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[完結]世界の終わり  作者: ワクルス
俺達、私達……
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風邪

俺はベッドに横たわっている。

ベッドの横には星奏と雫の2人が俺の看病をしてくれている。

雫が俺の口に差してた体温計を取る。


「更に体温上がってきてるみたい」


風邪ひいちゃったか。

いつぶりだ?

確か、4、5歳ぐらいの時に1度なったな。

あの時はお母さんが看病してくれてたんだよな。


「風邪ひいたってことは……クエストとか受けられない……感じか?」


俺は力を振り絞って星奏に問う。

星奏は首を縦にふる。


「まぁ、Bランクだし大丈夫だ。気にするな」


そうか、ノルマとかないから。

なら、よかっ……た……

俺は眠りにつく。



竜が眠ったみたいだね。

息が荒いし結構苦しそうだ。


「雫、お粥とか作った方がいいよな?」


私は誠華ちゃんがリビングに向かおうとするのを服を引っ張って一旦阻止する。


「誠華ちゃん、お粥は私が作っとくから町でなんか消化の良さそうなものとか薬とかあるなら買ってきて」

「分かった。お粥は私の分も作っていてくれ」


誠華ちゃんはそう言うとすぐに外に出る。

よし、誠華ちゃんに鍋を消費されないですんだ。

ていうか、お粥食べたいのか。

一応要望通り誠華ちゃんの分も作っておこう。

私は台所に立ち準備を進める。

あんなんになるまで滝行するとかバカだよね。

負けられないって意地張っちゃったんだろうね。

男の子だもんね。

よし、良くなったらこう言って煽ればいいか。

竜のせいで常吉ってやつと戦ってる時は空気みたいだったし水夢ってやつの時は洗脳されて煽られまくったし。

私は後は鍋に蓋をして後は少しの間待つ事となった。

竜の氷枕を交換するか、後は汗拭いておかないと。

私は竜の部屋に行く。


「うぅ、うぅぅぅ」


竜のやつ、うなされてるなぁ。

氷枕を手に取り新しいのと交換する。

冷えピタより冷やせば何回も使える氷枕の方が優秀なんだよね。

でも、竜的には冷えピタがあった方がいいかな。

そんなどうでもいいことを考えてると利用の腕が伸び私の腕を掴む。


「お母さん、1人にしないで」


竜が涙目と上目遣いで私を見つめてくる。

あ、母性本能くすぐられる。


「大丈夫、ママはどこにも行かないよ」


この様子動画撮りたいな。

カメラ充電しとけば良かった。

あるかわかんないけど。


「本当?」

「本当」


なんか竜がちっこいショタみたいに見えてきた。

私、背の高い人の方が好みだけどこれはこれでありかも。

竜のお腹がなる。


「お腹空いた?」

「うん」

「ちょっと待っててね。すぐお粥取ってくるから」


これからはショタキャラも要チェックするようにしとかないと。

じゅるり。

私がお粥を容器に入れてると思ったより早くに誠華ちゃんが帰ってくる。


「おかえり」

「ただいまーってなんでそんなニマニマしてるんだ?」


顔をクイッとすると竜の部屋に向かう。

誠華ちゃんも不思議そうについてくる。

部屋の扉を開けると竜がこちらを向く。


「ママ」


星奏の顔が一気に赤くなってきた。


「雫、頭おかしいと言われることを覚悟で言うぞ。なんか竜が小さい子に見えてきた。母性本能くすぐられるような子に見えるんだ。何を言ってるか分からないと思うが私も何を言ってるか分からない」

