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[完結]世界の終わり  作者: ワクルス
冒険者と言えば?
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あれ?なんか変わった?

俺達は数週ぶりに家に帰ってきた。

8月ももう終盤で少しだけ涼しくなる。


「久しぶりの我が家だ。ベットが恋しかった」

「もうちょっとあっちにいても良かったかもね」

「もうすぐ8月が終わると言ってもまだまだ暑いしな」


引きこもるなら自宅が1番だ。

元ヒキニートの俺が言うんだから間違いない。

俺は荷物を適当に部屋に投げリビングでくつろぐ。


「俺はもう絶対に働かないぞ。一生家に引きこもる」

「また、ヒキニートになろうとしてるよ。なんとか言ってやってよ」

「もう部屋着に着替えてる雫に言われたくない」


いつの間に着替えたんだ?

さっきまでは普通だったのに。


「今日はなにもしたくない気分だからご飯食べに行こうよ」

「さんせーい」

「お前らはちょっとでも外に出たらどうだ? 太るぞ」


太る.......か。

そういえば最近ちょっと体が重く感じ始めた様な気がする。

お腹辺りもちょっと大きなった気が.......

ま、いっか。

俺には引きこもり協定を結んでる雫がいる。

デブになったってなんともないさ。


「じゃ、竜。私はちょっと星奏と一緒に遊んでくるから」

「へ?」


雫はもう普段着に着替えて星奏と一緒に玄関で靴を履いている。

裏切るの早すぎだろ。


「俺も行くからちょっと待って!」


俺だけデブになったら絶対あいつらにバカにされる。

早く外に行かないと。



俺達は町の外にまで出てブラウニー達と遊んでいる。

遊ぶと言ってもサン達の上に乗ったり棒みたいなのを投げてブラウニー達やクロに取りに行かせたり俺以外は無鍬達をモフったりしている。

なぜか、まだ俺は無鍬達に嫌われてるらしい。

札幌の時はあんなに共闘したのに。

酷いもんですわ。


「サン達。お前らだけだ。俺をこんなにも慕ってくれるのは」


サン達は俺を上に乗せたりしてくれるし、ぺろぺろ舐めてきたりしてくれる。

最高のやつらだ。

雫が近くにいると皆、雫からちょっと距離を取ってジロジロと雫の方を見るから全く俺の相手をしてくれないけど。


「竜はずっとサンの上に乗ってるんだな」

「無鍬達をモフれないからな。どうだった? 無鍬達の感触は」

「いやぁ、あいつら結構毛深くて最高だな。大鎌なんかデカくて暖かいから眠たくなる」

「際ですか。そりゃよかったんでしょうね。俺は全く触らせて貰えませんけども」


ちゃんと雫に無鍬が俺にしてくれた事を言ってやったのに恩を仇で返しやがって。

どんだけ俺の事が嫌いなんだ。

俺はサンのたてがみを触る。

もうこいつのでいいや。


「タカノリュウ ハッケン。ホカクする」


俺がサンのをもふもふしていると多分中級ゾンビが出てくる。

一応剣とか持ってきててよかった。

上級ゾンビ相手に引けを取らなかった俺が相手してやるよ。


「俺は手頃なゾンビ1匹倒してダイエット完了とするとするぜ。どりゃ!」


俺が切りかかろうとすると火の玉が俺めがけて飛んできて俺に直撃する。

火は俺の服を燃料にして燃え上がる。


「あっちゅ!あっちゅ!」

「バカだなぁ。はい、水」


星奏が魔法で水を出してくれたおかげで鎮火した。

この状況になっても雫が何もしてこないなと思って後ろを見ると雫は大鎌に抱かれて眠っていた。

お前は後で羨ま死の刑に処す。


「今のは俺の力の1パーセントにも満たない。今から俺の力の5パーセントを解放してやる」

「お前はわざわざ死亡フラグ建ててからでないと攻撃できないのか」

「喰らえ!サイコロステーキ斬り!」


俺が切りかかるとゾンビは俺を蹴飛ばす。

こいつ、できる!


