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[完結]世界の終わり  作者: ワクルス
俺達、私達……
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入れ替わってた

俺達はリビングのテーブルに座って向かい合う。

皆、今までにないほど真剣な顔をしている。

静かな空気を壊すようにそれぞれが口を開く。


「「私達」」「俺達」

「「「入れ替わってるー!?」


俺達はやりたかったことを終え緊張を解く。


「まさか、朝起きたら入れ替わってたなんてね」


雫が俺で。


「人の体って動かしにくいな」


星奏が雫で。

俺が星奏っと。


「なんで急に入れ替わったんだ?」

「どうせ、ゾンビ教の能力者がまた俺達を倒しに来てるんだろ。分かってんだよ。俺は絶対に外に出ないからな。別にこれで困ることないし」


もう怖い目に遭うの嫌だ。

俺がだらけきってると雫がパンツの中を除く。


「竜の股の間についてるやつ邪魔だし切ろうかな」

「すぐに解決するぞ。能力者を殺すぞ」


俺は準備始めると星奏の腕が俺の肩を掴む。

いや? 雫の腕で掴まれて掴まれたのが星奏の肩だから……ややこしいわ。


「まぁ、待て。能力者を探すのに時間かかるしそう簡単に顔を出すとも思えない。ここは様子見でいいだろ」

「早くしないと雫にパイプカットされるんだ。それだけは何とかしないと」


俺は思いっきり星奏の制止を振り切る。

すると星奏はうわっ!と言って地面に倒れる。


「雫の体、力が無さすぎる。筋トレしとかないと」

「勝手にムキムキマッチョマンになってくれるって楽だね」

「体戻らなかったら意味ないけどな」


俺はとりあえず落ち着き立ち上がる。

思ってたけど視界高いな。

慣れるまで時間かかりそう。

股がスースーするのも胸が大きいのも慣れるまで時間かかりそう。

胸とかを見て俺はそっと顎に手を当てる。

……どうしようかな。

王道展開ではここで星奏の胸をもんで星奏が何やってんのよパシッ。

てな感じになる。

でも俺、大きい胸に興味無いんだよな。

小さい方が好きだし、なるなら雫の体が良かったなぁ。

俺が元雫の体の胸を見てため息が出る。


「……その反応普通逆じゃないか?」

「だって、星奏の胸大きいからさ」

「あぁそっか。お前は貧乳派だったな。残念だったな雫の体じゃなくて」

「え? 竜、1回死んで」


雫が殺気のこもった目で見てくる。

怖いからやめてくれ。

大丈夫、お前の体にも興奮しないから。


「とりあえず、朝ごはん作るね」

「雫、冷蔵庫開けてくれないか?」

「はいはい」


雫は台所に向かって冷蔵庫を開ける。

星奏は冷蔵庫に向かって手を向ける。


「あれ?」


星奏は何回も何回も手を向ける。


「サイコキネシス!」


星奏は唱えたが何も起きない。


「あれぇ?」


俺はそっと手を向けて冷蔵庫の中の物を動かすイメージをする。

そして、心の中で唱える。

サイコキネシス。

すると、お茶が入った入れ物が宙に浮いて俺の所にまでやってくる。


「もしかして……え?」


星奏が耳に指を当てて何かと対話してるような素振りをする。


「あ、うん。雫、新聞持ってきたってブラウニーが」

「え?」


雫はベランダの方を見る。

俺をつられてベランダを見る。

ベランダには柵に乗り新聞を咥えたブラウニーの姿があった。

これ、もしかして。


「……雫、透明になるイメージをして透明化って言ってくれ」

「え? 透明化」


そう言うと雫の体が透明になる。

これ能力も入れ替わってるな。

能力は精神にではなく肉体に付くと言った感じか。

まぁそうだよな。能力因子を食って能力を得たんだし。

そりゃ肉体の方に付くに決まってますわ。


「えぇ、なんか新鮮」

「確かに」


新しいゲームをしてるような気分になるよな。

星奏は新聞紙を持ってテーブルに座る。


