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[完結]世界の終わり  作者: ワクルス
冒険者と言えば?
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防衛戦

私と竜は有輝がいた所に戻る。

有輝は私達を逃がそうとしたんだろうがそれじゃあ私達の罪悪感が消えそうになかったんでな。

それに作戦ができたんだ。



「図々しいとは思うのですがお願いがあります。有輝さんを助けてください」

「は? 無理だろ。あんな一目でやばいって分かるやつに近づけねぇよ」

「それに有輝は私達を逃がそうとしてるんだよ? それを無下にしろって言うの?」

「助けに行くとしても無策じゃ絶対に無理だしな。考えたところで私達じゃ無理だろうが」


私達は口々に朱希のお願いを断る。

あんなの私達じゃ無理だ。


「有輝さんは生まれた時から筋肉が衰える病気を患ってるんです。あのまま放っておいたら能力の効果時間切れで倒れてしまいます」

「有輝はほぼ死ぬつもりなんだ。そんなの分かるだろ」


有輝の顔が細長く見えたのはその病気が原因か。

顔に筋肉が衰えてたんだな。


「私が魔力水を大量に買ってきます。それで有輝の魔力を一時的に復活させればチャンスはあります」

「その時間を稼げって言うのか?」

「はい。早くて15分程」


私達は助けに行きたいという考えはある。

でも、あいつ相手に15分も耐えられるかを考えたら不可能ではないかと思うようになってしまった。

有輝を吹っ飛ばしたのは魔力ほぼ全部身体強化に使った士郎ぐらいだ。

その時ほど飛んでないとは言えかなりの力を持っていることは確実。

そんなのを15分も止められるか?