「ふっやるな。だがこれなら――」

「あ、竜さんじゃないっすか」


俺が決めゼリフを言う前に有輝が中級ゾンビの後ろからやって来て何事も無かったかのように切る。

なんか、イキってた俺がクソダサいじゃん。


「有輝久しぶり。.......なんか顔が細くなったか?」

「え? そんな事はないと思うっすけどね」


なんか有輝の顔が前よりも細長くなってるような気がするんだが.......まぁいっか。


「そういえば有輝、Sランク冒険者になったって聞いたぞ」


そういえばSランクまであるって雫言ってたな。

Aランクまでと思ってた。


「はいそうなんすよ。なんか本当は前々からSランク扱いしてたらしいんっすけど正式な冒険者ランクの方を変えるのを忘れてたって言われて」

「なんか凄いな。じゃあ、今はAランク冒険者って誰もいないのか?」

「いや、Fってやつがいただろ? そいつがAランク冒険者になったらしい。FがAランク上がったと同時に有輝のランクも上がったみたいだ」


それって.......まぁいいや。

あんまり深い所を突くとめんどくさい事になりそうだし。


「Sランクになったって事はあの特典が貰えたんだよな? 有輝」

「特典?」

「お前どこまで無知なんだ? 雫でも知ってるぞ。Sランク冒険者になったやつは好きな町の一部分の領土権を得るんだ」


つまるところ貴族になるって事だな。

別に貴族になる事は別にそこまで嬉しい事じゃないだろ。

強いて言うなら貴族に税金を払う必要がなくなるぐらいだけどその領土の中限定だしな。


「別に何がいいんだそれって顔をしてるな」

「よくお分かりで」

「いいか? 領土権を得るという事は今の貴族達のように町づくり対決をする権利を得られるという事なんだぞ」


いらねぇ。

なんだよ、そのシュミレーションゲームでありそうな対決は。

クソほどいらん。


「もし、その町づくり対決に勝てば独占企業権を得られるんだ」

「.......大体どういうものか察しがついたわ。ヤバイなそれ」

「.......どうやばいんっすか? ていうかなんですかそれ?」


マジかよ。

独占企業権という響きだけでヤバイって分かると思うんだがな。

というか、有輝が知らないって事は他のやつらも知らない事なんじゃないか?


「有輝も知らないのか? まぁいいか。説明すると独占企業っていうのは法律で禁止されてたよな」


一応禁止されてたな。

確か、その独占して売っている物の値段を上げたら俺達消費者は嫌でもその値上げした商品を買わないといけないから消費者にとって圧倒的に不利になるからって理由だったかな。


「ゾンビを全部倒し終わったらもちろん昔の日本みたいに政治家が政治をしたりするようになる。法律だって今みたいなガバガバじゃなくてしっかりとした物になるだろう。その時にはもちろん独占禁止法っていうのも復活する」


有輝もそのヤバさか大体伝わってきたのか少し驚いた表情になる。


「そんな中で独占企業権があったら独占企業になる事ができしかも、国から守られるようになる。例えるなら、ハンバーガーを売ってる企業が独占企業権を持っていたら他のハンバーガーを売ってる店を国が禁止し、独占企業権を持ってる企業だけがハンバーガーを売り続ける事ができるという事だな」

「そんなのやばいじゃないっすか」


なんでそんなやばい権利を渡してでも町づくりをさせようと思うのだろう。

ていうか、その町づくり対決の勝利条件ってのはなんなんだ?

それになんで大企業の社長なんかに町づくりを任せてるんだ?

普通に政治家に任せるとかじゃダメだったのか?

謎が深まるばかりだ。


「皆、おはよう。有輝もいるじゃん。おはよう」


雫はあくびをしながら近付いてくる。

雫は呑気でいいもんだ。

まぁいいか、俺達がそれを気にしたところで何かできる訳じゃないし。

なんとかできるのは有輝だけだし有輝に任せよう。


「ていうか、なんか有輝の顔細長くなってない?」


やっぱりそう思うよな。


「そうっすかね。あ、ちょっと水飲むっす」


有輝はそう言って水筒を取り出し開けて飲む。

飲み終わると水筒を閉め魔力測定機をじーっと見る。


「そうだ、有輝は暇? ちょっと冒険者ランクを上げるの手伝ってくれよ」

「そんなゲームのランク上げるのを手伝ってみたいなノリで言うもんじゃないよ」

「いいっすよ。最近は暇になる事が多くなってきたっすし」


早くBランクになってノルマの縛りから開放されるんだ。

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