「町でも入れ替え騒ぎが起きてるみたいだな」

「知らんおっさんの体とかじゃなくてラッキー」

「竜は死にかけのジジイの体にでも入っとけばいいのに」


雫は笑顔で俺に向かって言ってくる。

俺まだ何もしてないのに。

俺はお茶入れからコップにお茶を人数分注ぐ。


「星奏、トイレとかお風呂の時どうした方がいい?」

「? あぁ、気にしないから大丈夫。目隠しとかもさせたりはしないから好きにしろ。あ、でも変な事はするなよ」


変な事か。

まずはリサイクルショップに行って女性用のグッズを……星奏の体ですることを考えたら一気に興奮しない。

自分の体か見ず知らずの可愛い子の体が1番だな、知らんけど。


「竜のこの愚息を見たら切りたくなるかも」

「雫は俺と一緒に風呂入ろっか」

「絵面的に嫌だから辞めてくれないか?」


星奏は俺が注いだお茶を飲む。

絵面的に言えば星奏と俺が一緒に風呂に入ってるだけだ問題ない。


「はい、急ぎだったからいつもより適当だけどごめんね。この体使いにくくってさ」


雫はそう言っておにぎりとだし巻き玉子とソーセージを焼いたものを出す。


「喧嘩売ってるなら買うぞ。この体なら余裕で勝てる気がする」

「別にいいけど私には人質がいるからね」

「生意気言ってさーせんした」


今は雫に逆らわない方が良さそうだ。

力関係がはっきりしてきたな。

雫、俺、星奏の順だ。

星奏が1位から最下位へ急降下しちゃったから今後も頑張って欲しい。


「とりあえず、トイレ、お風呂は別に好きに使って大丈夫。変な事だけはしないようにするってことでいいか?」

「うん、最初からそのつもりだし」

「竜は貧乳派だし別にいいぞ」


許され方が意味不明だがまぁよしとしよう。


「ちなみに雫。思春期男子ってのは男性ホルモンの分泌量が多いせいで性欲が強まるんだ。ていうことはだ。今は前の体のままの精神でもいつかは性欲でやばい事になるぞ。我慢出来るのか?」

「あー」


雫はおにぎりを食べながら目を閉じて悩む。

そして、おにぎりを飲み込み口を開く。


「その時は星奏とあんなことやこんな事をするから大丈夫」

「え?」


雫は星奏に近づいて顎をクイッとする。


「星奏、その体元は私のだから好きに使っても……いいよな」


雫はキザな言動で星奏に語りかける。

その体、一応俺のだから俺の評判下がる。


「や、雫大胆」


星奏は顔を赤く染める。

中身は百合で外側は異性愛か。

なんかいいなそれ。

同人誌でありそう。


「てことで、性欲は大丈夫」

「うん大丈夫ばない」


雫がなんで?と言いたげな顔をする。


「だってそれじゃ雫に童貞捧げたことになるじゃん。嫌なんだけど」

「大丈夫、竜は精神が童貞のままだから卒業した事にはならないよ」


全然大丈夫ばない気がするがいいか。

雫が遅くまで起きてたらこっそり部屋覗いてやろ。

ていうか、精神が童貞ってなんだ。

お前処女の癖に。


「とりあえず、能力で遊ぼっかな。星奏の能力で遊んでみたいと思ってたんだ」

「竜の能力も遊べそうだしやってみよ」

「私は全然遊べない能力だ」


雫のだしな。

外に行ってモフるか動物達と念話位しか出来ないもんな。

俺はソーセージを口の中に入れ飲み込む。


「ご馳走様。なんかいつもよりしょっぱかったけど美味しかったよ」

「この体の力加減になれなくて。前のでは弱い力でもこの体だと強くなってて間違ってめちゃくちゃ塩振っちゃったんだよね」


料理みたいな繊細なやつだと使い慣れない体でやるのは難しいってことか。

知ることが出来なかったことが知れたね。


「雫、この後この体の体力テストするから付き合ってくれ」

「いいよ」

「あ、俺もやりたい。一応把握しときたいかも」

「私は計測係になっとくからお2人でどうぞ」


能力で遊ぶ前に星奏の体にはどれだけのパワーがあるのか確認しておくか。

星奏の体ってどれだけ体力あるんだろ。

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