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[完結]世界の終わり  作者: ワクルス
冒険者と言えば?
110/265

最強君の日常

竜さんと別れて僕はすぐに来た道を戻った。

確か、この辺に……


「誰か、助けて…」


大量のゾンビに囲まれて必死に持ちこたえてる女の子が1人いた。

さっき見た通りっす。

ここは町からそこまで遠いという訳ではないのになぜこんなにもゾンビがいるんすかね。

それに、仲間が1人もいないなんておかしいっす。

僕は周りを見ると大量の血の跡があったり数本剣が落ちてたりしていた。

仲間が死んじゃったんすね。

これは助けに入った方が良さそうっすね。

僕は僕と女の子の間にいたゾンビの首を素早く切り女の子の前に立つ。


「大丈夫っすか?」

「え? あ、有輝さん。はい、大丈夫です」


女の子は僕を見て安心したのか後ろからゾンビが来てることに気づいてないみたいだ。

僕は後ろから来てるゾンビの首に剣を刺し動きを止める。


「後ろ、気をつけてくださいっす」

「あっす、すいません」


女の子は仲間が死んだ所を見て怖くなったのか足が震えていて動きそうにもない。

できる限り早く倒してあげた方が良さそうっすね。

この程度の数なら魔力はできる限り温存したいんっすけど。


「脚強化」


僕は周りにいるゾンビを一掃する。

さっきの拳銃を持ってるやつらに比べたら楽勝っすね。


「あの、ありがとうございます」

「全然大丈夫っすよ。それより、仲間のこと残念でしたっすね」

「こういうものだと覚悟はしてたんですが実際目の当たりにすると…ダメでした」

「そういうものっすよ。大丈夫っす」


この人も冒険者を辞めるんすかね。

僕が助けてきた人達の中にも沢山いたっす。

仲間が死んでしまって怖くなって辞めた人達。


「私の覚悟は甘かったですね。これからは農家で地道にやっていこうと思います」


慰めた方がいいんすかね?


「あの、図々しいとは思うのですが今晩有輝さんの家で泊めさせて貰えませんか?」

「別に、いいっすけど。どうしたんっすか?」

「私の家にはあの人達との思い出が沢山あるんですよ。いたら、辛くなるかもって思ってしまっただけです」


精神的に助けるのも大事っすからね。

僕は女の子を連れて町の方に向かう。



僕は倒したゾンビ達を売ってそのお金で食材を買い家に帰っていた。


「……有輝さんって自炊するんですね」

「そうしないとお財布が死んじゃうんすよ」

「でも、結構稼いでるって聞きましたけど」

「子供達のための募金にほぼ全部使ってるんすよ」


そのせいで毎日お財布がピンチなんすよね。


「あ、有輝だ」


この声は雫さんすかね?

僕は声がした方を向く。

そこには竜さん達3人がいた。


「……なんで手錠してるんすか?」

「犯罪者予備軍だからだな」

「そのせいで私達まで買い出しに付き合わされるんだから酷いもんだよ」

「そう言うなら外せよ、これ。それに俺はロリコンじゃないって言ってるだろ。タイトルに幼なじみって書いてあるじゃんか」


あぁ、あれがバレたんすね。

僕は顔を真っ赤にする。


「有輝、お前知ってたのか」

「まぁ、取りに行くの手伝ったの僕ですし」

「有輝、弁明してくれ。俺は犯罪者予備軍じゃないよな?」

「竜さんは多分犯罪者予備軍じゃないと思うっす」

「多分ってなんだよ」


竜さん涙目っすね。

僕が竜さんの顔を見ていると星奏さんが女の子の方を見る。


「……有輝、彼女できたのか?」

「え?」


僕が驚いてぼーっとしてる間に他の2人も女の子の方を見る。


「有輝、おめでとう」

「有輝、お前彼女できたんだな。応援するぜ」

「いや、あの違くて――」

「今からどちらに?」


星奏さんが女の子に質問する。


「有輝さんの家です」

「「「おおぉぉぉぉ」」」


なんかすごい勘違いされてる気がするっす。


「有輝、ちゃんとつけろよ」

「何をっすか?」

「有輝、家事とかは分担するんだよ」

「客人に家事を手伝わせられないっすよ」

「有輝は有名人だから浮気とかするとすぐアンチが湧くと思うから浮気すんなよ」

「浮気もなにも付き合ってないんすけど」


この場を収めるにはどうしたらいいんっすかね?

