リアル鬼ごっこ2
まずは周りの状況を確認する事が大事だよな。
辺り一体にはゾンビみたいとしか感想が出てこない光景っと。
そして、俺はあいつらに追われていて。
捕まったらアウトって感じだな。
人数不利にも程があるレベルだし、どうするべきか。
こうなったら、能力無効玉を破壊しに行った方がいいのではないかと思ってしまう。
位置はおおよその検討はついている。
あの遠くを見ればある、町を覆うようにしてある結界の様なものの中心にあるのだろうな。
だけど、それをした所で次々と能力無効玉を追加されたらいつかは捕まる。
うーむ、どうするべきか。
捕まったら終わり。
でも、隠れすぎて何も行動できなかったらいつかは眠ってしまう。
そうしたら、また現実世界かどうかが分からなくなって終わり。
詰みか。
数百人の鬼がいるなかで見つからずに逃げるなんて無理だ。
ましてや、上級ゾンビの可能性が高い相手と魔力無しで戦闘なんてもっと無理。
ガチで詰みじゃん。
神に祈っておくか。
俺は目を閉じながら下を向き両手で手を握る。
恥の多い人生でした。
出来ることなら、来世は美人の義妹と義姉がいる家に産まれて可愛い幼なじみと仲良くなってっていうお約束展開がある人生にしてください。
よし、これで死ねる。
俺は下を向いたまま目を開けるとそこには1つ車の鍵があった。
確か、この建物には地下に駐車場があったよな。
なんかここ、社長室って感じの部屋だしもしかして高級車の鍵か?
社長って言えば適当に高級車に乗ってるイメージだし高級車だろうな。
……これ使えるな。
多分、車の中にはガソリンが残ってるから動かせるだろ。
それに車には迂闊に近寄れないはず。
流石に完全にゾンビになってる訳じゃないから。
これなら、安全にギルドに寄って魔力水を回収できる。
神への祈りって意外と通じるんだな。
神様なんて人の願いを鼻ほじりながら聞いてるもんだと思ってた。
それなら、駐車場にレッツゴー。
こちらドラゴン、現在駐車場に潜伏している、どうぞ?
返答がないただの屍になったみたいだ。
俺は潜伏している感を出すためにイマジナリーなフレンドと無線で通話していたがいつ間にかやられたようだ。
人は……いないな。
俺は車を見つけるために車の鍵のボタンに付いてあるロック解除ボタンを押す。
パンパーンという音が辺り一体に聞こえるが近寄ってくる様子がないため誰もいないのだろう。
俺は音がした方向めがけて足早に目指し目的の車を見つける。
そして、俺はそのまま車に入る。
未成年で無免検挙者が車を運転していいのかって?
もちろんYESだ。
※ダメです
俺がエンジンをかけるとピーという音ともにエンジンが動いている音がする。
よかった、ガソリンはまだまだ残ってるみたいだ。
「俺は早いぜ」
俺はそのままアクセルを踏むと目の前にある車とぶつかりそうになったのでブレーキを踏む。
「出るまではゆっくり行くか」
俺は大量人達がいる大きな道の中、車で走り続ける。
町の人達は無意味だと分からないのかゾンビのごとく追いかけてくる。
「ヒャッハー、科学の力ってすげぇ!」
俺はまっすぐな道なので何も考えずスピードを上げ続ける。
町の人達が車を避けてから追いかけて来る姿を見るのが楽しい。
俺は難なく、ギルド前に到着する。
「グランドウォール」
俺は魔法で壁を作り安全にギルドの中に入る。
中には誰もいないみたいだ。
多分、俺を追いかけてるやつの中にはここから出ていったやつもいたみたいだな。
俺は素早く魔力水らしきものが入った試験管を手に取る。
代金は……いっか。
金持ってきてないし。
俺、これを作った製作者だし。
ていうか、全国展開したら20億なんてすぐに稼げたよな。
子供だからって下手に見やがって。
次、なんか作ったらがっぽり搾り取ってやる。
俺はギルドを出て車に入る。
よし、魔法解除っと。
すると、多分町の人達全員が車を囲う。
フロントガラスなどをどんどんと叩き割る勢いで叩いてくる。
このままじゃ、窓を叩き割られて引きずり出されて終わりだろう。
こうなったら仕方ない。
このままエンジンふかしてレッツゴー!
