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[完結]世界の終わり  作者: ワクルス
自分でいたい
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実験

俺達は町を出で町の近くのちょっとした広場に行く。

まだここまで壁建設が進んでなくてよかった。


「じゃあ、やるね」


そう言って雫は靴や上の服を脱ぎ始める。

俺は一応雫の周りだけ真っ暗にしておき少しだけ待つ。


「覗いたらダメだぞ」

「誰が覗くか」


星奏に覗きを止められなんでそんな事言うんだと思っていると雫がクマの耳だったりワシの翼だったりを生やしてクマの腕やライオンの足になった姿に変身して出てくる。


「この状態、なんか頭の中がゴワゴワする。こう、凶暴性が増すというかなんというか。何かしらを壊したくてたまんないというか」

「我慢できなくなったらすぐに解除していいからな。強い能力って大体何かしらの反動があるもんだから」

「私ほどそれを分かってる人間はいない」

「俺達全員分かるだろ」


皆、そういうラノベ沢山読んでるんだぞ。

雫はジロジロと自分自身を見回す。


「翼ってどう動かしてたんだっけ?」

「俺達に聞かれても分かんねぇよ。翼生やしたことないんだから」

「空は飛んだことあるんだがな」


俺も空は飛んだことある。

地味に気持ちよかった。


「背中に腕が生えてるって感じがしてどう意識すればいいか分かんない」

「まぁなんか背中をパタパターってしてみたら?」

「パタパター」


雫は翼でなく肩を動かす。

それじゃ無理だろ。


「まぁ、飛ぶのは後回しでいいだろ」

「それよりもその状態がどうなってるのかを感じることから始めよう」

「どうなってるのかってどゆこと?」

「口で説明するのはめんどくさいけど簡単に言えばその状態は能力で自動的になったのか、それとも意識してないだけで自分で制御してるのかだな。身体能力強化だって強化する所を自分で選んで強化してるだろ? そんな感じで自分で制御してるのかどうかを確かめてくれ」


雫はうーん唸りながら目を瞑ってじっとする。


「なんか、足にサン達がいる気がする。おしりにはクロ、腕は大鎌と無鍬、頭に叡犂、胴体にはブラウニー達がいるね」

「変化した場所と変化元が一致してるな」

「偶然ではないだろうな。そいつらを別の部位に動かすとかは出来るか?」

「とりあえず色々試してみる」


雫は口をパクパク動かし何か小声で言っている。

すると、クマの腕が元に戻るとライオンの前足になっていく。

そして雫は四足歩行の動物みたいな体勢を取る。


「グリフォンみてぇ」

「あれは頭が鳥の怪物だろ」

「じゃあ人面グリフォン」

「じゃあってなんだよ。正真正銘人間なんだよ、私は」

「……今の姿見せてやろうか」

「ごめん、人間っぽくないのは分かってるから辞めて」


完全にライオンになることは無理なのか?

