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[完結]世界の終わり  作者: ワクルス
俺達、私達……
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竜が私の体の中からいなくなり完全に私の体が戻ってくる。

落ち着くけどソワソワしちゃう。

私は竜がいる所を見ると竜が枢機卿のやつにかかえられてそのまま空高くにジャンプする。

そしてそのまま地面に向かって落ちていく。

星奏がまだ竜の体の中にいるのか、元に戻ったのかは分からないけどここで竜を助けられるのは私だけって言うのは分かる。

……絶対に助けないと。



私は小さい頃から両親とまともに会話をしたことがなかった。

両親は海外勤務で家には私1人。

たまにおばあちゃんが来てくれたけど歳だからか来れなくなっていった。

家の掃除、自分の料理、服の洗濯、毎月親から渡される生活費の管理。

これら全部を私は7歳からほぼ毎日やっていた。

親とまともに話したことがない子が順調に育つ訳もなく私はただ孤独に育っていった。

人に話しかけれず、話しかけられたとしても上手く言葉が出なかった。

私は寂しさや孤独感を紛らわせるためにテレビを見るようにした。

テレビの中で楽しそうに話したりしてる人達を見ては羨ましくなる。

それでも私は見続けた。

これしか寂しさや孤独感を紛らわせれないから。

私という人間はいつか孤独に死ぬんだろうなと小さいながらもそう考えていた。

でも、ある時たまたま深夜に起きて眠くなかったからなんとなくでテレビをつけた。

今思えばベタな内容のアニメの一挙放送がされていた。

ひとりぼっちの主人公が100人の友達を作るために日々奮闘するという内容の深夜アニメだった。

友達になるためならとシャー芯を舐めたり、黒板を舐めたり、トイレの便器を舐めたりするような主人公だった。

控えめに言ってきしょい主人公だった。

でも、私にはかっこよく見えた。

キョドり不格好な姿をさらけ出しながらも人に話しかけるそんな主人公がたまらなくかっこよく見えた。

そんななんでもやってしまうような主人公だからか友達になった人達もよく頼ってしまうみたいだった。

頼られるのっていいなぁと思いつつ見ていたらこんなセリフが出てきた。


「俺はどんなあられもない姿をさらされたってもいいっていう思いで友達を作ってる。どんなにブサイクでも人に笑われたっていいじゃないか、目的を達成出来たらそれで万事オッケーだ」


