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[完結]世界の終わり  作者: ワクルス
暑い季節
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逆転

俺は水夢に切りかかろうとしたが星奏達がやって来てしまい、星奏のサイコキネシスで吹っ飛ばされる。

頭が痛い。

頭から血が出てきてる。

戦闘ものの主人公ならよく頭から血を流してるし同じようなもんか。

こんな事を考えれるなんてまだまだ俺には余裕があるみたいだな。

俺はゆっくり立ち上がる。

星奏のサイコキネシスは視界に捉えらないと発動できないので透明化を起動する。


「ガオー!」


サン達が俺の方向に向かって来たか。

あいつらなら匂いで俺を追跡できるはずだ。

逃げる事に徹しないと。


「ここだね」


俺が逃げるために向かった先にいた雫に足をひっかけられ地面に転げ落ちる。

そして、雫はその隙に俺に乗っかかり全体重を使って俺を抑える。

雫の体重ならギリギリ抜け出せる。

そう思い立ち上がろうとするも星奏も雫と同様に俺に乗っかかり俺を抑える。

流石に星奏の体重は無理だな。

こいつ重いし。

俺は抜けられないと分かり透明化を解除する。

ここで終わりか。

いい感じに抵抗はできたんじゃないかな。

俺一人でボス討伐なんて無理な話だったんだな。

升とか天郎はこいつらがいたからなんとかなっただけだったんだ。


「後1日はそうしとけ。いいな」

「分かりました」

「師匠の言う通りにします」


星奏だけなんかおかしいな。

でも、今となってはどうでもいいな。

どうせ、もう詰みだろ。

ソニックブロウで吹っ飛ばして逃げようにも動物達に囲まれてるし。

水夢がいるし。

俺は2人を絶対に殺せないし。

そういえば、あの動物達の中に無鍬がいないな。

まだどっかを走り回ってんのかな。

あいつがいてくれればな。

もし、これで俺がどっかに連れ去られたらこいつら助けに来てくれるのかな。

それともずっと洗脳されたままなのかな。

洗脳されたままでいられるのは嫌だな。

だって、多分だけど俺の事をすぐ忘れるだろ。

2人が俺を忘れるのだけは絶対に嫌だな。

康宗以来なんだよな、こんなにも仲良くなれたのが。

これからもずっと楽しく過ごしたかっただけなんだよな、この2人と。

それなのにその2人に存在自体を忘れ去られる?

そんなの許せる訳がない。

でも、今はこの状況をどうにもできないんだよな。

今、この状況で俺が出来ることといえば、なんの策もなしに抵抗するか、諦めるかの2択だな。


「水夢、お前は俺の事をどう思う?」

「急にどうした? 気でも狂ったか?」

「まぁいいじゃん、答えろよ」

「そうだな、無駄に知恵があって今この状況になっても諦めきれてないバカって思う」


流石、心を読む系の能力を持ってるだけはあるな。

でも、策を何度考えても水夢の存在が邪魔すぎる。

ここは練習した味方の洗脳効果を弱めるセリフでも吐くか。


「俺との日々を思い出せ!雫!星奏!お前達と俺はどんな苦難も乗り越えてきただろ!暑さで頭がやられそうな日も借金10億も背負った日も突然ヤバいやつに襲われた時もなんとかしてきたじゃないか。俺達の友情はそんな洗脳される夢1つで壊れる程度なのか?」


2人はなんの言葉も返さずただひたすら俺を抑える。

ったく、そんな簡単に操られちゃってさ。

お前らの能力が凄いせいでちょっだけ劣等感を感じた俺がバカみたいじゃん。

ここまで来たらしょうがない、ここは1つ賭け事をしよう。

賭けるものは俺の全てだ。


「無駄な事を考えるのはよせよ。無鍬? が来てくれる事を祈った所で意味ないだろ」

「いや、お前だからこそ分かるはずだ。俺の心を読んでるんだろ? そうやって無意味だって言葉で俺を諦めさせようとしてるみたいだけどな。それは無理だって言っといてやるよ」