「俺を人を殺す程の覚悟がないガキだと思うなよ水夢。俺達の邪魔をしてきたお前を殺すためならなんだってしてやるさ」
俺はアクセルを踏み車を走らせる。
すると前以外の場所にいたやつらは少し離れて前にいたやつはボンネットにしがみつく。
「科学の力は世界いちぃ!」
俺はそのまままっすぐ走らせ外に出るための門を強引に突破する。
しがみついてたやつは邪魔なので風魔法で上に飛ばし運動エネルギーを無くし下に降ろす。
必要のない殺しは流石にちょっとな。
下に落ちたヤツはまたゾンビの様に追いかけてくる。
ギルド前で囲んでたやつの中でも飛び切り速い連中はもう俺の所まで追いついてくる。
能力無効化結界の外に出たからかさらにスピードを上げて追いかけてくる。
「結界の外に出たのはお前らだけじゃないってね。編集」
俺は真ん中辺りにいた1人を俺の姿にする。
すると後ろにいたやつが真ん中変わったやつを抑えて捕らえる。
「捕まえたぞ!」
「水夢様に届けに行くぞ」
「どこに行けばいいんだ?」
追いかけてきたやつらは俺の姿をした誰かを捕まえてどこかへ連れて行ってしまった。
俺は車を停めてから透明化して降りそいつらに着いて行く。
そういえば無鍬いなかったな。
まぁ、なんとかなるか。
追いかけて来たやつらは迷っていたが水夢いますと書かれてある看板を見てすぐにそこに入る。
そんな所にいるのか。
俺は魔力水の試験管を開け2本程度を一気に飲み干す。
追いかけて来たやつらは何事もなかったかのように建物から出ていく。
完全で終わったタイミングを見計らって俺はその看板のある建物の中に入る。
「ミナムさん、コイツですか?」
「トドケテくれましたよ」
中級ゾンビと思わしきやつらが奥の部屋に声が届くように言う。
追いかけて来たやつらはこいつらに何も思わなかったのか?
洗脳みたいなのされてるしそうなるか。
中級ゾンビの呼びかけに応じる様に奥の部屋から水夢と思わしき天郎等が着ていた赤色の服を着た人が出てくる。
多分、人の時だった自分に擬態してるんだな。
中級ゾンビを味方にしているのとあの赤色の服で上級ゾンビと見ていいだろう。
「見た目は情報通りだし。多分、合ってるんじゃない?」
「ソンナ テキトウにシナイデクダサイヨ、ミナムさん」
水夢は面倒くさそうに頭を掻き大きなあくびをする。
「最近俺、こいつの頭をぶっ壊そうとしてたんだけどさ。こいつどうやってここが現実だと分かったと思う?」
「ソレはワカンナイですけど」
「仲間のほぼ小学生みたいなやつの雫のパンツで見分けて来たんだ。気持ち悪い。ロリコンみたい」
「タブン、ソレはガチのロリコンだとオモイマス」
俺をロリコン扱いか。
いい度胸じゃねぇか。
ぶち殺してやる。
「まぁ、ちょっと待ってろ。ゾンビ教のヤツらに高野竜を捕獲したことを言うからさ」
「ワカリました」
水夢は頭に手を置きぶつぶつと念じ始める。
そろそろいいタイミングだな。
俺は水夢の所にこっそりと着いて行く。
「あの、高野竜を捕獲しました。はい、回収をお願いします。はい、はい。あっそんな人数で来るんですか? 最重要任務にまでなってるんですか。あぁ、升まで倒されてたんですか。そりゃなりますね」
最重要任務!?
なんだよ、ゾンビ教のやつらもよく分かってんじゃん。
主人公の俺を最重要任務の標的にするなんて……いいねぇ。
「はい、分かりました。下級ゾンビ500体とあなたが来るんですね。了解です。それでは」
水夢はやる事が終わったみたいな感じで椅子に座る。
「そういえばさ、こいつってどの辺で捕まえたか聞いた?」
「ソレはワカンナイですけど、マチとはハンタイホウコウからハコバレテキタ キがします」
「念には念をだな。六感強化」
今だ。
このまま死にさらせぇ。
俺は水夢の首もとを狙って剣を振るう。
「身体強化…首」
水夢の首もとに剣が当たる瞬間一気に首もとが固くなる。
「当たり」
俺はすぐさま距離を取り様子を見る。
なんで俺の攻撃を防げた?
そういえば、六感強化って言ってたな。
六感っていうのは五感以外の感知能力って本に書いてあったのを見たことがあるな。
なるほど、それで透明化を見抜いたって訳か。
でもまぁ、透明化が意味をなさないやつの相手をするのはこれで2回目なんだ。
「お前の大好きそうな不意打ちを防いだって事は僕の勝ちでいい?」
俺の技を一個防いだだけで勝ったと思うなよ。
〈100話達成記念オマケ〉なぜか豪華な日
俺はいつも通り、朝起き部屋を出る。
すると、雫だけでなく星奏も起きている。
俺は星奏を奇異の目で見る。
「なんでそんな目で見るんだ?」
「だって、お前がこんな時間に起きてるなんてありえないじゃん」
「そこまで?」
ていうか、なんでこんな改まった感じなんだろう。
テーブルクロスまでかけて、あの高級料理屋ぐらいでしか見ない銀色のクローシュまで使って。
普通の朝ごはんだろ?