僕が悩んでいると女の子の口が開く。


「ちょっと、精神的に辛いから一緒にいてもらうだけですよ。付き合ってはないです」

「なんだ、付き合ってないのか」

「そうっすよ」


勘違いがなくなって良かったっす。


「じゃあ、邪魔したな。バイバイ」

「バイバイっす」

「バイバイ」

「またなー」


僕達はまた僕の家に向かって進み始める。


「あの、さっきの方々は?」

「僕の友達っすよ」



僕の家に着く。

時間はもうお昼時、ご飯作った方が良さそうっすね。

女の子は僕の家の中を見て回る。


「1人にしては広いですね」

「適当に選んだら無駄に広くなっちゃったっす」


僕は台所に向かう。

空が急に曇り始めてきた。


「そういえば、名前聞いてなかったすね」

「そうでしたね。朱希(あき)です。どうもよろしくお願いします」

「僕は有輝っす」

「知ってます」


僕は料理をし始める。


「そういえば、有輝さんってどこから来たんですか?」

「ずっと東京っすね。」


朱希さんはずっと何かに怯えてるようだ。

町の中に入ったら結構安心すると思ったんすけどね。

やっぱりトラウマってのはそう簡単には消えないもんっすね。


「有輝さんって一人っ子ですか?」

「唐突っすね」

「なんか気になってしまって。長男かなって思ったけどテーブルにイスが3つしかないし。あ、母子家庭とかならすいません」

「いえいえ、大丈夫っすよ。まぁ、一人っ子かどうかは秘密で」


僕は朱希さんの前に料理を盛った皿を置く。

朱希さんはいただきますというと食べ始める。

食べてる時も何かに怯えているようだった。


「何か悩み事があるなら聞くっすよ」

「大丈夫……です」


どしたん話聞こか作戦は失敗っすか。

精神的にも助けた事なんてないっすからどうしたらいいか分かんないっす。


「有輝さんって弱点とかあります?」

「うーん、どうっすかね。頭を使う系はちょっと苦手かもっす」

「なるほど」


もしかして、戦闘系の弱点とかを聞いてたんすかね。

ていうか、ちょっと気まずいっす。

竜さん助けてっす。

竜さんとも2人きりのときちょっとだけ気まずくなったすけど。


「有輝さんってお料理上手ですね」

「そうっすか?ありがとうっす」


朱希さんも気まずかったのか話しかけてくるもすぐに会話が終わる。

会話しないと気まずくて死にそうっす。


「そういえば、有輝さんって髪の毛が地毛のままなんて珍しいですね」

「僕も髪の毛変わったんすよ。でも、すぐに戻っちゃったっす」

「何か特別な事とかしました? 私、できれば髪の毛戻したいんですよね。私の見た目と髪の毛の色が合ってない気がしてて」

「そうっすか? 別に似合ってると思うっすけど」

「ありがとうございます。でも、できれば教えて頂きたいです」


特別なことっすか。

……なんて言えばいいんすかね。


「……まぁ笑えばいいと思うっす」

「有輝さんって意外と意地悪なんですね」


嘘ついてると勘違いされたっす。

髪の色が変わった時っすか。

僕はその時のことを思い出す。


「……何かおかしなことありました?」

「どうしてっすか?」

「ものすごく笑ってるじゃないですか」

「え? あ、そうなんっすね」


まずいっすね。

本当は笑ったらダメなのに……笑ってしまう。


「だから言ったじゃないっすか。笑えばいいって」

「なるほど?」


上手く勘違いが解けて良かったっす。

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