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[完結]世界の終わり  作者: ワクルス
俺達、私達……
137/265

オークション会場2

俺達は次の商品が来るのを待つ。


「次も声を出させない戦法使う?」

「バレた時が怖いからな。連続はやめておこう。使うタイミングは私が言う」


司会の人が新しい能力因子を持ってくる。

触れたものを一時的に黄金に変える能力らしい。

よくある最強格の能力じゃん。

これは皆欲しがり最終金額は2000万だった。

まぁ、そりゃそうだろうな。


「欲しいなぁ」


星奏が欲しそうに見てる。

触れたものを黄金にするってかっこいいよな。

続いて出させれた因子は見たことある人に変身できる能力。

これは好きな女の子に変身してあれやこれやして欲を満たすことが出来る最高の能力だ。

欲しいがこれも皆欲しがり値段がどんどん釣り上がる。


「1200万か。モノマネ芸人とかしか使わなさそうなのにな」

「何言ってんだ星奏。あれは最高の能力だ。俺も欲しい」

「私の体で鼻血を出さないでくれ」


お、想像してただけなのにな。

男子高校生な俺には刺激が強すぎるみたいだ。

普通は想像でしか済まないものが現実で実現可能とか想像が捗りすぎる。

俺は星奏にハンカチで鼻血を拭いてもらいながら次を見る。

次の因子は物の重量を操る能力か。

一見弱そうだが使い方によっては強くなるタイプの能力だ。

能力因子は進化して新しい能力が出てくることもあるからそれに期待だな。

一部の人達は番号札を上げて競い合ってる。


「雫、今だ」


星奏が仕込みの人の声を消すこと合図を雫に出すと仕込みの人が番号札を上げたまま何も言わない。

俺達が買うものでもないものにも声を消させれば犯人が俺達だってことは分からんだろ。

そのまま20万程度で落札となった。


「そろそろ正体不明のやつが来て欲しいね」

「安いからな」


どうせ動物達にやる程度のやつだ。

できる限り安く済ませたい。


「続いては正体不明の能力因子です。ですが、これを売った冒険者達が言うには強敵だったらしいです。8万円からスタート」

「10万!」


仕込みのやつが最初に大きな声で番号札を掲げる。


「雫」


星奏の合図に雫はコクっと頷く。

そして星奏は番号札を掲げる。


「10万4000」

「11万!」


別のやつか。

今まで正体不明の能力には誰も番号札を上げてなかったし来るとは思ってなかった。


「11万6000」

「12万」


仕込みとは違って大きい数字を言えるのが強い。

あいつらはギリギリでも値段をあげようとしてくるからな。


「星奏、やる?」

「いや、ここで2人も黙らせるのはまずい。でも、退けないのも確かか……12万5000」


在庫が残り何個か分からない以上目の前にあるやつを積極的に取っていかないとだもんな。


「13――」


俺はサイコキネシスで体の動き事一般客らしきものを止める。

必死に口をモゴモゴさせたり番号札を上げようとしているが上げれない。


「これなら完璧だろ」

「後で絶対に問題になりそうだけどな」

「12万、12万でよろしいでしょうか?」


誰も何も言わずに司会の人はそのまま木槌でコンコンと叩く。

残り1個か。

近いようで遠い気がする。

次の因子は正体不明か。


「10万」


星奏は様子見なのか雫に待てのポーズを取る。

買えなくても一応やったら可能性はあるしな。


「12万」


仕込みの人が話せるようになったのが嬉しいのかいきなり2万もあげる。

早いな。

まぁ、今回は見送りだしな。

誰も何も言わずそのまま落札された。


「では、お時間ですのでこれから15分の休憩となります」


これで一旦は終わり。

残りの後半戦で1個獲得すれば目的は達成されるな。


「なんか疲れた」

「意外と仕込みみたいなやつとの限度額の探り合いがあるからな」

「残り15万。終わったらクエストかゾンビ狩りだな」

「せめて明日にしよ」


動物達に実戦させて俺達を守りやすくさせるか。

動物愛護団体が飛んできそうだがそれが目当てで今金かけてるんだしな。


「とにかく、次も頑張るぞ」

「「おおー」」



後半戦が始まって結構経つが中々正体不明が来ない。

まずいまずいぞ。

残り1個だからと油断していた。

でも、ここで焦ってはダメだ。

星奏は……目が焦ってるが冷静を保ってはいる。

雫は足とかもうプルプルだ。


「雫、落ち着け。大丈夫、くるから」

