ふるさと
俺は華蓮さんが作り出した隙をついて剣を振り下ろすが読まれていたのか力強く振り下ろした剣は老人の指2本で止められる。
「結局はお前の身体能力強化は人間の限界をちょっと超える程度だからな」
「……ライトニング」
俺は義手から魔法を放ち老人に当てそのまま次の攻撃に持ち込もうとするが急に体が上手く動かせなくなり地面に膝をつく。
時間か。
「諸刃の剣ですらないとは。そんなので私を倒そうなぞ100年早い」
「もう100年したらおじいちゃんは死んじゃうでしょ」
「つまりお前らは一生私を越えれないということだ。こんなことをいちいち言わすな」
「ちゃんと言葉にしないと伝わりませんよ、おじいちゃん。報連相も出来ないのですか?」
華蓮さんが煽りまくるが老人はずっと俺を見る。
俺は何も出来ない無力感とその現実だけを淡々と見せつけられるような気分になる。
「今日はこの辺でいいか。こんなに時間を稼いでダメなら無理だろうな」
老人はそう言って立ち去ろうとする。
俺は立ち上がろうとするが目眩がしその場に倒れ込む。
「守りたいものがあるなら命を捨てろ、感情を捨てろ、己の人生全てをかけろ。それでやっと守れる」
老人はそれだけ言って立ち去っていく。
「今日はもう帰ろうか」
「でも、竜がこの先に!」
「それは私が見とくから。後はゆっくり休んで」
華蓮さんはそういって手を叩きタコ型のロボット数体を出す。
「運んであげて」
タコ型のロボットは足の吸盤を俺に付け上に持ち上げ運ぶ。
もっと力が欲しい。
枢機卿の頭が地に落ち体はゾンビのような腐った肉体にへと変色していく。
俺達は顔を見合せホッと安堵する。
そして、生き残った嬉しさで興奮状態になる。
「いえーい、勝った、勝った。チート野郎に勝った」
「ドロップ品もねぇクソ強ボスなんてクソ喰らえ」
「いや、ドロップ品は1個あるから、めちゃくちゃレアな」
そういえばそうだったなとウッキウキな俺達は枢機卿の体に集まると体からゾンビ能力因子が出てくる。
「そして、ウチの子にはまだ能力因子を食べてない子が1匹」
「そいつを使えば俺達、これからチート無双ができるのか。やったぜ」
「じゃあ早速」
「いやちょい待って」
俺は雫の体をグルグルと周りながら見る。
星奏も俺に続いて雫を見る。
「「やっぱり耳4個あるな」」
「ケモ耳系VTuberに言うことみたいなこと言わないでよ」
「VTuber?」
「雫。竜のネット知識はおじいちゃんレベルなんだからVTuberなんて分からないだろ」
「そうだった、めんご」
雫は俺に謝ると自分の体が気になったのか自分でも見ている。
「コスト高そうな見た目」
「ゴテゴテのVTuberを見た時の感想みたいなこと言うわないでくれ」
耳4個ある事に突っ込んだけど翼が背中から生えてるし翼は腕の相同器官であることを考えたら、実質雫は今、腕4本生えてるってことだよな?
両面宿儺みたいなことになってんな。
「顔ももう1個増やせるか?」
「今は無理かも? 正直なんでこうなってるのか私でも分かんないんだよね。暫くはこれで遊んでみないと」
「そっかぁ、残念」
「いやその前に顔もう1個増やせるか? とか中々に気色悪い質問するなよ」
だって気になったんだもの。
仕方ないじゃん。
「とりあえず、解除していい? この状態正直キツイから」
「あ、ごめんごめん」
雫が能力を解除すると動物達の影がドンドンと雫から出ていく。
そしてチニだけは残りその他のやつらはどこかへ行ってしまった。
そして雫は上半身がはだけた状態で立つ。
「……寒い」
「その前に言うことあんだろ」
「え? あー、イヤーンリュウノエッチー」
クソ棒読みじゃねぇか。
「別に胸ぐらいを竜に見られた所でなんもときめかないしいいよ」
「サラッと酷いこと言ったなこいつ」
「でも、雫いいのか?」
「ん?」
星奏の言葉に雫は振り向く。
「こいつ、貧乳好きだぞ?」
「あぁ、そうだったぺな」
ぺな?
