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[完結]世界の終わり  作者: ワクルス
冒険者と言えば?
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ゾンビハザード

俺達はいつも通り部屋でダラダラしている。


「誰か、ティッシュ取って」

「自分で取れー」

「こんな所でするなよ」

「鼻かむだけだわ」


いつも通りの生活を送っていると急に警報が鳴る。


〈緊急!緊急!町の外にゾンビの大群が現れました。冒険者各員は北門前に集合してください〉

「誰が行くかよバーカ」

「ささっと別の町に逃げてやる」


俺と雫は口々にアナウンスに向かって言う。


〈来なかった場合冒険者ライセンスを無効化します〉

「この町を.....守りますか」

「帰ってかなかったら彼に伝えて欲しい。愛していると」


俺達は急いで準備を済ませ扉の前に立つ。

冒険者の資格がなくなったらまた最初のEランクから始めないといけないじゃないか。

ノルマとかめんどくさいんだけど。


「帰ったらみんなでパーティーだ」

「今回は特別に10パーセントの力で戦ってあげる」

「なんでお前らは死亡フラグを建てたがるんだ」

「おいおい星奏、お前そんなことも知らねぇのかよ。ママのお腹の中からやり直しな」

「なんで洋画ドラマによくある言い回しなんだ。さっさといくぞ」

「「はーい」」


俺達はそこまで気が乗らない中言われた集合場所に向かう。



〈皆さん、現在ゾンビはおよそ1万の大群でこちらに来ています。あと数十分で到達してしまうでしょう。できる限り門よりも先の方で戦うことを意識してください〉


とりあえず、町の外で適当に戦うか。

俺達は門の外に出る。


「うわ、本当にうじゃうじゃいる」


ブラウニーとかその辺の眷属と視覚共有でもしてるのであろう雫が言う。

分断して10体だけ倒して後は頑張ってるフリだけしとくか。


「なんでいきなりこんなに来るんだ」

「また枢機卿絡みとかだったら嫌だな」

「そうなったら狙われてるのは竜だけだし竜を捨てよう」

「酷ない?」


俺達は門の前で待機していると俺の目でもいることが確認できる距離にゾンビ達がいる。


「うわ、本当にめちゃくちゃいるじゃん」

「竜さん!」


有輝が慌てながら俺達の傍に来る。


「竜さん、僕も一緒にいていいっすか?」

「いや、お前は前線に出ないとダメだろ」

「そうそう。有輝が前に出ればすぐ終わって私達が楽できるんだから」

「それに助かる人もそっちのが多いだろ」


俺達は有輝に前線に出ることを促す。


「嫌な予感がするだけっす」


俺は有輝が俺達の傍にいたがる理由がよく分からない。

まぁいいや。


「そういえば、朱希さんは?」

「なんか用があるって言ってたっす」


マンガとかだったらその用は裏切る伏線的な感じなんだよな。

まぁ、そんなことないか。


「有輝が傍にいるなら安心だな」

「よし、お前達いくぞ」


俺達は星奏が剣を抜くと揃って剣を抜く。

今のすっごくかっこいい。

ゾンビが結構近くまで来たな。

他の冒険者達もゾンビ達に向かっていく。


「この大通りから離れないようにしてくださいっす」

「分かった」


有輝の言葉に頷く。



俺達はそこそこのゾンビを倒し他の冒険者の援護をちょこちょこしながら後ろに下がる。

ゾンビを持って帰らなくていいって楽だな。


「これで一安心っすね」


まだまだゾンビがいるんだけどな。

俺達の安全が最優先だなんて有輝は優しいな。


「じゃ、ここでダラダラと――」

「けて…」


俺がサボろうとしていると女の子の声が聞こえてくる。


「この声……朱希さん!?」


有輝が声のする方を見ると朱希さんがかなり老けた90は確実に超えてるおじいさんに頭を掴まれていた。


「助けて…」

「久しぶりだな」


有輝、こいつと知り合いなのか?

なんかやばそうだし俺達は関係ないと見て逃げたいところだが有輝が危険になるだろうしやめておこう。


「竜さん、逃げてくださいっす」

「でも有輝、お前が」

「いいから逃げてくださいっす。こいつはあなた達を狙ってんすよ」


俺達関係してたんだ。

じゃあ、枢機卿絡みか?

でも、赤色の服来てないしな。


「有輝がそこまで言う――」

「サイコキネシス」


星奏、俺がまだセリフを言ってる途中でしょ。

でも、これで動きは止めれるし能力や魔法に気をつけて近づいていけば。

俺がそう思ってると星奏が震え始める。


「効いてない」


星奏のサイコキネシス効いてないということは。


「あいつはゾンビだ」


おじいさんは気づかれちゃったみたいな様子だ。

おじいさんはポケットに手を突っ込む。


「確か、有輝の弱点はこれだな?」

「はい……そうです」


ガチで裏切ってたんだ。

おじいさんはトゲトゲした小さな水晶玉を取り出す。


「有輝、お前の力を封印する」

「ジャストアタック」


有輝は何かされると思ったからかすぐに殴りに行く。

しかし、おじいさんはビクともせず有輝を吹き飛ばす。

おじいさんは有輝の所に一瞬でやって来て水晶玉を有輝の体に埋め込む。

朱希さんはおじいさんが手を離したせいで地面に倒れる。


「ぐふ」


有輝の力を封印ってことな能力無効玉か?

それだったらわざわざ埋め込む必要がない。


「その水晶はな、魔力を徐々に奪っていくんだ。更に体に入った瞬間に体の至る所に小さくなって散る。取り出しはできないと言っていい」


そうか、能力無効玉は魔力を込めないと発動しない。

魔力を奪うっての言うのは俺が刑務所にいた時の魔力剥奪器と同じ効果か。


「全身強化、効果時間10分」

「奪われる前に魔力を全部使うとは考えたな」


有輝はいつ間にか朱希さんを抱えて俺達の近くに立つ。


「朱希さんを頼みます」


ここは有輝じゃないと対応できない世界だ。

俺達は潔く退くか。


「分かった。死ぬなよ」

「もちろんっす」

「召喚、サン」


俺達は朱希さんをサンの上に乗せて門に向かって走る。


「前にあいつに脅されて、仕方なく……」

「んな事はどうでもいい。正直、声も聞きたくない」

「でも、有輝に頼まれたからな。仕方なくだ」

「有輝に言われなかったら見捨ててたよ」


俺達は有輝を見捨てたという罪悪感を朱希さんにぶつけることで正気を保とうとする。

分かってる、これはただのイジメとなんら変わりがないことを。

でも、こうしないと罪悪感で潰れそうだ。


「図々しいとは思うのですがお願いがあります……」



竜さんは逃がせたっすかね。

僕の魔力量は水筒に入ってるのと魔力測定器の魔力の減り方を見る5分間全力で戦える程度っすね。


「かかってこい。あいつらと関わったことを後悔させてやる」

「あの人達と関わったことを後悔するなんてある訳ないっすよ」


絶対に。

絶対に!

僕は持ってた水筒の中身を全て自分の頭にぶっかけ水筒を捨てる。


「準備万端と言ったところか」

「時間ぐらいは稼いでやるっす」

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