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[完結]世界の終わり  作者: ワクルス
冒険者と言えば?
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帰省

俺達は有輝と共にご飯を食べている。


「雫、それくれ。俺のデザートを半分あげるから」

「半分であげるわけないでしょ。全部寄越しな」

「じゃあそれの半分ちょうだい」

「私のメインディッシュをデザート半分で半分こするわけないでしょ」

「ケチ」

「ケチは竜の方でしょ」


雫はそう言いながら星奏の皿に嫌いな漬物を置く。

星奏はそれを見て雫の皿の方を見る。

雫はその視線に気付くと渋々俺が欲しかったメインディッシュの半分を星奏にあげる。


「俺がそれを食ってやるから俺に寄越せ」

「なんか竜には渡したくない」

「これが信頼の壁というものだ。竜、私の勝ちだ」

「f○ck」

「仲良いんだなぁっていうのが伝わってくる光景っすね」

「ゆうき~、こいつら俺を虐めてくるよ」


俺は有輝に泣きつく。

有輝はそんな俺を見て俺の背中をさすってくる。


「じゃあ、僕のを食べるっすか?」

「うん…」


俺は有輝に有輝のおかずを食べさせてもらう。

有輝は優しいな。

やっぱり金持ってるからか余裕があるんだな。


「有輝、そいつを甘やかしたらとんでもないクソニートになるぞ」

「ていうか、元クソニートだもんね」

「クソまではいってねぇよ」


親の金を勝手に使ってた程度だ。

十数万ぐらいだったか?

いや、もうちょっとあったような気がするな。


「そういえば、有輝。明日も暇?」

「どちらかと言うなら暇っすね」

「じゃあ、ちょっと付き合ってくれよ」

「何するの?」

「なんでお前に言う必要がある。これは有輝にしか頼めない事なんだ」

「そ、そこまで言うなら」


有輝は俺の勢いに答えるように了承する。


「よし、じゃあ明日の朝8時エントランスぐらいで待ち合わせな。今日みたいに武器とか持って来いよ」

「分かったっす」


俺は有輝と明日会う約束を取り付けた。

なぜか、この後食事に戻ったら俺のデザートが無くなっていた。




俺は約束の時間通りに待ち合わせ場所に行く。

有輝はもうすでにおり俺を待っている様子だった。


「おはよう、有輝。じゃあ行こうか」

「どこに行くんっすか?」

「言ってなかったな。俺の家だ」


俺はそう言い有輝の手を掴みすぐに外に出る。


「なんで今さら実家に?」

「実はさ。俺の大切にしていた本があったんだけどリサイクルショップとか町の外の建物の中にある本とか探しても同じやつが見つからなくて。それを持ち帰るためにな」

「じゃあ、なんであの2人は連れてこないんっすか?」


……ちょっと言えないかなぁ。

俺が黙り込んでると有輝は何かを察した様に顔を赤くする。


「竜さんも男っすからね」


あいつらを連れてこなかった理由はその本を読まれたらニヤニヤされるだろうしバカにされるだろうからな。

連れて来れない。


「じゃ、行こっか」

「はいっす」


俺達は町の外へと出る。

ていうか、有輝と長い間2人きりになるのって何気に初なんだよな。

なんか緊張する。

あの2人に会った初日に結構な時間雫と2人きりになったけど、なぜかあいつには緊張しなかったのになぁ。

不思議なものだ。


「竜さんって何か好きな物とかあるっすか?」


有輝がこの空気に耐えきれなくて自己紹介の時にさらっと言いそうな事を聞いてきたよ。

なんかごめんな。


「そうだな……読書、ゲーム、遊び、とかかな」

「どんな遊びが好きなんすか?」

「鬼ごっことか、好きだったなぁ。後は麻雀、掛けポーカー、UNOだな」

「なんかUNOが特殊な存在に見えてきたっす」


特に鬼ごっこはよく康宗とやってたなぁ。

足の速さがほぼ一緒だったから滑り台とかブランコとかをいかに上手く使えるかの勝負だったな。

後、鬼ごっこで思い出すのは幼稚園児の時に良くしてた鬼ごっこで無双する妄想だな。

……良い思い出ダナ。


「鬼ごっこ好きなんすね」

「まぁな。町全体を使った鬼ごっこは面白かっなぁ。ドローンとか使われたっけ」

「そんな本格的なのがあるんっすね」


星奏が何食わぬ顔で使ってきたからな。

俺達は能力しか使ってないのに。


「鬼ごっこ、いいっすよね。後はドッチボールとかも。皆、楽しそうで。僕もやってみたかったっす」

「やった事ないのか? じゃあ、今度あいつら呼んで一緒にやろうぜ。あ、有輝は能力使うの禁止な。強くなりすぎるから」

「ありがとうございますっす。やっぱり、竜さんは優しいっすね」


そういえば、今更すぎる疑問なんだが。

なんで有輝は俺達に敬語を使うんだろ。

俺達の方が年下なのに。


「でも、能力を使わないのは無理っすよ」

「お、なんだ? 素の力じゃ俺達に勝てねぇのか。それなら、最強を鬼ごっこで倒して俺が最強の称号を貰おうかな」


有輝が愛想笑いっぽい笑いで俺を見る。

子供っぽすぎたか?