いや、完全にライオンになった所でそこまでメリットないか。


「じゃあ、変身部位を抑えて人間の姿に戻ることって出来るか?」

「そういえば、さっきクマの腕からライオンの前足に戻る時にチラッと人間の腕に戻っていたな」

「あーね。やってみる」


雫がまた小声で口をパクパクと動かすと段々と人間の姿に戻っていって……


「暗闇」


俺はすぐさま雫の周りを真っ暗にし外から見えなくする。

星奏からグッドポーズを送られ俺もグッドをし返す。


「おぉ、戻ったよ。これなら服着たままでも合体できるね」

「良かったな。いっつも服破って変身とか魔法少女もびっくりするからな」

「魔法少女は完全に全裸になって変身するから同類だよ」


でもお前にあの謎の光でねぇじゃんと思いつつ言い留まる。

雫は翼だけを生やして後は人間の姿で出てくる。


「確認作業はこれくらいかな?」

「そうだな、後はそこらのゾンビ狩って今月の生活費の足しにするぐらいだ」

「なら、もうちょっとだけ待ってて。空飛ぶ練習したから」


雫はそう言ってグッと堪え力を込めるが翼は一切動かない。

そういえば、こいつ眷属達全員分の能力持ってたよな。

ここでちょっとでも殴ったらどうなるんだろ、指を弾くだけでもR18な展開になるかな……

いや、辞めとこう。

俺は修羅の道への1歩思いとどまり極楽浄土に居続けることを決めてると雫が顔真っ赤にして堪えてる。


「うんこしてるみたい」

「ちょびっとだけ」

「汚ぇなおい」

「冗談だよ」


雫は大きく息を吐き落ち着く。

雫がなんで飛べないんだろみたいな顔をすると星奏が口を開く。


「雫、全身に力を入れすぎなんじゃないか? 雫は翼のことを背中に生えた腕みたいと言ってたんだし翼があることを意識するとこから始めてみたらどうだ?」

「なるほど、翼。私には大きな翼がある。自由な空へ飛び立てる白くないけど大きな翼が。未来を信じてアイキャンフラーイ!」


雫は思いっきりジャンプし翼が一瞬動いたかと思うとそのまま地面に落ちる。


「ちょっと動いてた気がするしその調子ならいける」

「なんか一瞬掴んだ気がする。こう、背中にある根っこに集中してそれをパタパタと動かすの」

「私達に言っても全く分からないからな?」


雫はそれからも何度もジャンプしては失敗しジャンプしては失敗するのを繰り返す。

前の戦いでの使いこなしはどうやってたんだと思いたいがあの時は調子が良かったんだなと自分を納得させ雫の邪魔にならないようにする。


「……ジャンプしなくてもいいのでは?」

「ロマンがないじゃん。それにジャンプして転けて傷跡作った方がめちゃくちゃ頑張りました感出るし」

「ならいいか」


努力アピールは大事だからな。

ラノベでも努力アピールないと何もしないで結果出してると思われてアンチ共がうるさくなるからな。

ソースは俺。


「おぉ、動いた動いた。ほら、見て」


雫を見ると翼がパタパタと動いており今にも飛びそうだ。


「これ動かしてる時は腕動かせる気しないけど私も空を飛べるぞー」


雫は更に早く翼を動かし空へ飛び立つ。

星奏もそれに着いていくように空を飛ぶ。

俺は空を飛ぶ能力がないのでただ見つめるだけだった。

いいなぁ、空飛ぶ能力。

いや、俺も飛べるっちゃ飛べんだよ。

ソニックブロウを自分に当てて吹っ飛ばす方向を調節すれば飛べるんだけどそうじゃないじゃん。

あいつらみたいに自由に空飛びてぇよ。


「見て見て星奏。あの下民」

「何見てる下民風情が。空を飛べないお前など私達を見る資格すらないんだぞ」

「ムカついた。ちょっと待ってろ、今すぐ上り詰めてやる」


俺は自身にソニックブロウを当て空へと飛び立つ。

意識し続けないと普通に落ちるけど少しだけならいいか。

俺はすぐに2人の近くにまで行く。


「はーい上級国民の皆さん。下克上でーす」

「それで空飛ぶはなしだろ」

「うるせぇ、お前らばっかりいい能力当てやがって。羨ましいぞ」

「竜がすぐにあれを食べちゃったのがいけないんでしょ」

「何も反論できないからそれ言うのやめてくれ」


最初の時にあの能力因子を食べてなかったらなぁ。

でも、この能力に助けられたことは何回かあるしいいっちゃいいんだ。


「じゃ、もう確認も済んだしゾンビ狩って帰ろう」

「今日は何体殺せるかな」

「雫無双にならないように竜、私に協力してくれ」

「もちろんそのつもり」

「チート能力で無双してあげる」

「借りもんチーターがやってみろ」


俺達は言い合いながらもゾンビを探しに行く。

今日は何体倒せるかな。

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