その言葉が私にはよく刺さった。

私が人と上手く話せないのは親のせいだって思って親の絵を幼稚に書いては目に画鋲を刺してたのはただ逃げてるだけだったんだ。

どんな犠牲を払ってでも目的を達成するという野心が足らなかったんだ。

私は次の日から友達を作ろうと学校に通った。

一年以上も経ったら周りにはもうグループが出来上がっていたがそんなの関係なく話しかけにいった。

最初は「あ!」「わ!」とかぐらいしか言えなかったけど小さい声なら会話が出来るようにはなっていった。

私も友達に頼られるような存在になるんだ。

そう意気込んで更に声をかける人を増やしていった。

関係は浅すぎるが私とっては大きな進歩だった。

私が頼られる存在になろうとしてるのとは裏腹に私が重い荷物を運んでたら持ってくれるような人が多かったのが気に食わなかったけど私は順調にコミュ力を上げていった。

でも、挨拶して軽くお話をするような関係しか築けず友達作りとか無理なのかなと思っていたら教室でも特別大きな女の子が1人席に座って本を読んでいた。

私はその子の第一印象が怖くて近寄り難かったけど野心を灯して近づく。

するとその子が読んでいる本のタイトルがチラッと見える。

そこには私に大事なことを気づかせてくれたひとりぼっちの主人公のアニメのタイトルが書かれていた。

私はすぐに声をかけた。


「この本のアニメ見たよ」


その子はびっくりした様な顔をしたけどすぐに表情を元に戻した。

名前は藤原誠華と言うらしいその子とはどんどんと親睦を深めていった。

彼女は家の方針で習い事が多く休みの日とかは一緒に遊べないのだが学校の中で楽しく話をした。

本当に楽しかった。

そうしてるうちにこれまでの孤独感がいつの間にか消えていた。

誠華が習い事で大会とかあったら迷わずに行った。

誠華が頑張ってる様子を見れるのが嬉しかった。

普段学校では見せないから。

勉強もできて運動もできる誠華に私みたいに大人になりたいって言われた時は驚いたな。

私は誠華が思ってるよりも子供なのに。

でも頼られることは嬉しかった。

それから私はずっと誠華に頼られることばっかを考えて生きてきた。

それはゾンビが出てきた時からも変わらなかった。

私は運動が苦手なのにゾンビを倒す度に余裕な態度を取り星奏に強がってた。

そのせいで私達は1回死にかけた。

星奏が私達なら大丈夫だと思っていつもより町から離れてゾンビを狩っていた。

量が多く耐えるので精一杯でもうダメだと思った。

その時に竜が出て来た。

あの頃はまだ町が安定してなく犯罪が横行しまくっていて男の人イコール襲われるという認識だったからか絶望だったけど竜はそんな私達に呆れながらも助けてくれた。

まぁ、実際はそこまで役に立ってなかったけど。

精神的には楽になれた。

だからこそなんとかあの状況を打開できた。

そこからは私が頼れる人を見せつけるためにしたことが帰って竜のマイナスイメージに繋がったのはいい思い出だね。

そこで竜と協力していくうちに気付いたんだ。

友達っていうのは頼り頼られの関係な事に。

竜は後ろで戦ってる時が1番力になっていて、星奏は前で戦ってる時が1番力になっていたから。

だから私は1番力になれる事で竜達を支えようと思って朝昼晩ご飯を作ったりしたけど戦闘では全く役に立たなかった。

竜よりも後ろでサポートすることに徹する事しか役に立てなかった。

サポートするといってもサポートするものなんてなくただ応援するだけだった。

そんなので本当にいいのかな。

あの主人公なら無駄だと思う事でも全部試すよね?

それだったらこの状況で2人の役に立てること、それは。


「絶対に助けないと」



私はただ走った。竜の所まで走った。

痛みが飛んだとはいえ体が壊れているのが手に取るように分かる。

でも、だからなんだって言うんだ。

私は竜を助けないといけないんだ。

いつも助けられてるから助けないとダメなんだ。

頼り頼られるそんな関係を壊さないためにも絶対に!

私はただ竜を助けることだけを考えて走った。

すると、頭の中に文字が浮かび上がってくる。


――眷属と合体する程度の能力――


新しい能力なのかな?

まぁ、そんな事今考えることじゃないね。

今この状況で私ができることは正直いってない。

せいぜい、魔法で一時しのぎをする程度だ。

星奏が元の体に戻ってたとしてサイコキネシスであんな枢機卿と密着してる竜を助けれるとは到底思えない。

それならこの能力に1発賭けるしかない。


「能力発動!眷属と合体する程度の能力!」


そう言うと周りが光り始める。

そして無鍬達やサン達、ブラウニー達、それにクロっぽい影が現れて私の中に入ってくる。

すると、私の体の中で何かが変化して体の至る所がムズムズする。

それに頭の中では眷属の子達の能力の名前が沢山流れてくる。

すると、背中には大きな翼が生え服がビリビリに破け、足はライオンと同じような太い足になりズボンがダメージジーンズっぽくなる。腕はクマと同じになっておしりにはクロの尻尾が生え、頭にはクマの耳が生えてきた。

私はさっきまで走っていた勢いを利用し翼を大きくはためかせ空を飛ぶ。

そして竜に近づく。


「11歳、康宗と公園で炎色反応で遊んでいたら近所のおっさんに見つかり馬鹿みたいに怒られる。12歳――」

「……どうやったのですか!?」


枢機卿にはバレちゃったか。

まぁいいか。

今ならなんでも出来る気がする。

私は身体能力強化を使い無理やり竜を抱えてる腕を引き離す。

そして竜が落ちると私はすぐに竜を掴み綺麗に着地する。


「16歳、本屋で立ち読みしながら次何買うかを考えまくる17――」

「竜、もう助かったから走馬灯見ないでよ!」

「……あれ? 俺助かったのか? 雫がやったのか……」


竜は私をじっと見つめる。


「なんかケモ耳っ子になって――」

「うぐぅぅ……」


感情が昂ってき唸り始める。

感情の昂りが段々と我慢できなくり大きく口を開け叫ぶ。


「がおぉぉぉぉ!」

挿絵(By みてみん)

挿絵入れてみたんすけどどうっすかね

絵師は僕っす

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