「ていうか、かなり遠いっすね」

「そうだなぁ。ここから走って数時間ぐらいの所だしな」


親父に手を掴まれながら走ってたらいつの間にかそんなに時間が経ってたな。

やべ、あいつの顔思い出したらムカついてきた。


「僕がおぶって走ればすぐに着くと思うんっすけど」

「そうしよう。早くあの本に会いたい」


思い出しただけで興奮してきた。

内容がいいんだよな。

他にはないって感じがして。

俺は有輝におんぶをしてもらう。

体格差的に俺が無理やり乗ってる感が否めない。

ていうか、なんか有輝の筋肉思ったよりないような気がする。

気のせいか?


「ちょっと、気をつけてくださいっす」

「はーい。ちなみに家はあっちの方向ね」

「了解っす。脚強化」


俺が返事すると有輝が物凄い速さで走り出す。

早すぎて空気抵抗で顔が変な感じになってる。

周りの景色がコロコロと変わなと感じていると有輝が立ち止まる。


「この辺っすか?」

「そうそう、この辺。東京のくせしてすっげぇ田舎なここだ」


俺は見覚えがある景色を頼りに家の場所を探す。

ここに連れてこられた時は本屋を探し出すのが大変だったなぁ。


「あった。ここだ」

「おぉ……歴史的な家っすね」

「普通にボロ屋って言えよ。俺もそう思ってるから」


まぁ、それは外装だけで内装はまぁまぁ綺麗なんだよな。

引っ越す時にリフォームして貰ったのかどうかは知らないけど。

俺は家に入る。

懐かしく感じるけどここが自分の家だという実感はもうない

今はあいつらと住んでる家が俺の家だ。

外装がボロいからとかそういうちゃちな理由ではない。

なんか気持ち的にここが俺の家だとは言えない。

大阪にいた時の家ならまだ言えそうだけど。


「お邪魔するっす。当然っすけど、結構汚いっすね。ほこりまみれで」

「ほこりアレルギーとかだったか? それだったならすまん」

「いえ、別にほこりアレルギーとかではないっすけど。ちょっと昔の自分を思い出すだけっす」


昔の有輝か。

ドッチボールやった事ないとか言ってたしもしかしたら俺と同じ引きこもりなのかもな。

俺は俺の部屋だった場所に向かう。

そこにはベッドと机があって服が数着クローゼットしまっていて本棚があるぐらいだ。

あんまり今と変わらないな。

どこに隠してあったけな。

俺はエロ本を母親に見つからないように隠すっていう設定でよくエロ本を隠していた。

中々センスの良い場所に隠してたと思う。

ベッドの下は安直すぎるから俺は絶対そこには隠してないだろ。

本棚の後ろは本棚をいちいち動かすのがめんどくさくてやってないはずだ。

どこだったけな。


「あ、これっすか?」


有輝が顔を赤くしながらベッドの下から俺が探していたエロ本を取り出す。


「ありがとう、有輝。君のおかげで僕の生活は更なる発展を遂げる」

「ありがとうっす?」


俺はこれを大事に持ちながらさっさと家を出る。

そういえば、町の外から持ってきた物はお金を取られるんだったよな。

……後で有輝に借りるか。


「いやぁ、本当にありがとう。これの事を思い出したら余計に欲しくなってさ」

「よかったっすね」


有輝は顔を赤らめながらこっちを見る。

もしかして有輝、こういうのに耐性ないのかな。

それは申し訳ないことをしたな。

明日辺りに報酬的な感じでお昼ご飯奢るか。

いや、雫に作ってもらうのもいいな。


「竜さん止まって!」


俺がそんな事を考えながら歩いていると有輝が俺を呼び止める。

俺はどうしたんだろうと思い有輝の方を見る。

すると有輝はすぐに俺の後ろに立つ。

銃声がし音がした方を見るとゾンビらしきもの達が10人程度いる。

有輝は銃弾を受け止めどこかに投げる。

何が起きてんの?




〈オマケ〉

こいつらの誕生日過ぎたんで祝ってやってください

挿絵(By みてみん)

挿絵(By みてみん)

挿絵(By みてみん)

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