「誠華ちゃん、大丈夫。私もだから」


私は竜の傍に行ってお粥を竜に食べさせる。


「美味しい」

「ありがとね」

「やばい、ママとその息子って感じにしか見えなくなってきた。私、夢でも見てるのか?」


誠華ちゃんは頬をつねる。

つねっては見てつねっては見てを永遠と繰り返す。


「ママ、おしっこ」

「分かった。立てる?」

「……立てないかも」


竜の目に涙がこぼれる。


「ごめんなさい」

「大丈夫」


私が慰めてると誠華ちゃんが隣にやってくる。


「私が持つ」


つねりすぎて頬がリンゴみたいに赤くなってる誠華ちゃんが竜をお姫様抱っこする。

そしてそのままトイレ連れていく。

ショタコンな誠華ちゃんに刺さっちゃったかな。

しばらくすると誠華ちゃんは竜をお姫様抱っこして帰ってくる。

竜、完全に目覚めた時どうなるのかな。


「ママー」


竜が私に向かって手を振る。

誠華ちゃんが悔しそうに竜をベッドに寝かせる。


「こいつ、お前のことをママーって言ってめちゃくちゃ懐いてたぞ」

「なんでなのかは知らないけどずっとママ呼びなんだよ」


最初はお母さんだったからママ呼びに矯正したのは秘密にしとこう。


「ママ、絵本読んで」

「はいはい」

「負けた気分がする」


誠華ちゃんがぐったりとその場に座る。

そんな顔をしないでよ。

相手は竜だよ?

可愛い子供見えると言ってもあの竜なんだよ?


「えぇっと。絵本ないからとりあえずこの漫画で」


私は竜のテーブルにあった漫画を手に取る。


「転生したらカンストレベルチートだった件14巻」


私はタイトルを言いペラっとページをめくる。


「く、なんだ。そのチカラはァ! ふっ……カンストの力さ。カンストグランド! ぐがぁぁ だんだんだん」

「面白くないー」


じゃあなんでこんなのを部屋に置いとくんだよ。

私が漫画を机に置き直すと竜は急に咳き込む。


「大丈夫か? 咳ならこの薬が効くぞ」


誠華ちゃんは袋から薬を出して竜に飲ませる。


「うぅ、頭痛い怖いよぉ」


竜が頭を抑えて悶え出す。


「頭痛ならこの」

「誠華ちゃん、薬を適当に使って副作用出たらどうするの?」

「うぅ、すまん」


誠華ちゃんが珍しく慌ててるなぁ。

私はなんかお母さんって気分になって心配だけど冷静になってる。


「ママ、一緒に寝て」


しょうがないなぁ。

私は竜のベッドに入る。

ちょっと狭いな。


「うぅぅ」


竜が私に抱きついて泣いてる。

凄い。背徳感が凄い。


「ママ、僕死んじゃうの?」

「大丈夫よ、風邪程度で死ぬもんですか」

「ついにはママみたいな口調になっちゃったな」


私は竜の頭を撫でる。

可愛い我が子よ、お眠り。

竜は撫でられてると安心したようにスピースピーと眠り出す。


「私、完全に空気になってる気がする」


私は竜が寝てる姿を見て安心したのか眠気が襲ってくる。


「お腹すいたら誠華ちゃんだから外で食べてね」


私はそれだけ言うと眠る。


「私だからってどういう意味だ」



私、どれくらい寝たんだろう。

私は眠りが覚めたのか起き上がる。

あ、竜は起こさないようにしないと。

私がそーっとベッドから出ると竜が起きる。

あ、起こしちゃった。

竜は目を擦ると周りを見渡す。

顔は赤くないし熱は下がったかな。


「あれ? 雫がなんで一緒のベッドに?」

「ママだからかな」

「?…………!?」


竜は慌てて起きるとすぐに私から離れる。


「もう反抗期なの?」

「お前はお母さんじゃないからな!」


竜はそう言うと部屋から出ていく。

しばらくは安静させないとな。

私もリビングに出る。


「あ、竜。もうママと一緒に寝てもらわなくて大丈夫か?」

「大丈夫。もう大丈夫だから」


竜が耳を塞いでクッションに頭を埋める。


「もう反抗期みたいなの」

「あらあら、奥さんも大変ねぇ」

「俺、お前の子供じゃないから。風邪の時で頭がおかしくなってただけだから」


前まであんなに可愛かったのになぁ。

これが反抗期の母親の気持ちなのかな。

全然知る由もなかったから分かんないけど。

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