「……口調が変になってますね。俺様一体どうなってんだ?」
なんか口調が変に。
「あぁ、サンとかブラウニーがしてるような口調だべな。もしかしてさっきまで精神がおかしくなってたのも合体中は精神がごちゃ混ぜになるからとかなのだぺぜ?」
とりあえず、雫には一旦休憩取らせるか。
俺はそこらの家から服を取ってこよう。
とりあえず、一旦休憩させ服も着てもらった。
「ふぅ、なんとか落ち着いたかな?」
「いつも口調だし大丈夫」
「あぁ、さっきまでやけに好戦的になってたのも能力が原因だなんてね」
後、攻撃を受ける度にヨダレ垂らしてたのも能力のせいだもんな。
あんな顔真っ赤にして鼻息荒くなってたのも能力のせいだしな。
「そういえば気になってたけど合体なんて能力なかったよな? ガチで覚醒した感じ?」
「多分ね。これで私がこの中で最強になったわけだ」
雫を戦力として数えれる日が来るなんてお涙ボロボロレベルだ。
「いいなぁ、私も土壇場で覚醒してみたい」
「ってか土壇場で覚醒なんて主人公っぽいことしちゃったなぁ。ごめんね、自称主人公の竜」
「うるせぇ。主人公が真っ先に覚醒するなんて古い漫画だけだ」
俺は強がりつつも羨ましいと思っている。
だって、あんないい感じの形態変化に対等に渡り合えてるなんてかっこいいじゃん。
それに最後の技なんて覚醒直後のつよつよ技みたいな感じでもう……
「ってあの魔法大丈夫だったか? お前が撃てっていたったから撃ったけど」
「大丈夫大丈夫、この通りピンピン」
「なら良かった」
俺は安堵しそっと胸を撫で下ろす。
今回は雫の覚醒あっての討伐だった。
覚醒してなかったらそのまま俺達は死んでたろうし最後に悪あがきで入れ替わられた時も雫が1歩遅れてれば俺は死んでた。
「本当にありがとな雫」
「へへ、どういたまして。今日の晩御飯奢ってくれたら貸しはチャラにしたげる」
「取るとこ取るなぁ。ま、しゃーない。星奏、2割でいいから出してくれないか?」
「普通に半分出してやる。今回雫はMVPだからな。好きなだけ飲み食いしろ」
「なんか改まって私がやったって言われると恥ずかしいね」
雫は照れ臭そうに鼻の下をこする。
「これで、借りはチャラになったし今まで助けてあげた貸しで威張るか」
「あ、ずるい。だったら今日の貸しでその借りチャラにしてよ」
「残念。取引は成立してるからな。あーひゃっひゃっ」
「雫、まだ私の勝ちだ」
「星奏までー。これからでその借りを返済してやる」
「利子つけとこ」
「借りに利子ってどうやってつけるの?」
俺達はいつもの調子に戻り家に帰ろうとする。
すると、ピューとなくワシが1匹いた。
あ、チニのこと完全に忘れてた。
雫は焦ってすぐに近づきゾンビ能力因子を渡す。
ワシはじぃーっと雫を見つめていたがパクパクと能力因子を食べ始める。
「えぇっと能力は…」
「魂入れ替えだろ。最強格のペット手に入れたしさっさとかえろうぜ」
雫は下を向きながらボソボソと喋る。
「ん? なんて?」
「じゃ…て…んを見る……」
「え、なんて?」
「弱点を見る能力だってさ。この子が獲得したの」
「「え」」
俺達はその後、声を出さずに帰った。
ふぅ、食べた、食べた。もうおねむだわ。
俺は自分のベットに寝っ転がる。
よくよく考えれば久しぶりの自分の体だな。
町の人たちも急に戻ったことに困惑してたしな。
星奏の体も良かったけどやっぱり自分の体が1番だ。
故郷に帰った時ってこんな感じなんだろうな。
故郷……か。
大阪には本当に結界が張られてて入れそうになかった。
でも、あいつらのボスの教祖があの結界を貼ってる能力者だよな。
だったら、あいつを殺せば大阪に入れるのか。
まぁ、俺以外の誰かがそのうち倒すだろ。
俺が帰郷するのはそんときぐらいでいいや。
母さんの墓参りも行きたいしな。
もう何年も行ってないし。
康宗との思い出の場所も周りたいな。
俺はあいつとの思い出を思い出そうとすると段々と眠気が覚めてくる。
気持ちよく寝たかったのになぁ。康宗に文句言っとこ。
俺は本でも読もうかと思いリビングに出るとダラダラしてながらお菓子を食べてる雫と雫に乗ってもらいながら筋トレをしている星奏がいた。
「なんか、筋肉痛が凄いことにやっと気付いてむしゃくしゃしたからやけ食いしてる」
「竜が私の体で筋トレサボったせいで筋肉がしぼんだから取り返してる」
雫にはさっきあんなに食ったんだから太るぞと言いたいがグッと我慢し星奏にはこんな所で筋トレすんなと言いたいのをグッと我慢しフル無視で本棚に向かう。
「あ、竜それ取って。奴隷に転生した俺の人生逆転ってやつ」
「その前に筋肉痛が凄くなってるのに気付くの遅れるってどういうことか聞いても?」
「そりゃあれよ、戦闘中の脳汁ドバドバとか緊張のせいで痛みがなくなってたんだよ」
分からないけど分かった。
俺は適当な本を取り雫に漫画を渡し近くの椅子に座る。
あぁ、この平和な感じ1番いいわぁ。
6章完結
いやぁ、個人的に6章は終わんのおせぇと思ってたけど3ヶ月しかかかってなかった
部活の大会で休んでたからかな
5章とか全然書いてないのに4ヶ月もかかってるという不思議
1章は1ヶ月しかかかってないのに25話も書いてるとか俺天才やな。
はい、退化してますねごめんなさい。
今回はちょっと戦闘シーンが長くなっちゃった気がする
でももう中盤が終わってこれからほぼ終盤なんよ。
もうバチバチにやり合っちゃうんよ。
日常ってジャンルにカテゴリしてんのに日常なくねとか言われたら反論できなくなるからやめて下さい
あと数ヶ月したら受験期に入るからここからの終盤は投稿頻度終わるかもしれないけど元からゴミやから許してください
では、読んでくれてる人達に感謝とお礼を。
読んでくれてありがとう。
次からも頑張るのでよろしく