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[完結]世界の終わり  作者: ワクルス
暑い季節
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クラッチ

「ドコイッタ、クソガキ!」


俺は水夢の配下の中級ゾンビから逃げ回る。

奥の部屋にはまだ中級ゾンビがいたらしく合計6人のゾンビに追われている。

透明化を見破れるのは水夢ぐらいなので水夢は後ろから指示を飛ばす。


「オトナシク オナワにツケ!」


俺何か犯罪を犯したか?

お縄につけって犯罪者に対して言うもんだろ。

俺は過去の行いを振り返る。

慈善活動の日々が頭をよぎる。

薬物を流行らせて核を打とうとした貴族をぶっ殺し、詐欺ライブをして皆を楽しませ、泥棒少年を脅迫で更生させる。

……犯罪なんてする余地がないな。


「グランドエッヂ」


ゾンビの1人がそう唱えるとまぁまぁ広めの範囲で地面から棘状の岩が生えてくる。

俺は風魔法で上昇し避けたため大事にはなってないが少し足から血が出る。

流石に体から出た血までを透明化させるのはちょっときついな。


「ミエタ。ヒダマ」


また、ゾンビの1人が火の玉の魔法を俺に向けて放ってきそれが俺に当たる。

あっつあっつ。

これ火傷ってレベルじゃねぇぞ。

今まで魔法をまともに受けた事がなかったからこんなにきつい物だなんて知らなかった。

俺はすぐ様、魔法で水を出し火を消す。

これは一旦隠れないとな。


「フラッシュ!」


俺はゾンビ達の目を眩ませ近くの家に入る。

血がまだ出てるな。

俺は家にあったタオルを血が出ている所に血が出ないよう強めに巻く。

よし、これなら完全に透明化ができるな。

それにしても、あいつらをどうするべきか。

中級ゾンビは基本1体しか出てこなかったから複数体の時どうすればいいかさっぱり分からん。

そういえば、俺の事が見えるのは水夢しかいないんだよな。

水夢は口でゾンビ共に指示をしてたし。

……いいこと思いついた。

俺が立ち上がった瞬間家のドアが壊される音がする。


「オラ! ココにイルコトはワカットンジャ。サッサト デテコンカ! レイジョウ デテンネンゾ」

「多分、隣だと思います」

「イルゾ!」


くそっ、間違って反応してしまった。

まぁいいか。


「聴力剥奪」

「アレ? オトがキコエナイ」

「オーイ、オマエ ナンカ イッテ」

「キコエテンダロ!ナンカイエ!」


なんか仲間内で喧嘩が起きそうな雰囲気だな。

水夢からの指示がなければあいつらは俺を捉える事が出来ない。

俺は水夢が必死に伝えようとしている所を拝むために水夢の方を見る。

けれども、水夢の姿はない。

大体こういう時って後ろにいるんだよな。

俺はドヤ顔で後ろを見るが誰もいない。

本当にあいつはどこに行ったんだ?

まぁ、好都合だ。

今のうちにこの中級ゾンビ共を片付けるか。

俺は1人の中級ゾンビの首を切る。


「アッ!アイツがシんだ!」

「ナニがオキテ イルんだ!?」


俺はそのままパニックになってる中級ゾンビ達の首を切る。

6人全員の首を切り終わっても水夢は出てこない。

今更怖気付いたか?

おいおい、そんな弱キャラムーブしていいのか?

主人公の俺が殺しちゃうよーん。

そうだなぁ、全裸で土下座して、大金積んで、なんかいい事してくれれば許してやるよ。

俺、優しい。

俺はさっきの建物の中にいると思い透明化したままゆっくり近づく。


〈ピンポンパンポン。えぇっと南根雫さーん、藤川星奏もとい藤原誠華さーん。至急町の外にまでお越しください。ピンポンパンポン〉


町のスピーカーからそんなアナウンスが流れる。

マジか……

洗脳された味方と戦うってよくある展開だけど本当にあるんだな。

説得しながら戦えばいいんだよな。

俺を思い出せお前ら!

俺との思い出を思い出すんだ!

よし、シュミレーション完璧。

これなら洗脳から抜け出してくれるな。


「高野竜、ここからは僕と勝負だ」


なんでそんな一騎打ちをしようみたいな雰囲気を出してるんだ?

あいつらを呼んでただろ。

フェイクとして入れてるって訳じゃないだろうし。

ま、いっか。

俺は水夢には透明化が効かないので透明化をきる。


「いいぜ、やってやるよ」


まずは祝砲がてら、水夢の上空に大きな岩を魔法で作る。

水夢は周りが影で暗くなってることに疑問を抱いたのか上を見上げる。


「落石」

「えっちょっまっ!」


水夢は突っ立ったまま岩に押し潰される。

よし、後は首を切れば終わり。

で、終わるといいんだがな。

ボス系はこんなんで終わるわけがない。

ていうか、六感っていう超感覚を持ってるやつがあれに気づかない訳が無いよな。

もしかして、六感強化をきっていた?

