動物達の日常3
私はブラウニー。
雫様の眷属です。
今日はなにやら用があるみたいなので言われた通りの場所に来ました。
雫様らが暮らしてる町の外で待っているとサンさんがやってくる。
《ブラウニーも来ていたのか》
《ソレイやゾナはどうされたのですか?》
《俺様だけに用があるみたいだ》
《私と同じですね》
私はサンさんの上に乗り雫様を待つ。
《そういえば雫様達入れ替わったみたいだぜ》
《あぁ、なんか言ってましたね。雫様は竜様になられたのでしたっけ?》
《そうだな。そのせいで俺様達の声が雫様に聞こえないんだ。雫様の中には星奏様が入っててここに来いって言ったのも星奏様だな》
私達が話してると雫様達がやってくる。
「お待たせ。待った?」
竜様が雫様っぽい口調ですから入れ替わったのは本当みたいです。
私は雫様の肩に飛び乗る。
「……ブラウニーちょっと痛いかも」
《あ、失礼しました》
最近爪の手入れしてませんでした。
私はまたサンさんに飛び乗る。
「雫、ブラウニーがごめんって」
「別にいいよ」
星奏様が雫様に私達の言葉を教える。
雫様に聞こえないの不便ですね。
「君達にはちょっと食べ欲しいのがあってね」
雫様が竜様のリュックからゴソゴソと何かを取り出す。
取り出したものは2つの腐った肉塊のようなもので腐敗臭が漂う。
私は鼻を翼で覆い臭いを嗅がないようにする。
サンさんは鼻息を多くだし臭いを嗅がないようにしている。
「これはね、能力因子って言うんだけど食べたら無鍬達みたいな能力を使えるんだよ」
なるほど、無鍬さん達に会った頃に苦しめられてたあれですか。
今となってはよき眷属仲間って感じですけどね。
《つまり、それを食べて欲しいということですか?》
「うん、そういうことだ」
《星奏様、あなたに聞いた訳ではありません》
「酷くないか?」
星奏様は私の言葉を雫様に伝える。
「まぁそういうこと。こっちをサンにこっちをブラウニーに食べて欲しいんだけどいいかな?」
雫様は右手に持ってるのをサンさんに。
そして、左手に持ってるものを私に渡そうとする。
《《喜んで》》
私達はすぐにその肉塊を食べる。
最近はゾンビ達を主食としてたので食べれないという味ではないですね。
「食べたら頭に文字が出てくると思うからなにだったか教えてね」
私が食べて少しすると頭の中に文字が浮かび上がってくる。
《物を大きくすることができると出ました》
《俺様は噛んだものの形を思い通りに変えることができるって出ました》
「ブラウニーがものを大きくする、サンが噛んだものを変形させるって感じで予想通りだな」
「そだね」
雫様らはポケットから人参を取り出す。
《私達は肉食なのですが……》
「違う違う。雫、説明頼んだ」
「ブラウニー、これ大きくできる?」
私は雫様に言われた通りに人参に大きくなれと念じる。
だけど何も起きなかった。
《何も起きませんね》
「じゃあ、こっち」
星奏様はそう言って竜様の剣を抜く。
《雫様以外に命令されたく――》
「やれ」
星奏様が無理やり私を動かす。
《下等な人間風情が調子に乗るなよ!》
「ブラウニーって怖いんだ」
私は剣に大きくなれと念じると刀がどんどん大きくなる。
「おお、すごい大きくなってる」
私はさらに剣を大きくする。
「おお、結構大きくなるな」
竜様が感心してると星奏様が力んでいる。
「重い」
私は仕返しとばかりに更に大きくする。
雫様はサンさんに石を噛ませる。
すると石はグニョグニョと形が変わっていき最終的には雫様のフィギュアができる。
サンさん器用ですね。
「あの、ブラウニーさん。ちょっと大きくしすぎじゃないか?」
「ブラウニー、もっとやれ」
私は一応雫様の体なのですぐに大きさを元に戻す。
「雫の体でよかった」
《次はないですよ》
「もう無理やりにはさせないから許してくれ」
星奏様は手を合わせて頭を下げる。
まぁ誠意があるならいいでしょう。
「今日はこれだけだからじゃあね」
《《分かりました》》
雫様達は後ろを振り向きすぐに帰っていく。
《見ろブラウニー、雫様の完全再現フィギュアを》
サンさんは大量に雫様のフィギュアを作っている。
全てポーズが違ったり表情が違ったりとのこだわりですね。
イリ達に渡したら喜びそうです。
《あ、そうだ。ブラウニー、この能力を見せびらかしにいかないか?》
《そうですね。でも普通にやるのは面白くなくないですか?》
《じゃあ、これ使ってイタズラとかしようぜ》
《いいですね。そうしましょう》
私達はイリ達がいる所に向かっていく。
イリ達の所に着くとゾナやソレイはいなくドムもいない。
イリとチニだけである。
イリとチニは町の外のマンションのベランダの柵に掴まっていた。
《3000万年前俺は神々の大戦ラグナロクで武神と呼ばれる戦に長けた神々と素でやりあえてたな》
《ふーん。でも今はゾンビ相手に手こずってるじゃん》
《いや、ラグナロクで無双した俺の力を見た最高神ゼウスが俺の力を封印したのだ》
チニの妄想をイリは眠たそうに聞いていた。
私ならもう寝てるか羽根を整えてます。
《封印解除してやるからゾンビ相手に無双してこいよ》
《そう簡単に封印解除はできない。ゼウスを倒すかゼウスと同じレベルの力がある神に頼むしかない》
《そんなことより腹減ったからゾンビ食おうぜ》
イリは元人間であるゾンビを食べることに抵抗がないようだ。
私達はバレないように作戦を練る。
《じゃあ手筈通りに》
《分かりました》
私はバレないようにイリとチニの上をとる。
少しするとサンさんがコンクリートを噛んで細長し伸ばしていく。
イリとチニはチニの世界観解説のせいでまだ石の棒に気づかないみたいだ。
私は細長い石の棒を大きくしていく。
イリとチニの所に影が出来たからかイリとチニは気付く。
《なにあれ?》
《落ち着け!クソっ神よ!狙うなら俺だけにしろ!》
石の棒がイリ達の所に倒れていく。
どうせ、避けるでしょうから避けたところでドッキリ大成功ですね。
《俺、お前と会えて良かったよ》
《チニ!?》
《じゃあな》
チニは棒に向かって飛んでいく。
マジですか。
そして石の棒に近づいてすぐに避ける。
《お前、裏切り者!》
《すまない。俺はまだ死ねない。俺は神を殺し神殺しの名を得るんだ》
イリは涙目になりながら柵を掴む。
いや、避けてくださいよ。
流石にやばくなってきたので私は石の棒を元の大きさに戻す。
《ドッキリ大成功だ!》
《ドッキリ大成功》
《ドッキリ大成功だな》
サンさんと私は分かるのですがなんでチニまでドッキリ大成功と言ったのでしょう。
《俺もグルだったんだごめんなイリ》
《……お前1番嫌われてるのにブラウニーにこのドッキリに誘われる訳ないだろ》
あ…
チニは固まってじっとしている。
イリはあっ言っちまったみたいな顔をしてる。
《あの……チニ、嫌ってるって言ってもあくまであなたの性格の一部分だけですから。その……元気出せよ》
《出せるか!》
チニは涙をこぼしながら飛び去っていく。
後で謝っとこ。
《そういえば俺様達雫様から能力貰ったんだぜ凄いだろ》
《今はそんな時じゃないですよ》
《……なんかごめん》