「竜、これで来なかったら来週また来ないといけないんだよね?」

「まぁ考えてもみろ。あの休憩前のやつが最後のやつとは思わんだろ」

「それはそうだけどさ」


雫は不安症だな。

俺もだけど。

焦りをなくすためかささくれを取ろうとしてる。

一応痛むのは俺の体だからやめてくれないかな。

そういえば町中やつらの体も入れ替わったんだよな。

てことはあの落札されたら奴隷って人の体を売ってるってことか。

中々イカれてんな。

俺の体使ってるの雫でよかった。


「さぁ、続きまして今回最後の正体不明能力因子だ。さぁ、これで取れなかったら来週まで待つことになる。嫌だろ嫌だろ。さぁ、8万からです」


最後のか。


「11万」


仕込みのやついきなりだな。


「11万5000」

「11万9000」


星奏が言い終わると仕込みのやつがすぐさま番号札を掲げる。


「雫、いけ」

「了解」


雫が仕込みの声を消し星奏が12万と言い番号札を掲げる。


「13万」


さっきのやつだな。


「13ま――」

「14万」

「15万」


もう15か。

さっきまで参加してなかったやつも上げてやがる。

……待て。もう15万ってことは。

俺達は買えないじゃないか。

そのまま次々と番号札を掲げるやつが現れる。

ここまで来たら意地でも能力が欲しいのか。

俺達が買えるのは正体不明かあきらかクソ能力だけだ。

使い方を考えたらクソじゃないってのもあるだろうがここにいる大体のやつはそういうのも分かる奴らが大半だ。

あきらかクソ能力を買うほど能力ならなんでもいいんじゃない。


「負けだな」

「帰ろうか」


俺達は席から立ち上がりオークション会場から出る。

そして付けてた仮面を外す。


「まさかの最後だったな」

「まぁ仕方ないさ」

「余ったお金でご飯食べよ」


雫の言う通りヤケ食いでもするか。

俺達はそのまま帰路に着く。


「まだ晩御飯って時間じゃないし帰ってちょっと休もう」

「そだね。ていうかあの奴隷の人、人の体使って何やってんだろうね」

「あ、それ俺も思った」


俺達はあの奴隷女さんのことを話しながら歩いていく。



《教祖様、もうそろそろでしょうか》

《まだみたい。でも、もうすぐだから安心して》


私はビルの屋上から下を見る。

高野竜を倒すためには町の外から出して常吉さんと協力する。

よし、計画はこれで大丈夫。

私は初めてする人殺しに緊張する。

これで緊張しないのはただのサイコパスというか犯罪者予備軍というかまぁ、緊張するのは私がいたって普通の凡人であることが確定するだけのこと。

ただそれだけなんだ。

私が何度もくくった腹をくくり直す。

あ、でもこれだけは大丈夫だ。

痴漢冤罪などの許してはいけない行為を完全に消し去る。

これだけは大丈夫。

正しいことをなすために正しい方法でなければいけないなんて間違ってる。

どんな手を使ってでも自分の思う正しいをなす。

そのためにはどんなこともしなければいけないんだ。


「よし、作戦でも考えますかね」


高野竜達とどのように戦うかもう一度考えようと建物の中に入ろうとするとドカーンと大きな音が鳴る。

すぐに音がした方に行くと同じ枢機卿の確か名古屋辺りを担当してた松本さんがF達と戦っている。

Fか。前に500体程のソンビ達と戦ったが完敗した。

あいつの1人だけの仲間の華蓮という女がとんでもない魔力量で圧倒してくるからなす術もなく倒されたのだ。

FもFで強い。

身体能力強化の能力ではないのに身体能力が高すぎる。

見た目おっさんのくせに。

私が助けに入ろうとすると教祖様から念話が送られてくる。


《近くで谷和原が戦ってると思うけど助けなくて大丈夫。もしもの時は常吉が助けるはずだから》

《そ、それって大丈夫なんですか?》

《大丈夫って信じよう》


私はそのまま行く末を見ると谷和原さんは全力を出し立ち向かったが呆気なく首を切られる。


《助けなんてなかったですけど》

《え?》

《私でもそのまま負けるのが分かるぐらいなのに常吉さんは助けに入らなかったですよ》

《……宮井、僕は高野竜を殺すのに今は参加出来ない。でも頑張ってくれ》


教祖様は怒りに満ちた声で私に激励の言葉を送る。

高野竜捕縛作戦により我々は多数の被害を被った。

そのため捕縛から殺害へと作戦変更したんだった。

私は息を大きく吸い込み大きく息を吐く。


《はい!》

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