「雫、こいつについて行け。サン達の速さならもうちょっと時間を減らせるはずだ」

「竜達は私なしでいけるの?」

「雫……お前はそんなに戦闘に貢献したことはなーいぞ」


雫がかなり驚いた表情をする。

竜、流石にそれはド直球すぎる気がする。

オブラートに包め、オブラートに。


「しょうがない、分かったよ。でも、策はあるんだよね?」

「一応な。星奏、お前――」



竜は意外と私達を見てるのかもしれないな。


「星奏、有輝を」

「分かってる。サイコキネシス」


私は有輝を後ろに持っていき能力無効玉を私達のところに持ってくる。

老人は抵抗する素振りもなく素直に無効玉を離した。

能力無効玉は剣で突き刺し出ていた結界がなくなる。


「じゃ、数分間1人でお相手頑張れ」

「有輝をさっさと逃がせ」


竜は有輝を担いでササッと後ろの方に下がっていく。


「お前が私の足止めか。小娘に舐められるとは老いとは怖いものよの」


相手は私よりも身長が小さい。

体格差的に有利は取ってる。

相手は上級ゾンビだから身体能力強化に気をつけないと。

それに、まだ相手の能力は判明してないから慎重に……

老人が私との距離を一気に詰めてくる。


「まずは魔力を使わないでやる。この優しさで老害認定だけは辞めてくれ」


老人は私に向かって拳を突き出す。


「暴力は老害の一種ですよ。おじいちゃん」


私は拳を受け止める。

そして、更にそこから背負い投げに繋げる。


「おぉ、やるな」

「一応、習ってたからな」


私は腰につけてた付けてた剣を落とす。


「今は女が空手とかを出来る時代だったな。忘れてた」

「昔話はもうしたでしょ。早くお昼ご飯食べましょうね」

「私は認知症は持ってないぞ」

「お前みたいな老人は治療するって言うと治療するなと言ってくるらしいし墓場に連れてってやる」

「骨を埋めてやれば良いんだな」


私は老人が言い終わるとすぐに駆け出す。

相手の懐にはナイフが入ってる、もしかしたら他にも武器を仕込んでるかもしれない。

相手の正面に立たないことが耐え切るために必要な事だ。


「魔力ありの勝負と行こう」


老人は拳を構える。

正面に立てないようなできるかと言えば無理だろうがな。

老人は私が老人の間合いに入ると拳を突き出してくるが私は受け流し腕を掴む。

老人はまた背負い投げかと思ったのか重心をやや下にズラす。

私はそのまま老人の脇に向かって蹴りを入れる。

脇は人間の急所、いくらゾンビでも痛みで怯みぐらいはする。

私は蹴りを入れた足を下ろしその勢いを使って顔に蹴りを入れる。

顔に攻撃を加えるのは空手では反則だったけどこれはルールなんてないただの戦い。

反則とかない。

私は足を下ろして背負い投げをしようとするが悪い予感がしすぐに離れる。


「お前、強いな。優勢な状態でも危機を感じたらすぐに退く判断を出来るやつは強い。指揮官にいて欲しかった」


老人はなんともなかったようにまた拳を構える。

背負い投げをしようとした時、顔面や脇の急所に蹴り入れてるのに重心が変わってなかった。

ずっと背負い投げを対策してたかのようだった。


「確か、藤原誠華だったか?」

「今はまだ藤川星奏だ」

「そうか。兎脚(ときゃく)


老人は一瞬で私との距離を詰める。

私は肩を掴もうとしたがその前に私の背後に回る。


「鉄拳」


老人は私に向かって拳を突き出す。


「サイコキネシス」


私は自分自身を浮かせ老人の拳を避ける。

兎脚はジャストスピード、鉄拳はジャストアタックとほぼ一緒だな。

名前が違うだけか。

私は地面に降りる。


「そう簡単に能力を使ってくれるな。殴り合いはシンプルであればあるほど楽しいのだ」

「こんな殺し合いで楽しみを感じるな」

「殺し合いだから楽しむのだ。そうじゃないと、人は殺せないぞ」


楽しまないと人を殺せないか。


「私はそう思わないけどな」


私がそう答えると老人はふっと笑う。


「知らないだけだ」


私達はまたお互いに近づく。

老人の攻撃を受け流し隙を見ては殴りを入れるが老人はそれを受け流す。

素で避けれなさそうならサイコキネシスで上にあがり避ける。

それを少しの間繰り返す。

そして、隙を見て胸ぐらを掴み腕を掴む。

腕を掴んだら重心を下にしている。

背負い投げを警戒してるな。

胸ぐらを自分の方に引っ張り私の方に来た勢いと私の蹴りの勢いを老人の腹に向ける。

これはみぞおちに――


「鉄壁」

「かった!」


あまりの硬さに声が出てしまう。

これはジャストガードみたいなものか。

老人は蹴った体勢のままで不安定な私を蹴飛ばす。

そして拳を後ろに引き足を前に踏み込む。

その勢いのまま拳を突き出そうとする。


「鉄拳!」

「サイコキネシス」


老人は私が上に上がると思ったのか拳の軌道を上へズラす。

だが、私がサイコキネシスで持つのは私じゃない。

この時を待ってた。

剣が老人の後ろに来るこのタイミング。

私は鞘から出た剣を1つは老人の首に向かって飛ばす。

流石に気づいた老人はかわすがその隙にもう1つの剣を老人の腕に向かって飛ばす。

そして老人は腕に向かって飛んできたのは対応できないまま腕を切られる。


「サイコキネシス」


私はサイコキネシスで加速させた自分の足を老人の腕が切れた方の腹に向かって入れる。


「完全真正面から来ないか。頭を使った戦いは嫌いじゃない」


老人は私の蹴りをそのまま受け止める。

私はすぐに足を離す。


「ライトニング」


私は魔法で放電し老人に感電させる。


「魔法も使うとは。これは完全に真正面でしか戦えなかった有輝より楽しめそうだ」


このまま更にたたみかける。


「サイコキネシス」


私は両方の剣を浮かせる。

2本同時操作は頭が痛くなるな。

これに私の動きも考えないといけないのか。

竜も無茶を言ってくれるな。

老人の腕が生えて来る。


「体が温まって来た」

「これがウォーミングアップってハードすぎないか?」

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