竜討伐
投稿する順番間違えてました
この話は女風呂の前に投稿する予定の話なのに先に女風呂を投稿してしまいました
私は誠華ちゃんを部屋に呼び厳格そうな態度を取りながら星奏に話しかける。
「誠華ちゃ――」
「分かってる。竜の件だろ」
「そうだね。あいつは女の子となり数日暮らしてきた」
「その数日で竜は女の子としての成長を遂げてきた」
「このままじゃ」
「私達の」
「「女子ポジが危ない」」
私と誠華ちゃんは1件が一致出来たのを確認しとりあえず一旦手を取り合う。
「竜は元男でありながらオシャレ、ナンパされる、お菓子作り、という女の子っぽいことをしてきた」
「ただするだけなら別にここまで気にとめなかったんだけどね。竜は心の底からオシャレとお菓子作りを楽しんでいる。.....ナンパされるはおかしくない?」
「そうか?」
「そうだよ」
ナンパされるは女の子っぽいことでは無いでしょ。
男の子でもたまにされるやついるし。
「とりあえず、私達は元男のあいつに女子力で負けている。元々女子力が高いというわけじゃなかった竜に負けているんだ」
「ここで言う女子力は世間一般論的な女の子っぽさを度数として測った数値でいいよね?」
「そうだ」
そう、世間一般的に見れば私達より竜が女の子なのだ。
「負けているかと言って私達がおかしいという訳では無いのは重々承知している。だが、負けているという事実が17年も女の子をしている私のプライドが許さいのだぁ!」
「みーとぅー」
「てことで、竜の女子力を越えるぞ。何をするべきか一緒に考えてくれ」
「はい、アウト」
星奏はえ?と疑問を持っている顔をする。
全く、これだから誠華ちゃんは。
「良い? 一般的に女の子ってのは無駄な話が大好きな生き物なの。つまり、すぐに本題に入ろうとするのは女の子っぽくないということになる」
「そ、そうか」
「ま、私達の場合は常日頃から無駄な話しかしてないけどね」
「それは言えてるな」
私と誠華ちゃんは何か無駄話をしようと話題を頭の中で作る。
しばらく経ってもどちらも何も言わない。
「よし、本題」
「私達も本気でオシャレを初めて見るのはどうだ?」
「誠華ちゃん、それして本気で楽しめる自信ある?」
「.....してみないことには分からない」
「じゃ、とりあえず髪型変えてみるからおいで」
私は適当に誠華ちゃんの髪をお団子ヘアーにする。
誠華ちゃんに鏡を見せると誠華ちゃんはすぐに口を開く。
「楽しめる自信ないわ」
「はい、その時点で竜以下確定」
誠華ちゃんは悔しそうな顔をする。
私も分かるよ、その気持ち。
女としての高みに登っている竜を崖下から見つめることしか出来ない気持ちは。
「.....登っている。.....崖下.....は!?」
「なんだ、雫。いい作戦を思いついたのか?」
なんだ、簡単なことじゃん。
「竜をまたこちら側へ引きずり落とそう。いや、なんならより一層男らしくさせれば私達は勝てる」
「そうか、目標はあくまで竜の女らしさを越えることだから.....それなら私達の女子力を上げなくて済む」
「そゆこと」
作戦のゴールが決まったなら後は中身を考えていくだけ。
「勝つよ」
「あぁ、もちろんだ」
私達は完璧な布陣を築き、お使いから帰ってくる竜を待つ。
第1の作戦、それは急に私達が抱きつくこと。
男って生き物は女子のボディタッチに弱いと聞いたことがあるからね。
それで竜の内に秘める男を湧き上がらせれば、竜の女子力は崩れるはず。
「ただいまー」
帰って来た!
