生徒指導の時間です
俺達は先生面してる中級ゾンビとその生徒っぽいゾンビに向かって剣を向けている。
なんかあの先生ゾンビにいじめっ子扱いを受けて特別指導を受ける雰囲気なんだよな。
《なぁ、熱出たからって言って逃げれない?》
《後日呼び出されるから無理だな》
《そんなシステムあるの?》
俺達は念話で会話をする。
初めて使ったが便利だけど頭痛くなりそう。
直接頭に言葉が入ってくるから無理やり分からされてる気分。
《ていうか、ゾンビになっても先生名乗るってどれだけ先生魂があるんだ》
《それだけ天職だったんだよ。先生って職業がさ》
そうなんだろうなと思いつつそろそろどう動くかを考えていく。
《私が生徒ゾンビをやるから2人で先生をやってくれ》
《星奏、自分だけ楽しようとしてない?》
《雫はそんなんだから頭悪い扱いされてるんだぞ》
《え、そうなの?》
してないけどね。
《星奏の今の能力は動物を操る能力で命令できる眷属が多数いる》
《まぁ元は私の能力だしそれぐらい分かるよ》
《で、生徒ゾンビは気配察知の能力で多分間違いないだろ?》
《てことはブラウニー達の数の力でゴリ押すって事?》
《そういうこと。な?》
俺が星奏に確認をすると星奏はそういうことだと雫に言う。
雫がえぇっていう顔をする。
もっとかっこいい戦い方にしろって思ってるのか?
勝ちゃいいんだよ勝ちゃ。
《じゃ、星奏頑張れよ。エアーウォール》
先生ゾンビと生徒ゾンビの間に壁を作る。
星奏はすぐに生徒ゾンビを追いかける。
先生ゾンビは助けに行こうとするがエアーウォールのせいで向こう側に行けないことに気付くと血相を変えて飛びかかってくる。
「モンスター教師かよ。そういうのはペアレントだけで十分だ。サイコキネシス」
剣を浮かせて先生ゾンビに向けて飛ばす。
先生はポケットからチョークを取り出し剣に向けてチョークを投げる。
するとチョークはうにょうにょと蛇のように動き剣にかじりつく。
ポケットにチョーク入れるなんて頭おかしいんじゃないの?
チョークの粉でポケットが凄いことになるぞ。
「能力は触った物に命を与える能力ってとこか?」
「なにそのスタンド能力みたいなやつ」
俺が能力について考察してると先生ゾンビは更に2本のチョークを取り出し投げつけてくる。
そして蛇のように動きながら俺達に向かってくる。
避けようと横に移動したらチョークの向きが変わる。
追尾型か。
だとしたら叩き落とすとか斬らないと当たったらかじりつかれそうだ。
やべ、まだチョークに剣をかじられてるままだ。
俺が剣を懐に戻そうとサイコキネシスで頑張っていると雫が俺の前に立つ。
「ソニックブロウ!」
雫はものすごい速さで剣を扱いチョークを切り落とす。
腕にソニックブロウを当ててその勢いで切ったってことか。
中々ヤンチャだな。
俺はチョークの顎の力に打ち勝ち剣を俺の下に戻す。
チョークの顎の力やべーな。
しかも剣にチョークの粉付いてるし、後で星奏に怒られそう。
でも、そん時は俺の相棒の件で怒り返せばいいから大丈夫か。
《竜、私が前に出るからサポートお願い》
《え、いや俺が出るぞ? 星奏の体だし》
最近トレーニングサボってるけどまだまだ力強いし。
《竜は後ろで魔法作ってる方がお似合いだよ。それに竜の体だから無茶しても平気》
《俺の体をそんな無茶に付き合わせないでくれと言いたいがこのままじゃ埒が明かないしな。頼んだ》
雫がコクっと頷くとすぐに剣を持って前に出る。
先生ゾンビはまたチョークを用意して雫に投げつける。
「先生、授業してやるよ。チョークはほとんど炭酸カルシウムだから融点が825度だ。つまり825度以上で熱したら溶けるんだよ。アトムファイア!」
俺は少し多めに魔力を使いいつもより強いめの火の玉を作る。
そして雫に飛んでいるチョーク目掛けて投げ飛ばし全てのチョークを溶かす。
雫の剣が届く位置までに先生に近づく。
「ナンデこんなコトするんデスカ? チカラはタダシイコトにツカエとイッタでしょ」
「だからって体罰はやりすぎだよ!」
雫が剣を構えた瞬間先生はまたポケットからチョークを取り出す。
不味い、魔法が間に合わない。
間に合ったとしても雫も巻き添えを食らう。
どうしようかと思ってると雫はふぅーと息を吐き真面目な顔になる。
「ソニックブロウ!」
雫がそう言うとチョークを下から上に切ってそのまま剣を下に落とし剣の重さで切ろうとしていた。
こいつ、強くなってる?
