サバゲー2
書き忘れてたサバゲーのルールあったわ
味方の弾でも当たればアウト
俺達は二手に分かれて行動する。
2人は有輝と真正面で撃ち合い俺は有輝の裏を取り不意打ちで倒す。
「あれ? トリガーが引けない? うわっ!…ヒット」
星奏が相手のトリガーを引けなくし雫がその隙に撃つというパターンが完全に決まった。
撃たれた人はヒットコールと共に場外へと手を挙げながら出ていく。
有輝は多分もう来るな。
今ので2人の居場所を特定しただろうし。
俺は隠れながら有輝を探す。
能力を使って探してもいいが魔力が500しか使えないというルール上簡単には使えない。
俺達が有輝を探していると壁を蹴る音や芝生の上を走る音が聞こえてくる。
「左前の壁から出てくると思うよ」
雫は上にいるクロを通して有輝を見ているのだろう。
俺もバレないようにこっそり移動する。
有輝は壁を蹴り少し高い位置から星奏達に向かって拳銃を構える。
「さよならっす」
「サイコキネシス」
「ん?」
有輝はトリガーが引けないことに気づき一瞬固まる。
「もらった」
雫と星奏はその隙に有輝に向けて銃を撃つ。
これで決まってくれたらいいんだけど。
有輝はジャンプした勢いで目の前の壁を蹴り出てきた場所に戻る。
ですよね。
有輝みたいなボスキャラがそんなんで死ぬはずがない。
有輝が元来た場所に戻ると敵チームのやつらが様々な箇所から星奏達に向かって銃口を向ける。
「これは一旦退散」
「負けちゃう、負けちゃう」
星奏達はすぐに後ろの方へと下がる。
その際撃ってきた球が空中で止まって落ちたところを見るにエアウォールを作っていたのだろう。
俺がここから他の奴らを撃ったら不意打ちを警戒されそうだから辞めておこう。
有輝は2人が後ろに下がるとすぐに追いかける。
「竜さんはどこっすか?」
「もうやられたんじゃない?」
「竜さんのヒットコールはまだ聞いてないんでいるはずなんっすけどね」
「あいつの事だ、ヒットコールをするのが恥ずかしくて有輝の大量殺戮された連中に紛れて出ていったんじゃないか?」
「前までの試合では普通に言ってたんで違うっすね」
ちゃんと見られてるな。
「もしかして、不意打ち狙いっすか?」
「あいつはお前以外のやつを倒しに行ってる。今は隙をうかがってるってところだな」
「星奏さん達は僕の意識を割く役ってことっすね」
有輝は納得した様な顔をするが少し余裕そうだ。
分かってるんだ、俺がお前の不意をつこうとしてることを。
こうなったら仕方ない。
俺は有輝がいる所よりも向こう側に行く。
有輝のチームのやつらは大体有輝がいるからかつまんなそうな顔をしてサボってるやつと警戒しているやつの2タイプがいる。
ここはつまんなそうな顔をしてる奴を先に撃つ。
警戒してる奴を削るよりつまんなそうな顔をしてるやつを倒した方が相手の対応力が弱くなる。
働きアリの法則でなんで働かないアリが出てくるかというと異常事態が起こった際に常に働かないアリがいない巣だと対応できなく全滅してしまうが働かいないアリがいる巣だと働かないアリが異常事態の対応に回るから全滅しない。
そういう考えでいけばつまんなそうな顔してのんびりしてるやつを倒せば異常事態に対応するやつが減るって事だ。
この場合、異常事態ってのは有輝を倒すことな。
俺はつまんなそうな顔をするやつに向かって銃を撃つ。
「あ、外した」
「あの方から弾が飛んできたぞ」
博識な俺かっけえから数人倒してドヤりたかったのにぃ!
俺は急いで逃げる。
有輝が来そうだ。
俺が孤立してるのにあいつが来ない訳が無い。
こうなったら仕方ない。
作戦変更だ。
「擬似テレパシー」
俺は有輝が来るのを待っていると足音がしてくる。
有輝の位置は能力で確認した。
「グランドウォール」
俺は誰も入ってこないように周りを壁で囲む。
魔力も残り200位か。
透明化が4分使えるぐらいってとこだな。
「よぉ、有輝。いるんだろ、壁の中に」
「そうっすね。でも、僕ならこれぐらい簡単に登れるっすよ」
「そんな壁に隠れて喋るなよ」
俺はすぐに壁があるところに行く。
「トルネード!」
俺はそう言って俺の幻影をかなり高い位置に下から上へと出す。
「竜さん、今回も僕の勝ちってことっすね」
「視界剥奪」
俺は小声で言って有輝の視界を真っ暗にする。
有輝はそれでも焦らず俺の幻影に向かって銃を撃つ。
弾は見事に俺の幻影に当たった。
冷静すぎんか?