この作戦は無鍬が来てくれたらっていう願望のみの作戦だ。

俺はギャンブラーなタイプじゃないが今はこれに賭けるしかない。


「無鍬…お前だけが頼りだ」


俺がそう言った瞬間、ヴォー!っという鳴き声が辺りに響く。

ご都合主義って最高だな。


「やっぱり、俺が主人公みたいだな」


結局、主人公が勝つように出来てるんだわ。

どんな能力でも、どんな状況でも。


「透明化。疑似テレパシー」


俺は俺の声が無鍬にだけ聞こえるようにする。


「お前はそこに突っ立ってる人間と戦って時間を稼いでくれ。後で雫にお前の活躍ぶりを嫌という程聞かせてやるって言えばやる気出るか?」

「ヴォーー!」


反撃開始と行こうじゃありませんか。



俺は今、華蓮さんと一緒に町の外の道路にある車で何を選ぶか考えている。


「早くしてくれません?」

「私の初めてを捧げた人でもこればっかりは譲れないよ」

「変な言い方するのやめてください。俺の俺だけは何があろうとも渡しませんからね。これは辰美専用です」

「……キモ」


すっごいドン引きされてる気がする。

そんなことはどうでもいい。

早く車を決めてもらわないと困るんだ。


「燃費が良い奴にしとかないとすぐに使えなくなるよ。ケチな貴族からは車に全部入れても半分程度にしか満たない程のガソリンしか貰ってないからね」


そういうものなのか。


「これならまぁ、妥協点かな。よし、これで行こう」


華蓮さんが指さした車に燃料を注ぐ。


「そういえば、私免許持ってないんだよね」

「なんで車で行こうって提案したんですか? まぁ、俺が持ってるんで大丈夫ですけど」

「そりゃ頼もしい。ちなみにランク的なって何色?」

「実質ゴールドですね」

「……実質?」


俺は華蓮から事前に貰っていたレスキューハンマーで車の窓を壊しそこから車の中に入る。

車の窓がいとも容易く壊れるのを見て科学ってすげぇと思った。

華蓮さんが言うには強化ガラスの性質上、なんかレスキューハンマーがいいらしい。

もう一方の窓も割り華蓮さんが入ってこれる状態にする。


「早く乗ってください。行きますよ」

「いや、その前に実質って何?」

「そんな事はいいから」


そういえば、車を運転したのって何年前だっけ?

まぁいいか。

免許更新とか行ってないけど今の日本に法律なんてあってないようなもんだし。


「安全運転でお願いね?」

「フルスピードで走るのが俺の人生だった」


華蓮さんが変な機械を使いピピっと音がなるとエンジンがかかる。


「ちょっとトランク開けて」

「はいはい」


俺が言われるがまま、トランクを開けるボタンを押すと華蓮さんはそこにスーツケースを詰め込む。

そういえば北海道まで行くんだもんな、俺も着替えを用意しとけばよかった。

あっちで買うか。

華蓮さんはスーツケースを詰め込み終わったのか窓から助手席に入る。


「ドアの鍵を開けてくれても良かったんじゃない?」

「.......」


俺はアクセルを踏み前に進む。

高速道路までの道を華蓮さんに聞きその通りに進む。


「有料道路も今なら無料だしね」

「しかも他の人がいないから渋滞もない」


車を運転するのが好きな人なら最高って間違いなく言うだろうな。


「そこを右折ね」

「分かりました」


俺が車を右折させるとそこには大量のゾンビの集団が同じ方向に向かって歩いているが見える。

これ、何体ぐらいいるんだろう。


「渋滞だね。まぁいいや、アクセル全開!」

「車で事故を起こすのは相手がゾンビでも俺は出来ませんよ」


車の事故で辰美が死んじゃったんだからな。

車で人をひくなんて俺にはできない。

辰美に会った時になんか言われそうだ。


「しょうがないなぁ。別の道を探すからちょっと待ってて」

「ありがとうござい――」


俺が言いかけた瞬間車に火の玉が大量にぶつけられる。

これ、不味いやつだ。

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