゃ変わるだろ。


「あ、ゾンビは100m先右折です」

「星奏、どれだけ倒せるか勝負な。制限時間は雫が無双し終わるまで」

「いいぞ。負けたら罰ゲームな」

「メイド服着るとかどうだ?」


雫が私も仲間に入れてみたいな顔をする。

だってこの勝負、お前の圧勝確定じゃん。

負け確勝負はお断りで。



ドゴーン

雫がいつもより悲しそうな顔をしながら轟音を響かせる。

そんな顔すんなよ。

俺達が悪いことしてるみたいじゃん。後でなんか買って機嫌取ろ。

じゃないと晩御飯がキノコ祭りになりそうだ。


「星奏、お前俺に負けてんじゃね」

「お前は透明化して私の獲物を横取りしてるだけだろ。そんなのでイキるな」


勝ちは勝ちだもーん。

それに自分で倒したのもありますしー。


「今のところ、同数か。これじゃ勝負がつかんな」


ドゴーンと慣れてきた轟音が響き最後のゾンビも倒し終わる。


「同点だな。じゃ、次の試合まで持ち越しだな」

「お前のメイド服を一生ネタにしてやろうと思ってたのだがな」


え、怖。

メイド服着たらこいつに一生ゆすられるとか地獄だな。

そうこうしてると雫が大量のゾンビを持ってくる。


「私を仲間外れにしてるそこのおふたりさん。今日の晩御飯はキノコたっぷりミルク鍋とかいかがかな」

「どっちかが負けたら雫も一緒にメイド服着ような」

「私強制参加じゃん」

「お前をこのゲームに入れる余地はこれぐらいしかない。お前が入れる別のゲームを考えてやるから待ってろ」

「強くなるって困りものだね」


引っぱたいてやろうかな。

今は同性だし問題ねぇよな。

俺が手のひらに息を吹きかけていると雫が急に耳を抑え出す。

眷属達と話しているのか?


「ん? え? あぁ、うん。分かった」

「なんかあったのか?」

「いや、クロがここらへん一体に沢山の動物の気配がするって言ってて」


動物の気配か。

まぁ、凶暴な肉食獣だったとしても雫の前じゃ威勢のいいチワワ同然だ。

何も心配いらないか。


「とりあえず、何かあるといけないし早く帰ろ」

「そだなー」


雫が台車を引こうとすると目の前に1匹のチワワが出てくる。

可愛いなぁと思うようなチワワではなく、肉が腐ったまるでゾンビみたいなチワワだ。

肉食獣いたわ。

そのチワワは瞬く間に大きくなる。

久しぶりのゾンビ動物だ。

だが、今は神講師の雫先生がいる。


「先生、願います」

「しょうがな――」


横から突然やってきた巨大なゾンビ猫に口にくわえられて雫は連れ去られていく。


「星奏」

「あぁ、分かってる」


星奏が俺の方に手をかざしながら浮かび上がろうとすると空から大きなスズメが邪魔をしてくる。


「こいつら、多すぎだろ。透明化で無理やり逃げるぞ」

「あぁ、そうだな」


雫は1人で何とかなるだろ。

強くなったんだし。

俺が透明化を発動し逃げようとすると今度は大きなコウモリが襲ってくる。

コウモリは音波でものを捉えるから俺と相性最悪だな。

ていうか、この動物軍団はなんなんだ?


「竜、ここは多少倒しながらじゃないと無理だぞ」


星奏がそういうと周りからゾロゾロと巨大化したゾンビ動物が出てくる。

ここってゾンビ専門の動物園か?

俺達が立ち向かおうとしてると奥の方から女の子らしき人物の姿が見える。

あの見た目、どこかで……


「あ、そうか」

「どうした?」

「星奏、あそこに人が見えるだろ?」

「人に助けを求める暇なんて――」

「最後まで聞け。いいか? あいつはゾンビ教の枢機卿達よりも上の存在の教祖だ」

「なんでそんなこと知ってるんだ?」

「理由は後で話す。今は逃げるよりあいつを倒すことを優先して欲しい」


星奏は少し不思議そうな顔をする。

いつも自分達から挑む戦いから逃げてる俺に違和感を感じたのか?


「あいつを捕虜にすれば能力解除なんて朝飯前だろ。それに大阪結界もあいつの仕業だ」

「そこまで知ってる理由がすごく気になるが今は聞かないでやる」


そういうと星奏は俺を浮かび上がらせ1人、ゾンビ動物の群れに突撃する。

星奏が突撃することによって出来た隙に俺が勝手に移動しそして星奏はまた別の場所に突撃する。

俺はその星奏の行動を魔法でできる限りアシストし早く教祖のところに行くのを補助する。

俺はある程度のところで透明化し俺達が戦ってるふうの虚像だけをその場に置いていく。

そして着実に教祖のところに近づき、とうとう到達する。

俺達は抵抗できなくなる様に両腕を切り落とそうと剣を腕を切り下ろす。

教祖がびっくりしたような顔をすると何か固いものが俺達を押し無理やり距離を取られる。

その間に教祖は腕を再生し、冷静な顔で口を開く。


「まさか、顔を知られてたとは。まぁいいや。僕は仇を取りに来た。それだけだ」


俺は自分だけ透明化を解き教祖の前に姿を現す。

こいつもゾンビみたいだし拉致は無理だな。


「女の子の生活は気に入ってくれたか?」

「原因お前かよ」


逃げようにも逃げれなくなったな。

ここで倒さなきゃ俺は一生女の子のままだ。

慣れてきたとはいえ、今はただ男に戻りたい。


「じゃあ、男に戻れないまま死ね」

「それだけは勘弁だ」


教祖はそのまま俺に向かって殴りかかってくる。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