俺の体だからとか俺の能力だからとかもあるかもしれないがそんな動きができるやつではなかった。
雫はそのまま剣を振り下ろしゾンビの頭を縦に切る。
そして剣を引っこ抜き今度は首を横に切ろうとするが先生ゾンビは指示棒を取り出し指示棒で剣を防がれる。
それそんな強度あんの?
俺は指示棒をサイコキネシスで取ろうとすると俺に向かってチョークを投げ飛ばす。
どんだけ持ってんだよ。
俺は剣を浮かばせチョークに向かって飛ばす。
先生ゾンビは雫との剣の戦いに苦しそうな顔をし後ろに下がる。
「センセイもういいデス。オコリました」
先生はそう言って道路に手を置く。
するとゴゴゴゴという音ともに地面が揺れる。
なんか起きそうな予感。
すると案の定ゴーレムっぽいやつが道路のコンクリートで武装して出てくる。
大きさはそこらのビルより大きい。
「竜、これもしかして合体ロボ案件じゃない?」
「もしかしなくても合体ロボ案件だ。それか3分間だけ戦えるやつらの相手だ」
流石の大きさにどうしようかと戸惑う。
魔力めちゃくちゃ使うからやりたくなかったけど仕方ないか。
「雫、時間を稼いでくれ。爆発魔法を使う。魔力消費を抑えたいからかなり細めに想像する。時間かかるだろうけど頼めるか?」
「モチのロン」
雫は嬉しそうな顔で先生ゾンビやゴーレムに向かって剣を向ける。
《竜!雫!あの合体ロボ案件みたいなやつはなんなんだ!?》
《先生ゾンビがガチギレした》
《星奏は自分のことに集中してて》
俺はビルの屋上に立ち想像し始める。
前は可燃性の土に大量の空気と炎で着火した。
今回も同じ方法でいいか。
空気は窒素78%酸素21%二酸化炭素が……
私は巨大なゴーレムと中級ゾンビに向かって剣を向けてる。
正直勝てる気がしないけど時間を稼げば竜がなんとかしてくれる。
その間どうしよう。
先生ゾンビの注意はひけると思うけどゴーレムの注意をひける自信ないなぁ。
とりあえずダメージ与えればタゲ取れるでしょ。
私はゲーム的な考えで先生ゾンビを無視してソニックブロウで無理やりゴーレムの肩に乗る。
「グランドアーマー」
私は腕に魔法で作ったガントレットを付ける。
これで腕が丈夫になったね。
そしてこのまま。
「ソニックブロウ!」
私はゴーレムの首目掛けてソニックブロウで作った勢いで殴り込む。
そしてこのまま内部破壊!
するとゴーレムは少し怯んだような気がした。
よし、これで私にタゲついたでしょ。
私は地面にゆっくり降りる。
「先生、分からないことがあるんですけどどうやったらあなたを殺せますか?」
「ソノヨウナコトをオシエルツモリはアリマセン」
私は初めて1人で強敵を任されたことに気分が高揚する。
やっと私も戦力になれたんだ。