このタイミングだ。
私達はドアを開けて家の中に入ってきた竜に抱きつく。
「おかえり、竜」
私はすかさず上目遣いで竜を見つめる。
星奏は身長的に上目遣いが出来ないから胸を押し付けることでなんとかカバーしている。
でも、星奏。この男は貧乳好きだから多分それ効かない。
「.....う、うわーびっくり。俺っちびっくりしちゃったにゃん」
竜はこれをドッキリか何かだと勘違いしたのか棒読みで下手くそな演技をする。
私は星奏に作戦失敗だと目で告げそのままリビングに戻る。
竜は何がなんだが分からないような顔で買ったものを冷蔵庫に入れる。
「星奏、大丈夫かな?」
「大丈夫、次の作戦があるだろ」
そうだね、私達が考えた作戦はまだある。
完膚なきまでに男にしてあげるよ、竜。
「星奏、胸また大きくなった?」
「それを言うなら雫のも大きくなっただろ」
「なにそれ嫌味? そんなこと言う星奏の胸もんじゃえ」
私は星奏に飛びつき胸を揉み始める。
そう、これは第2の作戦。
百合好き竜の必勝策。
これを見た竜は興奮しすぎて男になるはず。
ていうか、星奏の胸揉み心地やば。
虜になっちゃいそう。
そうしていると竜は私達をジロジロと見てうずうずしている。
さぁ、トイレに駆け込むなりなんなりしろ。
そうすれば私達の勝ちだ。
「フライイン」
竜は絶賛揉み合ってる私と星奏の間に入ってくる。
百合に挟まる男は死あるのみってこいつ知らな――
「女になれて良かった」
そうか、今こいつの肉体は女。
挟まれるんだ。
やばいどうしよう。
アドリブでなんとかこの場をしのがないと。
「竜も無駄にあるし揉ませてよ」
「しゃーねーな。無き者に慈悲を与えるのが聖女様だからな」
腹立つ。
私は竜の胸を思いっきり握る。
「いでてててて。おまっ俺の胸が大きいからって嫉妬しすぎだろ」
「CよりのBが大きいわけないでしょ」
「言うとこ絶対違う」
私は竜の胸を能力使ってでも握り潰そうかと思ったけど流石に踏みとどまり握る手を止める。
「ふぅ、死ぬかと思った」
私は星奏に撤退の合図を送り各々がリビングでくつろぐ。
こうなったらもう仕込んでおいたあれを待つか。
「なんか疲れたしちょっと昼寝するわ」
竜はそう言って自分の部屋へ向かう。
そう、そこはもう既に私達の砦の中だ。
年頃の男の子なら食いつかない訳もない。
エ○本地獄だ。
私達は部屋の至る所にエ○本を置いた。
これはもう汎用本型対男決戦兵器と言えるだろう。
「勝ったな」
「あ、雫。それ、死亡フラグ」
竜は自室に入る。
そして、すぐに出てきた。
「雫、これで貸しは無くなった」
竜はそれだけ言うとまた部屋に戻る。
「勝った。計画通り」
「なんか負けそうな気しかしない」
「あの部屋から出てきた竜はたくましくなってるよ」
私はそう信じてる。
私達はそこからは普通にいつもの日々を過ごした。
竜が全然部屋から出てこなくて流石に心配だ。
「ま、大丈夫か」
私はご飯の準備をしようと立ち上がると竜の部屋の扉が開く。
そこにはツヤツヤとした肌、綺麗な髪、そして清々とした表情をした竜が出てくる。
「ありがとう、雫。おかげで楽しめたわ」
竜はモデルのような歩き方でお風呂場へと行く。
「先にお風呂頂くわね」
.....竜は一段と大人の女性としての階段を昇ったのだ。
星奏や私よりも先に大人の女性になったのだ。
1週間ほどしか女の子をしてない竜が17年も女の子してる私達より先に大人になったのだ。
「星奏」
「あぁ、私達の負けだ」
私達はただ大人の余裕さを持つ竜に女としての敗北を受け取らざるを得なかった。
「私達、こんなことで熱くなるなんてまだまだ子供だったね」
「.....そうみたいだな」
そう言う誠華ちゃんはどこか嬉しそうだった。