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[完結]世界の終わり  作者: ワクルス
俺達、私達……
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訓練動物

俺達は動物達を連れて町の外に出る。

先日、能力因子をチニ以外のやつらが食べ能力持ちになったのだ。


「クロが気配察知、イリが物に命を与える能力、ドムが痛みを快楽に変える能力」


ドMな能力だな。

ドム可哀想。


「ソレイが思考速度上昇、ゾナが傷口を防いでそれ以上の悪化を防ぐ能力」


ゾナはあると便利って感じか。

ソレイはそれ必要か?

動物達は基本本能で動くことが多い。

思考速度を上げたところで意味がある気がしない。

まぁ、きっとないよりはマシだろ。


「ところで、さっきからチニが拗ねてるんだがなんかあったのか? いや、その……あぁ、でもな……」


星奏が動物達と何やら大切な話をしているみたいだ。


「雫、どうだ? 傍から見れば動物達に話しかけるかわいそうな子にしか見えないだろ」

「星奏、友達いない人みたい」


雫がケタケタと笑う。

いや、お前も似たようなもんだぞ。

俺は言いかけた言葉をグッと抑え込む。


「とりあえず、ゾンビ探してそいつら相手に戦ってもらうって感じでいいよな?」

「そだね。それか星奏がパケモントレーナーみたいに後ろから指示するとかでも」

「赤い帽子持ってくるの忘れたし前者で」


衣装ないとなりきれないのが理由ですってこだわりが強い俳優かよ。

俺達はゾンビがいる場所を探しつつの人気(ひとけ)ない都会だった町を歩く。


「ガラスが割れてる建物もチラホラ出てきたな」

「まぁ戦いが激しくなってきたんだろうな。まぁ多分割ってるの私達なんだろうが」


俺達っていうより枢機卿達だな。

俺達は巻き込まれてるだけだ。


「アレとか見てみろよ、ガラスとかビルのコンクリートとかが溶けた後って感じだ。どんだけ強い火力の魔法使ったんだ」

「コンクリートの融点は1200度ぐらいだし当たったら火傷とかじゃ済まないな」


俺のアトムファイアですらそんな火力出ねぇよ。

せいぜいゾンビに当てたら骨が見える程度だ。

いや、それでも強い方か。

コンクリートとかが溶けたあとを見ながらボケーッと歩いていると星奏がクロの方を見て話し出す。


「えぇっと、信号機を右に曲がるとすぐにゾンビがいるらしい」


流石、気配察知の能力。

これで俺と雫がいつもしてる索敵をしなくて済むのか。

体が入れ替わってからは星奏と雫の担当だけど。

俺は無鍬の方をチラッと見る。

体が入れ替わったのって能力を使われたからだよな?

だったら無鍬に触ってもらえば元に戻れるのでは?

俺はこっそりと近づき無鍬の背中に触れる。

無鍬は驚いたがすぐに立ち上がり背中から地面に落ちようとする。


「馬鹿馬鹿馬鹿。俺死ぬ。死ぬ。お前らの体重は俺達からしたら重たいんだよ」


俺は能力を使おうと思ったが無鍬に能力の使用を止められる。

そして地面に着くギリギリで能力を使えるようになり何とか助かる。

無鍬の能力は常時発動型じゃないからこれは確信犯だ。


「死ぬかと思った」

「急に抱きつくからだよ。馬鹿だね」

「ばーかばーか」


酷いなこいつら。

それより無鍬の能力無効化が入れ替わりに作用しなかった。

ワザとそうしたって可能性も捨てきれないっちゃ捨てきれないが。

作用しなかったのなら触れるのは体ではなく別の場所か能力使用した時に出来た副産物的な何かか。

後者の場合例えば俺のレーザーを誰かに当て傷を負わせる。

そして無鍬がその当たった所に触れても出来た傷を無効化出来ないと言ったところだ。

今回の場合に置き換えると体を入れ替えるのはあくまで使った能力の副産物で入れ替わりが起こったこと自体は能力の影響ではないということだ。

だとしてもそれ以外に体が入れ替わるなんて言うとんでも現象は起きない。

俺がなぜ入れ替わりを無効化できないのかについて考えているとクロが言っていたゾンビの集団に出くわす。

まぁどうせ、能力者を殺すか能力者に無鍬が触れさえすればどうとでもなるんだ。

俺はとりあえず考えることを先延ばしにし目の前の動物達に視線を送る。

動物達は能力を使わず噛み付いたりしてゾンビを倒している。

なんかこいつら手慣れてるな。

ブラウニー達やクロが注意をひきサンや無鍬に攻撃をさせるという事前に作戦を考えたにしては手慣れてる感がにじみでてる。


「こいつらに餌やりって俺達してないよな?」

「まぁそうだね。ライオンとかクマとか大飯ぐらいが多いしこの子達は野生で過ごせるぐらいはできるからね。サン達は動物園組だから心配だったけど大丈夫そうだったし」


こいつら普段の餌がゾンビとかじゃないよな?

流石にあんな不味そうなのは食べないか。

見るからに腐ってるし。


「せっかくだし能力を使って欲しいと言ってるんだがこっちの方が楽と言って聞かないんだ」


星奏がどうすればいいものかと思考をめぐらせている。


「今の飼い主しっかりしろよ。雫さん、願います」

「しょーがないなぁ」


雫は前に出てブラウニー達に向かって口を開く。

こいつらは雫大好きなロリコン動物達だからな、ロリコンは偏見だけど。

雫の言うことはなんでも聞くぞ。


「皆、せっかくだし能力使ってみて」


すると一斉に動物達が鳴き出す。

ちょっとうるさいな。


「えぇっと、了解しました雫様。雫様、、べ、別に俺様は雫様のために見せるわけじゃないんだからな。雫様におらのいいとこ見せるべ。雫様雫様雫様……」


効果絶大だな。

ゾンビ教でいうなら雫はもう教祖の立場に立ってるだろうな。

枢機卿なんて人差し指でポイッだ。


「なんだ、この天皇みたいな信仰度は」

「雫が天皇か。血繋がってすらないし男じゃないから……いや、今は男か」


雫がお願いした途端動物達は能力を使い出す。

サンは道路標識に噛み付いて道路標識を縄みたいに動かしてゾンビに当てる。

ブラウニーは上から小石を落としてそれを大きくして岩みたいにしてゾンビ達にぶつける。

無鍬達は前からずっと能力持ちだったからか安定している。

大鎌や無鍬が前に出て叡犂がちょっとした魔法で援護をするといった陣形でそのまま進む。

イリはコンクリートから大量のゴキブリみたいなのを作り出しゾンビに突撃させてる。

素材がコンクリートでも気持ち悪い。

ドムは敵の攻撃にワザと当たってすぐに飛びさりまた当たりに行く。

気持ちよくなるから本能に任せてとつってるんだろうな。

これは能力が悪い。

チニは俺達の近くにずっといてどこか遠い目をしている。

お前の分の能力因子用意してあげれなくてごめん。

ゾナは傷ついた仲間に近づき傷を塞いでは戻り塞いでは戻る。

いくら死なないとは言え出血多量になれば意識を失う。

そうなったら回復するまでに時間がかかるだろう。

その視点で見ればゾナの能力は案外優秀だな。

ソレイはさっきよりもちょっとキレが良くなった気がするというか。

まぁ、動きが良くなった気がする。

気がするだけ。


「結構いいんじゃない?」

「だね。もうちょっとやらして今日は終わりでいいかな。今日は試運転みたいなもんだし」

「明日からは能力使って私がリモートで見とくわ」

「多様な働き方ぁ」

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