「もうちょっと慌ててくれないと困っちゃうんですけど」
「無理な相談ってやつっす」
有輝は俺の幻影を撃つとすぐに俺の所に向かう。
目が見えてないのに見えてるように走ってる所からすると聴覚強化でも使ってるな。
この会場、結構壁多いんだよな。
「聴覚剥奪」
俺は有輝が耳を使えない様にする。
でも、有輝は何も動じず見えてる様に走る。
そして、有輝は俺の所にまで来る。
有輝は銃を構える。
「ソニックブロウ」
俺は有輝が撃って来るであろうタイミングで能力を使うも有輝は弾を撃って来なかった。
まずい。
俺は急いで銃を構えるが有輝はもうトリガーをひいており弾が俺に向かって飛んでくる。
「僕が使ってたのは触覚強化っすよ」
なるほど、通りで俺の能力が効かなかった訳だ。
「エアーウォール」
有輝が撃った弾がギリギリの所で止まる。
「他の人達を倒してきたよ、竜」
俺が出した有輝を囲うためのグランドウォールの上に星奏達が立っている。
「多分、今残ってるのは有輝だけ」
「作戦変更したかいがあったな」
ここで有輝を倒して気持ちよくなるとするか。
俺はグランドウォールを解除する。
星奏達はグランドウォールから降りて俺の傍にまで来る。
「何も知らない人が見たらこの光景、有輝が悪役みたいになりそう」
「基本主人公側って数の暴力だからな」
「圧倒的不利状況から勝つのも主人公だから有輝もまだまだチャンスあると思うけどね」
有輝が主人公な可能性の方が高いから負けるかもな。
でも、主人公って1回ぐらいは負けるもんだから。
俺達は有輝に向かって適当に銃を乱射しながら逃げまくる。
「なんだぁ、あの動き。キモすぎんだろ」
星奏達がやってたのを見ていたけど実際やるとキモさがよく伝わってくる。
有輝は俺達が撃った弾を全て避け俺達に着いてくる。
仕掛けるならすぐの方がいいな。
星奏の魔力がもたない。
俺は透明化と分身を同時に発動させる。
分身した方は星奏達と一緒に走らせ本体である俺は壁に張り付いて有輝が過ぎるまで待つ。
今度こそは当たりますように。
有輝が俺の張り付いてる所を過ぎると俺はすぐに銃を構え有輝に向かって撃つ。
が、有輝はその弾も避ける。
有輝が後ろを向く前にもう1発ぶち込んでやる。
俺は有輝に向かってもう1発撃つ。
だが、有輝はその弾も避ける。
そういえば、天郎が有輝の3つ目の能力に野生の勘っていうのがあるって言ってたな。
多分相手の行動を予測するとかそんな能力なんだろうな。
有輝の動きは俺達が銃を撃つ前から弾道が分かってる様だから多分間違いってはいない。
そしてその弾は星奏の方に飛んでいってしまう。
星奏に当たる寸前に星奏は後ろを振り向く。
「っ!」
星奏は魔法で大量の水を地面にばらまいてそのまま弾に当たる。
「ヒット!」
星奏はヒットコールを言い、会場外に出る。
やっちまったなぁ。
でも、なんで星奏は最後に水を出したんだ?
俺の足下にまで水が流れてるな。
有輝がトリガーが引ける様になってることに気づく。
「なるほどな、こう使えってことか。フリーズ」
有輝の足下が凍り有輝の動きが一旦止まる。
でも、お前だったらその状況でもなんなく動けるよな。
だから!
俺は銃を捨てる。
「ソニックブロウ!」
俺は自分自身を吹っ飛ばし有輝にぶつかる。
有輝を体で押さえ込み地面に押し倒す。
そして身動きが出来なくなると雫が近づいてくる。
雫は有輝に向けて銃を構える。
「負けたっす。油断してるつもりはなかったんすけどね」
「残念だったな。俺達は3人でやってんだ。1人相手に負けてばっかりはいられないからな」
「私達の勝ちってことで沢山の人達からすごいすごい貰お――」
雫が銃に撃たれる。
有輝の銃は俺が抑えてるしな。
雫達には全員倒せって言ったし……
俺も銃に撃たれる。
「「ヒット」」
あれぇ?
「朱希さん、ありがとうっす」
「隠れといて正解でしたね」
前に有輝の隣にいた女の子が出てくる。
「雫、お前ら全員倒したんじゃないのかよ」
「人数は知らないから見つけた人達を適当に撃ってただけだよ。隠れてるなんて知らない」
えぇぇ?
「それに有輝以外全員倒せなんて無茶な命令に従ってやったんだから感謝して欲しいぐらい」
「星奏いるし簡単だろと言いたいけど確かに全員倒せは無茶だったな」
「そゆこと」
俺達は会場外へと出る。
「惜しかったな」
「お前らのおかげでやる気出たわ。次も頑張ろうぜ」
他のチームメンバーが俺達に激励の言葉をかける。
本当は賞賛の声が欲しかったんだがまぁいいか。
「次頑張ろうか」
「そだね」
「私の犠牲がまだちょっとだけでも意味があって良かった」
星奏はどこ気にしてんだよ。