いや、そんな馬鹿みたいな真似をするわけが無いとは思う。

つまりこれも、フェイク?

水夢は岩を破壊して出てくる。


「急にこんなんをぶつけてくるなよ。卑怯じゃないか」


水夢は焦った声だが顔は笑っていた。

フェイクかガチかが分からなくなるな。

あのクソみたいな夢を見てた気分になるな。

流石、クソみたいな夢の作者だな。

水夢が夢を操つってた能力者と確定した訳じゃないから分からないけど。


「卑怯と言うなら、そっちも卑怯だろ。雫と星奏を呼びやがって」

「え? あれ聞こえてたの? ……マジか」


水夢は真剣に悩み始める。

……嘘だろ。

いや、あの夢の作者なんだから、これも俺を悩ませるためにしてるのかもしれない。

……ちょっとだけ可能性にかけてみるか。


「まぁいいや。お前を倒せれば別になんでも」

「お前なんかじゃ何をしても俺には勝てないだろ」

「そんな事を後何回言ってられるかな。魔力量や人数差的に見たら僕の勝ちで確定じゃないか」

「2次元の世界じゃ人数不利なんて不利でもなんでもないんだ。どうせチート能力とか主人公の才能とかでボロボロに負かされるんだからな。敵が可哀想にも思えるぐらいに」

「ここは2次元の世界じゃないのは分かるだろ。それともお前は2次元の世界の住民なのか?」

「お前、何言ってんの?」

「腹立つなお前」


意外と時間稼げたな。

分身したと同時に透明化して近付いていた俺は水夢の首めがけて剣を振る。

ガキンという音が辺り一体に響く。


「いつまで、この会話を続ければいい?」

「お前が死ぬまで」


やっぱりフェイクだったか。

六感強化をきっていると思わせ誘ったな。

こいつ、性格悪いな。

格闘ゲームとかでハメ技を決めてくるタイプのやつだ。

ここはいったん引くか。

俺は後ろに下がろうとするがなぜかもう既に土の壁が立っていた。


「逃がすと思う?」

「手厳しいなぁ」

「レイヤーパンチ」


水夢は俺を何回も殴り続ける。

ってか、レイヤーパンチってダサいな。

あぁ、痛い。

ていうか、多分これ手加減してるな。

まぁ、俺を捕まえるって言ってたから殺してはいけないみたいだし。

じゃあ升のやつ、あれで俺を殺す気じゃなかったってことか?

いや、あいつは任務とかそんな事忘れる事多そう。

それかまだあの時はそんな任務なかったとかだな。


「あぁ、もういってぇな!」

「レイヤーウォール」

「レーザー!」


水夢は土の壁を俺のレーザーを防ぐ様に出す。

そしてまだまだ俺を殴り続ける。

これ、心を読まれてるな。

でも、心を読まれるのもこれで2回目なんだよ。

対応策は知ってる。


「もうそんな事考えず楽になれ。Gペンアタック」


あいつらが来る前に終わらしてやる。

多分あの放送は本物だろうからな。

水夢は思いっきり力を込めた拳を俺に向かって突き出してくる。


「意外に簡単だったな」

「はい、それフラグ。ソニックブロウ」


俺は水夢と俺をそれぞれ別方向に吹っ飛ばし無理やり距離をとる。


「ポコスカポコスカ殴ってきやがって。ターン制ならとっくに俺のターンだろうが」

「こんなやつ相手に深く考えてた僕がバカみたいだった。中級ゾンビを6体も倒すもんだから強いと思ってたんだけどな」

「あいにく、俺は強さを求めてないもんでね。作戦が成り立たなくなって悔しいか?」

「いや、別にお前ごときに作戦とか考えなくてもいいから別に」


そういう舐めた発言は悪役のガキンチョが言うから分からせたくなるんだろ。

お前みたいな大人が言ったところでただキモイだけなんだ。

俺は立ち上がり煽り顔で水夢に指差す。


「言っとくけど、フラグはあまり建てない方がいいぜ。主人公の俺がフラグ回収しちゃうからな」

「厨二病を治してやるよ。ゾンビになっちゃうかもしれないけどな」


水夢は俺をニヤけた顔で見る。

舐めた態度をとってるやつって最後はクソみたいに弱キャラ感でるよな。

それって当たり前だけど2次元だけでしか見ないよな。

現実世界でもそんなやついるのか試してみるか。

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