Glass Eyes
部屋に取り付けられたテレビの電源を入れてみるが砂嵐が映るばかりで
放送前の電子音が鳴り船内放送が流れ始める。
「私は船長のフジワラです船内の安全は確認されましたが、1人での行動は避けて2人以上で行動をしてください。
また隣室で異常な物音やゾンビの発生が疑われる場合は直ぐに保安連絡をしてください。
繰り返します・・・」
それを聞いてイチゴが話しかけてくる。
「トイレは部屋の使って良いんだよね?」
「うん、風呂だけ大浴場でって言ってたな?
そういや点呼にもそろそろ行かなきゃな?」
「そうだね!あと洗濯できるかな?」
「大浴場の周りにないかな?とりあえず船内図見てみよう」
2人で部屋を出ると感染者の出た部屋はドアを直してあり、廊下にあった血溜まりが赤黒い染みになって残っていた。
そこをちらりと覗き見てエントランスの階段へゆっくりと歩く。
7階の船尾側に作られている受付に点呼に行くと、すでに数人並んでいた。
列の最後尾に並んでいると後ろにシブヤさんがやってくる。
「よぉ、お前らもか」
「シブヤさん1人ですか?」
「ああ、メグミが寝ちまったからアサコに頼んで来たんだ」
「久しぶりに良いご飯食べて、お風呂もゆっくり入れたからですね」
「ねー!大浴場良かったよねー!」
「入口から岩風呂みたいになってて船の中とは思えなかったもんな」
「うんうん、久しぶりに文明的でしたね」
「気持ちよかったー!でも部屋でもシャワー浴びれたら最高だったのにねー?」
「うーん?やっぱり水のタンクとかの問題ですか?」
「ああ、このフェリーには造水機っていって海水から真水を取り出す装置が付いてるんだが、フィルターの交換も出来なくて、造水に燃料も使うからみたいだな。
食事や飲用には別に水を用意してトイレや風呂だけ造水機使ってるんだろ。
トイレは仕方無いにしても風呂は大浴場でまとめた方が節水になるしな」
「シブヤさん物知りですね?」
「ん?いや、ちょろっと聞いてな」
そんな話しをしていると直ぐに列は進み受付で部屋と名前を伝え問題無いことを確認してもらった。
その後、シブヤさんもすぐに確認が終わり話しかけながら近づいてくる。
「時間的には明日の夕方か夜には徳之島に着くとは思うが、暗くなってからの入港は移動や荷物の搬出が難しい。
向こうには、たぶん明後日の朝に入港するように調整するみたいだ」
「まる2日、残り1日半は船の上なんですね」
「ご飯も美味しいしお風呂もあるから問題なーし!」
「そうだな、ただ・・・」
シブヤさんは声をひそめて続ける。
「人数が人数だ夕飯あとにお前らも感染した奴らに出くわしたんだろ?」
「・・・はい」「・・・」
「最低限、身を守れる装備はしとけよ?」
そう言ったシブヤさんもよく見てみれば腰には大きめのナイフを装備している。
「槍やら弓は持っとくとさすがに物騒過ぎるからな、早めに休めよ!」
シブヤさんは腰のナイフをポンと叩いて7階の特等和室に戻って行く。
「おやすみなさい」「おやすみなさーい」
シブヤさんが見えなくなるとイチゴが話しかけてくる。
「コインランドリーあると良いね!」
「ああ船内図みて見るか」
エントランスの階段付近にある船内図を見ると5階の船尾側にあるみたいだ。
「5階の船尾側にあるみたいだな」
「え?どこどこ?」
船内図とにらめっこをするイチゴに船内図の船尾側を指差して教えると「あ!ほんとだっ!あったね!」と言って笑っていた。
「部屋に戻ってちょっと武器を装備して行こうか?」
「うん!洗濯物も取ってこなきゃだしね」
6階の部屋に戻ろうとするが、点呼に並ぶ人が増え始め階段や廊下には7階に向かう人の列が増え始めていた。
「安全は確認出来たって船内放送あってたけど、みんな様子見してたのかな?」
「あーそうかもね?急に人ふえたねー」
そんな話しをしながら人の波に逆らい部屋に戻り、洗濯物を2人一緒の袋に詰めて武器を見やる。
「イチゴは弓と銃しか持って無かったよな?」
「うーん、後はこの十徳ナイフくらいかな?」
そう言いながら俺の物だったはずのペンチにもなる十徳ナイフを出す。
「うーん?ならこのナタ持っとくか?」
「わー!ありがとー!」
「船の中で貸すだけだからな?」
「うんうん!」
・・・十徳ナイフはまだいいがナタは厚みがあり、良いお値段がするお気に入りの一品だ。
マンションから脱出する時に悩んで持ってきた。
船から降りるときにしっかり返して貰わねば。
俺は左の腰元にステンレス刀を差して装備してみるが、抜くのも納めるのも難しい。
「抜いた状態で使い出すのは良いけど急に抜くのは慣れかなー?」
「うんうん、でも格好いいよ!お武家様みたいで!ザ、鍋島!葉隠れ!」
「うーん」
そう言いながらドアを開けて廊下に出る。