「竜、今日の朝ごはんは……」
「朝ごはんは?」
「こちらです!」
雫は全員分のクローシュを取る。
すると、そこにはチーズとハムが入ったサンドイッチに鶏肉やトマト、アボカド、ゆで卵を使ったコブサラダそして、フルーツにみかんのヨーグルトがあった。
「急にどうした?こんな豪華にして」
「なんか昨日、朝ごはんを豪華にしたい気分になって」
なるほど、よう分からんがそういう理由か。
俺はそのまま机に座る。
「「「いただきます」」」
俺は朝ごはんを食べ終わらせた後、朝の支度を済ませゆっくりしている。
見た目通り美味しかったな。
また食べたくなるな。
「今日は何をしよう」
「やる事ないから暇なんだよね」
「せっせと働いてた時期を思い出せよ」
星奏は呆れた様子でこちらを見る。
あれは目標があったから働いてたんだ。
今はお金を貯める理由がないからな。
俺達が今日何をするか各々悩んでいるとインターホンが鳴る。
俺が1番ドアに近かいから2人が俺の事をじっと見てくる。
俺が行くしかないのか。
俺は玄関に行きドアを開ける。
「どちら様? って有輝か」
「おはようございますっす。今日は暇なんで遊びに来ました」
こいつに暇なんてあったのか。
ビックリだ。
「どうぞどうぞ。ていうか、人助け的な事をしに行かなくていいのか?」
「なんか今日の人達は働きたくない人が多いらしくほぼ、誰も町の外に出てないんっすよ」
皆、だらけてるんだな。
まぁ俺達もそうだから何も言えないが。
俺は有輝を中に入れてドアを閉める。
「こちら、お土産っす。名古屋に行ってきたんで天むすっす」
「お、ありがとう。こりゃ、お昼ご飯も豪華になるな」
「有輝もお昼ご飯食べる?」
「じゃあ、お願いしますっす」
さっき朝ご飯食べたばっかりだから今、お昼ご飯の事を考えるのは食い意地を張ってるようでダサいな。
まぁ、今日ぐらいはいいか。
「天気いいし、散歩してくる」
「引きこもりの竜が散歩するなんて……成長したね」
「ヒキニートのお母さんか、お前は」
「じゃあ、竜。ついでに買い出し行ってきて」
「今日の当番は星奏だろ。お前が行け」
「私は早起きしたんだぞ?」
なんでそれで行ってもらえると思ってるんだろ。
「じゃあ僕が行くっす」
「あっ……いや、私が行く」
有輝にやらせるのはいくら星奏でも無理だったか。
腰抜けめ。
「じゃ、俺は散歩してくる」
「いってらっしゃいっす」
「いってら」
「いてらー」
今日は気温がちょうどいい。
日差しの強さも丁度よくハンモックとかがあれば気持ちいいんだろうなと思うほど心地いい。
リサイクルショップにでも行くか。
俺はリサイクルショップに行く事にした。
農家の人は今日も働いている。
あ、前に柵を壊してしまった所だ。
俺はあの時の人にバレないように透明化しながらリサイクルショップに向かう。
いや、ちょっと町の外に出るか。
剣は持ってないけどなんとかなるか。
俺は町の外に出ると無鍬達とサン達がゾンビを狩っている所を見つける。
ブラウニー達は今日もベランダとかかな。
「「「グオォォ!」」」
「「「ガオー!」」」
サン達はゾンビの頭を噛むと大鎌が体を引っ張り体と首をちぎる。
え? グロ。
R18に指定されてしまうぐらいにはグロいな。
雫に言っておこうかな。
俺がそう思ってると無鍬が俺に気付いたのか。
俺の下に寄ってくる。
「……何も見てないです」
「カフカフ」
無鍬は鳴くと大きく口を開ける。
「本当に何も見てないです」
「バフバフ」
雫には言わないでおこう。
俺は無鍬達が怖くなり少し離れると冒険者が誰もゾンビを狩っていないからかゾンビに囲まれる。
魔法と透明化を使えば一瞬で逃げれるな。
俺は余裕な顔で待ち構えていると後ろから足音がする。
「居合、閃光」
俺の後ろからものすごい勢いでゾンビがいなくなる。
この感じは明田か。
「久しぶりっちゃ。なんか会う時は大体やばい状況になってないっちゃか?」
「気のせいかと」
「まぁいいっちゃ」
「ちょっと、早いですよ」
細川さん、まだ苦労してるんだな。
明田は本当に主人公感がすごいな。
「あ、1時の方向にいます」
「分かったっちゃ。じゃあバイバイっちゃ」
「アロー。ってちょっと待ってくださいよ、明田さーん」
明田はすぐに去る。
……帰るか。
俺は帰ろうとすると目の前にこの前見た魔力玉を売ってたおばさんがいる。
「……買うかい?」
「お金を持ち合わせてないです」
「……そうかい」
なんだったんだこの人。
俺はこれ以上いたら詐欺られそうだから足早にこの場から去り家に向かう。
「買って貰えなかった」
「でしょうね」
俺は家に帰り寝転がっている。
「気持ちいい」
「こう見ると竜さんって結構だらしないんっすね」
「そうだよ。竜はだらしないんだよ」
「うるせぇやい」
雫には言われたくねぇよ。
「もうそろそろ、お昼ご飯にしないか?」
星奏は本を読みながらそういう。
「いいよ。今日はひつまぶしだね」
「「やった!」」
「ありがとうっす」
なんか今日は豪華だなぁ。
こんな日々を過ごせてる事に感謝。